皆さんはどのようなフィクション(物語、作り事)を日々楽しんでいるのでしょうか。私が最近触れたものを振り返ると、フィクションでありながら現実社会や著作者のリアルな姿の色合いが濃い目です。フィクション度合いが強いものをファンタジーと呼ぶならば、私はファンタジーは苦手ですね。
その一、夏目漱石『こころ』…つい最近、単調な手作業の仕事中、青空文庫という無料のサイトにて、デスクトップPCの画面で読みました。この作品は高校の教科書に載っていたことが多かったので、その頃に部分的に読んだという人もいると思いますが私は読むのは初めてでした。さすがお札の肖像だった文豪、比較するものでもありませんが、私が好きな太宰治よりレベルは高いかも、なんて書くと太宰ファンは怒るでしょうか。話の内容にインパクトもありますが、これは夏目漱石自身を各登場人物に投影させたもの、夏目漱石の分身たちの物語だと私は読みました。二回読もうと思わされる作品です。そして明治時代にあっても人々の心配事や性質、感覚などは現代と変わらないと思わされる描写があり、それが私には面白く感じられました。
そのニ、6月22日放送、『検事の本懐』(BS放送)…2016年に放送されたドラマの再放送で、原作は柚月裕子の小説です。当たり前ですが9年前なので知っている俳優の皆さんが今より若く、当時まさに脂が乗ってキラキラの充実期に見える検事役/上川隆也が終盤のクライマックスで東京地検特捜部の上司役に訴えた、私たち警察や検事の捜査や判断が人の一生を狂わせてしまうことがあるんだ(だからちゃんとしましょうよ!)、というセリフは例の大川原化工機事件の捜査にあたった警察や検察の面々に聞かせたいと視聴した誰もが感じたことでしょう。そして2016年頃のドラマはシンプルな作りで良い、正直最近のドラマは集中して見てないと話が分からなくなり眠くなります…また社会を良い方向に進めるんだという作者の信念が根底に見えました。
その三、6月23日放送、『帰れマンデー見っけ隊!!3時間SP』…サンドウィッチマンが吉川晃司と奥田民生をゲストに迎え、彼らの地元広島でグルメ旅、という内容でした。同じ歳の二人、神経質そうで実はおおらかな吉川晃司、ゆるい雰囲気を醸し出しつつもどこか世間に苛立(いらだ)っている奥田民生、と私の目には映るんですが、そんな二人のユニットのアルバムが6月25日に発売されたようです。曲はまあまあといった感じに思いましたが、ファン層が重なっていなさそうな二人が一緒にやることに商売上の意義と成果がありそうです。…この番組はフィクションではないですが、皆がイメージする典型的な広島という町を演出・強調していると広島市出身の私は感じました。宮島、原爆ドーム、路面電車、広島カープ、お好み焼き、それさえ映しておけば絵になる広島、この日もその法則から1ミリもズレない番組進行、私には楽しくもありつつ、これで・このままでいいのか広島よ…という気持ちも湧くんですよね。将来広島に帰りたくはなりませんでしたが、番組は面白かったです。ついでに書くと私の妻(社長)は広島大学卒なので、二人で広島の話を見聞きするのは楽しいものです。
人生はともすれば退屈なものです。それゆえ古今東西世の中にフィクションが作られては人々がそれを楽しんでいます。限りある時間の中でどんなフィクションに触れるかは人生において決して小さなことではない、たまに見るYouTubeの動画(←真実っぽさが売りなんでしょうけど)などはまだまだ時間潰しの域を出ないなあとも思うところです。