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先日の『テラコヤ!』では、大杉漣さんが、北野監督との興味深いエピソードを話してらっしゃいましたよね。

『キッズリターン』のタクシーの客を演じた時、北野監督は、ただ設定を話し、リハーサルなしでいきなり本番。監督ご本人は、キャッチボールをしてらした、と。

そのとき、私は大杉さんに「それは、北野監督が、大杉さんを信頼しているということですよね。」と言うと、大杉さんは否定せず「そう、でしょうね。」と静かにひとこと。


いいな。
信頼し合える関係。お互いの力を尊敬し合える仕事。

前に、『アキレスと亀』について書いたときの話と重複するのですが、映画撮影という小さな社会の中でも、専門職が、それぞれ、得意分野を分担して、そして自信を持ち、責任を感じて持ち場を担当、そして、その職務を、互いに信頼し尊敬することで、良い流れが生まれるのだと私は思っています。
監督は、役者一人一人に、その役者が分かる方法で、演技や演出意図を伝え、伝えたら、後は表現者、役者に任せる。
任せられた役者は、それを自分の肢体を駆使し、監督の頭の中にある場面を創造する。
その時、同じ思いを持って、カメラマンさん、照明さん、美術さんが、それぞれの力を出し合って創りあげてゆく。

自分、という素材を信じて使ってくれる人がいる。

夢の現場ですね。
監督がシェフで、私達は食材。
種類も食べ頃も様々。調理次第でどんな味にもなりましょう。

私も役者として「使ってみたい」と思われる「ウマイ」役者でいられるように、自分色の生き方をしていたいと思っています。