この4月から会社員になった皆さんへ、私は株式会社とみにんという極小企業を経営する立場のものでして、年齢は52歳です。あと5年くらいは働きたいというか働かなくてはならないと思っています。さて、私は先日取引先の弊社担当者に対して今後の出入り禁止を告げました。そのことの経緯をお話しする事が、新人の皆さんがこれから会社員、そして社会人として生きていく上で少し役に立つのではないかと思いますので、お付き合いください。

 新人の皆さんは会社での仕事に対してどんなイメージをお持ちでしょうか?おそらく楽しいことばかりではないと思っているでしょうけど、その通りです。なぜならそもそも仕事とは楽しいとか楽しくないという尺度で考えるものではないからです。仕事とはお金を発生させるための手段です。ただ、現代の会社においては自分のしている仕事がお金を発生させることと関係あるのかないのかよくわからない場合もあります。そして、そのような仕事をまずあてがわれるのが、あなた達新人です。そんな仕事であってもキチンとこなせる人でないとお金を発生させている実感を得られる仕事は任せてもらえないので、どんな仕事でもまずはキチンとこなしましょう。

 …私が出入り禁止を告げたその人は、新人とは呼べないある程度キャリアのある立場で、お金を発生させられる実感を得られる仕事を会社から任されているのに、キチンとしませんでした。私がいつもとは違うやり方だけど今回はこうしてもらえませんかとその人に相談したら、ハイわかりましたそうしますと言ったのに、結果そうしなかった、しかも2回連続でです。もちろん日常的にその人の仕事ぶりがもう一つだと思っていた事もありまして、もう堪忍袋の緒(お、ひものこと。尾ではありません。社会人は言葉に強くなりましょう)が切れました。傍目(はため)にはパワハラしているオッさんに見えたかもしれませんが、怒ってみせることが必要なときもあります。仕事とはいうものの、結局は人付き合いと同じものです。約束を守ってもらえない人と仲良くはできませんよね。このように考えると仕事は案外難しくないでしょう。新人の皆さんはまずは約束を守ることです。

 弊社は販売した商品をヤマト運輸と郵便局のゆうパックで出荷しています。3人ずつ大体6人くらいのドライバーさんが弊社を担当していて荷物を持って行くのですが(誰が来るかはまちまちです)、その荷物は弊社の取手(とって)付きの台車に載せてあるんです。そしてドライバーさん達は自分の持ってきた台車に積み替えるわけですが、そこで非常に興味深い現象が見られます。ヤマト、郵便局それぞれ3人のドライバーのうち、私たちが仕事ぶりから「エース」とあだなをつけている人が両社に1人ずついます。エースとそれ以外の4人の間に見られる興味深い差異、それは荷物がなくなった弊社の台車を弊社事務所に戻しておくとき、台車の取手を事務所の壁に沿わせるか、そうでないかです。エース2人は壁に沿わせ、他の4人は空間に取手のタワーを作ります。…空間に取手のタワーがあるとなんか落ち着きませんし、弊社の広くない事務所では荷物を運ぶ際に空間に取手があると邪魔です。その気遣いをエースの二人は自然とできるんです。新人の皆さんには台車と事務所の関係性がピンと来ないかも知れませんが、会社は台車を案外使いますよ。今後台車を扱う際は取手の向きに留意すると良いでしょう。私が出入り禁止を告げたその人は「エース」ではもちろんありませんでした。皆さんの会社人生が良いものになるよう私は祈っていますので、頑張ってください。