みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
前回の伊方版マガジン(仮)の作成 の記事に引き続き、
調査したことを簡単に記事としてアップしておきます。
専門的な部分まで掘り下げることが出来るかはわかりませんが、
まずは読んで下さったみなさん(と自身)に意味あるものになれば幸いだと思っております。
「「雇用はどのくらい維持できるか」
雇用と言っても、伊方原発の雇用、四国電力の雇用、地元の雇用、地元外の雇用など、あるかと思います。
さらに現状の雇用と廃炉になった際の雇用の詳細も違いがあるかと思います。
調べてみての印象では、伊方原発450人、伊方の孫会社250人、合計700人くらいが地元雇用の技術者で、伊方原発の運用・保守などをしているイメージです。
技術者以外に関連事務などの雇用をあわせればもう少し増えるのかもしれません。
四国電力は香川にあり、設計に係る業務を行う原子力部・原子燃料部や子会社・関連会社も香川に多く事業所があります。
本部は震災後松山に移転しました。
廃炉業務では、東海など廃炉の技術的知見などコア技術は地元以外からも調達しそうな印象です。
設計的な業務よりも、土木・建築などの業務工数が圧倒的に多いようです。
原子力部や原子燃料部の雇用は多くありませんが、関連会社も香川に多いようなので、
雇用の問題では、伊方というよりもむしろ香川の雇用に関わるということもありえるかもしれません。
直接雇用的なところがネックで困るというよりは、
もう少し間接的なところで地元経済をどう維持するかということが課題なのではないかとなあっと思いました。
あとは交付金で、これはまだ調べきれておらず次回になると思います。
以下詳細。
○現状の雇用について
技術者全体は334名から465名に増え、10年以上在籍の技術者も増加しています。
有資格者数の状況も記載されていて、平成25年では
原子力部:31/56名は有資格
原子燃料部:5/18名は有資格
土木建築部:0/38名は有資格
伊方発電所:86/353名は有資格
となっています。
廃炉になった場合に必要な内訳がどうなるのか、
資格有無以上にどの程度の技術・経験が必要なのかまでは未調査。
さらに伊方発電所について、
技術者の総数:353人
技術者のうち管理者の人数:46人
技術者のうち管理者のうち経験年数10年以上の人数:46人
原子炉主任技術者有資格者の人数:12人
第一種放射線取扱主任者有資格者の人数:44人
運転責任者の基準に適合した者の人数:23人
第一種ボイラー・タービン主任技術者有資格者の人数:4人
第一種電気主任技術者有資格者の人数:3人
資料:
原子力委員会での四国電力の資料
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/press/PWR/data/25/07/0708_03_04.pdf
○伊方原発での業務について
四国電力は香川にあり、設計に係る業務を行う原子力部・原子燃料部や子会社・関連会社も香川に多く事業所があります。
本部は震災後松山に移転しました。
原子力部、原子燃料部、土木建築部が設計業務を実施。
伊方発電所が現地工事及び保守・運営を実施。
伊方発電所の例をした資料で、業務に必要となる能力を、詳細まで掘り下げた一覧表もありました。
最近では保守作業管理にEAMシステムを導入しているそうです。
下記のような課が存在するようです。
伊方ビジターズハウス,総務課総務,広報課,資材サービスセンター 伊方発電所事務所,施設防護課,総務課労務保健,安全技術課,原子燃料管理,設備改良工事課,放射線・化学管理課放射線管理,放射線・化学管理課化学管理,発電課,品質保証グループ定検検査,保修統括課,文書・システム管理グループ,土木建築課,業務管理課,防災課,総務課経理・地域対応,人材育成課,渉外課
下記のような子会社・関連会社が存在するようです。
(株)STNet、(株)ケーブルメディア四国、ケーブルテレビ徳島(株)、(株)大川原ウインドファーム、頴娃風力発電(株)、土佐発電(株)、(株)四国総合研究所、(株)四電工、四電エンジニアリング(株)、(株)四電技術コンサルタント、四変テック(株)、四国計測工業(株)、テクノ・サクセス(株)、エコ・テック(株)、四電ビジネス(株)、四電エナジーサービス(株)、伊方サービス(株)、橘火力港湾サービス(株)、(株)よんでんメディアワークス、(株)よんでんライフケア、坂出LNG(株)、三崎ウィンド・パワー(株)、(株)宇多津給食サービス、(株)徳島市高PFIサービス、四国航空(株)、SEP International Netherlands.B.V
