少々以前の話ですが、私の会社のパソコンに某業務を契約している会社からのメールマガジンが届きました(そういえば最近こない)。タイトルに、仕事の俗人化を防ぐ…とあり、一瞬何の話?と思いましたが「属人化」の変換ミスです。私はタイトル間違ってますよとメール返信しておきましたが、おそらくメールマガジンへの返信なんて読んではいないでしょう。でも内容的にビジネスの課題解決をお手伝いするといったものなので、ミスはしない方が格好は着くと思います。学校の先生が黒板に誤った字を書くのと同じことです。
さて仕事の属人化(=仕事や業務が特定のだれかでないとこなせない状態)は悪いことなのかと考えると、悪いことととらえるのは経営者視点ですよね。雇っている社員の誰がやめても新しい人や次の担当者がやめた社員のやっていた仕事をスムーズにこなしてくれたら会社としては助かりますが、現実的にはどうなんでしょうか。優秀と評価される人が会社をやめたら、その人がやめた後は少なからず会社は混乱したり右往左往します。そして会社員が成長するということは他の社員より秀でること、他の社員では代えがきかない存在になることです。つまり仕事の属人化を果たせた人が会社員として優秀といえるものだと思います。なので、仕事の属人化を防ぐということは社員を成長させないということとイコールではないでしょうか。仕事の進め方のマニュアルを作ったとしてもその通りにできる人とできない人がいる、それが人間の本質でもあるので、仕事の属人化なんていう言葉を思いついてそれを悪いことのように言う人って何を考えているのでしょうか。我が社は仕事の属人化を阻むことに成功したゾ!という社長さんにそれで売り上げが伸びたかと問うてみたいのですが、仕事の属人化がされていない会社があるとしたら、私はぜひ見学に行きたいです(そんな会社はないはず、という意味です)。仕事は人に属するものであり属人化は労働者にとって切り札だと私は思います。属人化しないのは仕事ではなく作業であって、それだって人によっての巧拙はありそうです。
ところで自らの会社を顧みると、妻(社長)と私のどちらかがいなくなったら即閉業です。すさまじいまでの属人化をしています。最近夫婦ともども体力が衰えてきているので、事業の引継ぎを誰かにお願いしてみたくもありますが、無理っぽいのであと数年頑張ります。…さて今回なぜ「仕事の属人化」について書いたかというと、いま世間が注目の備蓄米の放出の話を見聞きしていて、まさに仕事が属人化しているなと感じたからです。農林水産大臣が江藤氏から小泉氏に代わった途端、事の良し悪しは不明ながら状況が動き始めました。私は政治や行政の仕事があまりにも属人化するのはむしろおかしいと思うんです。小泉大臣のいまの施策が仮に大正解だったとしても、ならば江藤氏が失言により失脚せずのらりくらりと大臣にとどまっていたら、その小泉氏の大正解的施策はなされなかったということでしょうか?小泉氏がそんなに素晴らしい解決策を持っていたのなら、江藤氏が大臣のときにアドバイス、支援をするのが正しい状態ではないでしょうか(ましてや同じ自民党なんですし)。自民党が夏の参議院選挙を有利にするためのストーリーがいま進行中のようで、私はけっこう冷めた目で見ていますし、大体このなんでも値上げの昨今において、なぜ米だけ値上げが許されないのか疑問です。農林水産大臣がだれであってもやるべきは米を(輸入してでも)品切れさせないことであり、価格を決めることではないと私は思います。