昼食は自宅でとることが多い私ですが、最近12時半からNHKの「カムカムエヴリバディ(以下カム…)」という朝ドラの再放送を見ています。ドラマはまだ序盤ですが、戦争に向けてその時代の人間が翻弄される様子、とても面白いと思います。私は普段ドラマをさほど見ませんが、私が飽きずに見るドラマはヒットすることが多いです。本のベストセラーでもそうですが、普段本を読まない人すらも読む本がベストセラーになります。そのヒットの秘訣はやはり話の分かりやすさではないかと思います。伏線回収なんて言葉が流行る昨今ですが、私はシンプルで平易な話でいいです。

 一方で今放送中の朝ドラ「おむすび」も序盤ですが、私の妻(社長)が毎日見ている横で私は朝の支度をしながら斜め見しています。…はっきり言って面白くないです。話が雑です。登場人物が魅力的ではありません。先の展開が全然気になりません。制作陣はきちんとした話を作ろうとしているのかという疑念すら湧きます。…ただ見方を少し変えれば、「カム…」はいま昭和の戦前の頃の話で「おむすび」は2000年頃の話、両者の時代背景はかなり異なり、「カム…」の頃は登場人物の台詞、スタジオ、衣装ひとつ取ってみても現代の私たちの目に新鮮に、良いものに映るんですよね。「おむすび」はほぼ現代の今と変わらないわけで、どうしても登場人物やセットがコントみたいでチャチな感じに見えるんです。時代性のアドバンテージが「カム…」には相当ある、「おむすび」の時代は絵にならないというハンデがあると思います。ともあれ「カム…」は今のところとても面白いです(逆に今から見ても面白くないかもしれません)。なんのドラマであれ序盤の見せ方は大事だと思いますが、「おむすび」は上手くいかなかったと思います。

 そして「カム…」の登場人物たちの台詞の言葉遣いが私は良いと思います。戦前の頃なので当たり前なのですが、妙なヨコ文字や略語や言い回しや造語…がない当時のきちんとした日本語が再現されています。私も歳を取ったと感じるのは、それらの妙な言葉を無邪気に繰り出す人が気になるんですよね。その発生源はお笑い芸人だったり、若い俳優だったり、ユーチューバーだったり、ビジネスコンサルな人たちだったり様々だとは思うんですが、そういった言葉は仲間内とか社内とか業界内とかに留めておいてほしい(=その言葉の存在は否定しませんよ)ものですが、最近はNHKのアナウンサーや新聞紙上でまで見聞きするので私のようなオッサンは一人憤慨しています。

 唐突ですが、競馬の騎手に柴田善臣という、58歳の最年長騎手がいます。私より6歳上の人が現役で20歳くらいの騎手とやりあえるということも競馬の面白い要素の一つです。そんな柴田騎手が肩痛の悪化により手術が必要となり、しばらく競馬を休むというニュースをネットでみました。そのネット記事の下の方に、関連記事として「人生相談!ヨシトミ先生に聞け」という字が目に入りました。なんとなく興味が惹かれてその記事を読んでみたら…柴田騎手の悩みへの回答が素晴らしく良かったんです。人間性がにじみでているアドバイスと、そこで使う言葉がとても良いと感じました(58歳まで騎手が続けられるのも納得)。みなさんも何かに悩んでいるかもしれませんが、その「ヨシトミ先生に聞け」をぜひ読んでみてください。柴田騎手のようなきちんとした考え方と言葉遣いの人、「カム…」のようにきちんとつくられた面白いドラマ、きちんとすることが何につけても大事だと思わされます。