昨日は銀座へ、今井雅之さんの脚本を奈良橋陽子さんが映画にした『手をつないでかえろうよ~シャングリラの向こうで~』の試写に。

私も出演しています。


撮影時の話は前にも書きましたが、懐かしい仲間と、懐かしい空気での撮影でした。
お家に帰った感じ。

なんていうのかな…
落ち着く… っていうか、和むっていうか。
仕事だから、緊張感もあるけど、居心地が良いっていうのかな…

そう…
私が演劇を「学び」始めた頃の仲間、同志だから、その当時の自分に戻っているんだよね…
10代の頃。
まわりは大人に見えたお兄さんだらけ(男子が多かった…)だった頃に戻ってるんだよね。
もっと言えば、戻るのではなくて、そのまま変わってないのかもしれないって感じかもです。
そう感じるのは、試写の後、監督である奈良橋陽子さんと話をしていて、そういう想いに気づいたから。


昨日はいっぱい話したんだあ。
久しぶりに、私がいっぱい喋った。
逢うと、いっぱい喋っちゃう。
甘えちゃうのね、きっと。

私が我が儘しても大丈夫な感じ。やっぱり、お家に近いのかな。

とにかく中学三年生の私を知ってる人だもの。
誰かの後ろに隠れながら、それでも芝居をしたいと願っている熱い気持ちを見つけてくれた人だから。
恐ろしく長い時間が流れた…
勿論、陽子さんだって若かったし、私は幼かった。






さてさて、肝心の映画です。

川平慈英さん、吉田敦さん、別所哲也くん… 雅さんと一緒に、夢を追い掛けていた仲間が次々に登場します。勿論!雅さんと、つい最近まで一緒にお芝居していた仲間、心を通わせていた仲間の顔も揃っています。

雅さんが最後に伝えたかったメッセージを、自然体の芝居で、物語に引き込みます。

雅さんが演じていたら… なんて事は考える暇もなく、慈英さんの演じる主人公、真人の人生に寄り添うように心が動きます。
板尾創路さん扮する真人の父、幼なじみの咲楽の七海さん、ヒッチハイカーのすみれちゃん、自動車学校の先生役の岡安泰樹さん… あげたらキリがないのだけど、みんな、ほんとに僅かな登場で「え、これだけ?」と思うような登場なんだけど、みんな「生きてる」から印象に残ってる。
出過ぎず、役割をこなして画面に登場して消えてゆく。
勿論、台詞があって(私はなかった)、名前も呼ばれて(私は呼ばれてない)、真人と絡みがある(私はなかった)配役もあるけど、そうでない人たちもいっぱいいて、でも、ちゃんと存在しているから、見ていて「嘘」がない。

これは、恩師である陽子さんが監督をした作品だからなんだなって思う。

低予算で、短期間で撮影したのだと聞いたけど、日本の美しい場面が沢山あって、ロードムーヴィーの香りもするし、時間がないのに、よくぞこんな瞬間を画にしたな!と思うようなカットもありました。


撮影現場を経験した人ならば、短時間での撮影のぴりぴり感って想像出来るかな…
時間の制約のある中で、気持ちを一気に集中させてゆく…
そんな悪条件の裏事情など微塵も感じさせない映画だったけれど、終わってから「大変だった」と聞いたら、どの場面も「最高の表情」をフィルムに残している事を思い出し、監督と役者の力を感じました。


細かい事は、専門的な話になってしまうから書かないけれど、『手をつないで…』は感情が溢れる瞬間を、役者さんたちは、ちゃんとカメラの前で表現していた。監督は、カットを重ねて「そう見せている」のではなくて、溢れるその感情を「すくって」とらえている。


それは、スタッフさんの力であり、役者さんの力だと思います。





エンドロールで雅さんの写真が出て来て、涙がぶわっとなりました。




「なんで… 出てないんだよ、雅さん…」




『手をつないでかえろうよ~シャングリラの向こうで~』今井雅之さんインタビュー




そしてまたふと、川平先輩とも、敦さんとも、哲也(別所)とも、ここの何年も向き合って芝居をしていないな、って。
やりたいな。
あの頃の仲間と真剣勝負。

そうだなあ~
例えば… 同窓会の一夜で起きる人間模様?とか、社会派のゴリゴリの土臭い話とか、はたまた詐欺集団の珍騒動みたいなコメディとか? ん~ 正直、なんでも出来るよねえ~


昔の仲間が集まって何かをやるって、どっか郷愁があったり、振り向いたりする後ろ向きなイメージがあるけど、たまたま若かりし頃の1ページを、同じ夢を見ながら騒いでた、その仲間が、ひとり、ふたり…と命を落としていくのを目の当たりにして「一緒に何かやりたい」って切羽詰まって思ってしまうのって… おかしくはないよね…

どうなの?


映画でも、舞台でも、なんでもいい。
一緒にやりたい。

これ、ラブコールだよ。




陽子さん、昨日はブルガリのイベントだって言ってた。
私がお家まで送って行ったんだけど、お家について、積み込んだ荷物を出そうとトランクを開けたら、ミモザの香りが、ふわ~~って。







アウローラアワード。
小雪さんと一緒だったんだね。

陽子さんたら、イベントやら時差ぼけで疲れてるのに、いっぱい喋ってしまって、悪かったなあ…
陽子さん、断らないんだよねえ~
まいっか、久しぶりだもん、ね、ちょっとくらい我が儘言っても、ね。



でも、ミモザ、綺麗だったぁ。
春だね…


花々が咲き誇る季節。

芽吹く季節。


私ももっともっと咲きたいわ!



『手をつないでかえろうよ~シャングリラの向こうで~』は、雅さんの命日である5月28日から全国公開です!

見てね。