資料:
原発事故避難問題: 伊方発電所の実態 Archives
「変更に係る原子炉施設の設置および運転に関する技術的能力に関する説明書」
平成25年1月 保安規定目次と業務・職種の関係(8章「保守管理」のみ小項目まで記載-伊方発電所の例-)
【インダス、四国電力伊方3号原発向けEAMシステム受注】
電話番号の検索でわかる課
公式に掲載のある子会社・関連会社
○廃炉どのような過程があるか
資源エネルギー庁の資料にて廃炉の工数表がありました。
再処理なので伊方で言うなら3号機にちかいですね。
データは古いですが、工数表が記載されています。(32ページから)
人件費や作業内容、防護装備なども記載。
データが古いためか、再処理施設だからか、合計の費用が想像(500億)よりかなり高額(1500億)見積な気がします。(20ページ)
キャプチャ画像なので数字が見えづらいですが、
廃炉には土木・建築の工数が比較的多くかかるようですね。
除染の工数は細断・建屋解体の工数に比べてきわめて少ないようです。
また、廃炉についてではありませんが、ほかの資料で「原子力発電所の設計・建設に必要となる技術・人材」の図解もありました。
既に廃炉をはじめている東海原発を参考にできないか調べてみると、
廃炉作業に使うロボットの開発が行われていることや、予定よりも作業が遅れ気味なことなどがわかります。
ネックとなる課題は廃棄物処分場・保管の技術の問題が大きいようです。
また、炉の水を抜いた後の技術は廃炉でも特別なものはないという発言も記事に記載がありました。
廃炉計画のチャートを見ると炉の水を抜いたり核燃料の取り出しは大まかには5年くらいのようです。
このあたりが速やかに進めば技術者がいなくなって困ることは現状では大きな心配ではないよう泣きもしますがどうなんでしょうね。
資料:
「再処理施設の廃止措置費用について」
今後の原子力政策について 平成25年10月 資源エネルギー庁
>23ぺーじに「原子力発電所の設計・建設に必要となる技術・人材」が記載。
ロボットポータル-ロボナブル-日本原電、東海発電所の廃炉作業、来春には原子炉の解体に着手
>「日本初の商業用原発だった東海発電所の原子炉は現在、大手電力会社が所有する原発と構造が異なる。このため「壊し方や工事の段取りは特殊」(山内豊明廃止措置プロジェクト推進室室長代理)。こうしたことから、すでに廃炉が決まっている中部電力の浜岡原発(静岡県御前崎市)1・2号機などの解体作業に単純に技術を移植できるわけではない。ただ、大手電力が所有する原発であっても「炉の水を抜けば要素技術は一緒。遠隔操作できる多関節の装置も十分に使える。こうした技術を蓄積し、いろいろなところで役立てたい」(同)と貴重な経験の場に位置づける」
東海・ふげん・浜松の廃炉計画のチャートがあり
○廃炉の過程に転用できるのか
原子力発電の建設・保守運用の技術が廃炉の過程に転用とは少し違いますが、
有限会社イーズの「日本のエネルギーの今と未来を考える~国民的議論のためのデータ~」にて、
「廃炉、放射性廃棄物処理のための技術、研究者の育成をどうするのか 」という資料が有りました。
他にもいろいろ資料があります。
2ページに、他電源との比較で転用技術がどのようなものかを記載してありました。
●炉心・燃料計画
●遮蔽・被ばく評価
●原子力特有の特殊設備の設計・製造
●安全設計、安全解析
●炉構造・熱水力設計
基礎的な部分が原子力固有で、詳細設計から試運転までは他電源の技術とかなり重複しそうです。
3ページに、建設・保守の技術と廃炉に必要な技術との図があります。汚染水やデブリ処理などが廃炉特有の作業のようです。
4ページに、地場産業ができるカテゴリは「熟練の建設・保守」というような記載があります。
資料:
有限会社イーズの「日本のエネルギーの今と未来を考える~国民的議論のためのデータ~」
○伊方の住民の増減や期間、関連産業への経済的な影響予測
先ほども触れた東海村のロボットについての記事に記載がありましたが、
東海原発の廃炉には、総額885億円が見込まれています。
作業が長引けば、さらに費用はかさむようです。
(ロボットなど開発したりしてるのも関係してるのでしょうか。)
住民の増減などについては明確なことは分かりませんが、お金がそれだけ必要になることはあるようです。
以前「人員はどれくらい必要か」で紹介したグリーンピースのドイツでの廃炉事例や、
広瀬隆氏のドイツの原発のレポートなどで、
直接雇用の変化は大きくなく廃炉事業で使われたお金が地元に落ちたなどの話があります。
この辺りには可能性も感じ、もっと詳しく知りたいのでもう少し調べてみようかと思います。
現時点での個人的な印象では、直接的な雇用で人口が変わると言うよりはもう少し間接的なことな気がしました。
直接雇用はなんとかなった事例もあるので、うまくいった事例をもう少し詳しく学んだほうがよさそう。
直接雇用的ではない面でもお金が必要だが、その廃炉のお金が地元経済によい影響をあたえるようにできるのかは気になりました。
資料:
原子力人材・技術の維持・強化策 資料集 平成24年11月 経済産業省 文部科学省
【報告】満員御礼: 鹿児島で開催「ポスト原発の雇用とゆたかな地域経済~ドイツからの報告~」
○本当に仕事がなくなるのか。対策可能なのか。
四国電力健康保険組合の一覧を見ると、伊方にある事業所は伊方サービスだけのようです。
250人くらいの会社で四電エンジニアリングの子会社です。
ココが主な伊方原発の地元での保守・運用を現場で行っている会社なのでしょうか。
他エネルギーの業務もしているようです。
伊方発電所の部署人数450人とあわせると大体700人くらいですね。
もしこのぐらいの人数なら、廃炉作業への再雇用などふくめ、がんばれば何とかなるのでしょうか。
廃炉業務の発注についてではありませんが参考までに、
現状の発注についての考え方は、特命発注がほとんどで、原子力では既存設備との整合性が不要な物品をのぞき特命発注のようです。
送電部門では競争発注をするような方針のようです。
廃炉業務の場合どうなるんでしょうか。
以下は関係するかもわからない、一応のメモです。
2010年で、5300人/10000万人の就労人数くらい。
技能者と事務職を会わせて2000人くらい。全部原子力産業従事ということはないと思いますが規模的な数値としてメモします。
出向先と出向者人数の記載。一時期、内製化、元請け化のために出向人数が増加していたようです。メモです。
委託費・委託検診費・委託集金費などはその他として計上(?)されています。グループ会社へのお金の流れでしょうか。メモです。
四国電力社員の収入などの資料もありました。メモです。
資料:
とめまっしょい!!graph
ご質問への回答について 平成25年5月24日 四国電力株式会社
6ページから出向先と出向者人数記載あり。
東北電力株式会社、四国電力株式会社及び北海道電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針
11ページに四国電力の人員計画が記載、出向者の多さの理由はグループ会社をつかった内製化にあるため、は料金原価算入を認めないとある。
また、その他(委託費)、委託検針費・委託集金費などについても記載有り。
プロフィール | 四国電力健康保険組合
ここを見ると、保険に入るような近さの会社は、伊方にある事業所は伊方サービスだけのようにもみえます。。
香川が多いな。なるほど、愛媛に本部があるが、設計をする原子力部、原子燃料部は香川なのでしょうか。
人件費 平成25年4月16日 四国電力株式会社
四国電力社員の収入などが詳しいです。
これまでのご質問への回答について 平成25年5月31日 四国電力株式会社
6ページに発注の考え方が記載
7ぺーじには発注実績額が記載
200億円ずつ、特命発注(入札などしない)がほとんど。
原子力については内製化を強化しているところみたい。
8ページでは内製化による特命発注から競争発注を強化する方針切り替えについて記載。(地元雇用に関連するか??)
○実際に廃炉を検討している諸外国の例
たとえばドイツの例で、電力会社以外の子会社・関連会社の雇用数も知りたい。
直接雇用じゃないのも含め。地元雇用かどうかとか。ドイツでも過疎地に原発が建てられたのだろうか。
資料:
広瀬隆氏が「脱原発先進国」ドイツをルポ 「廃炉でも地元経済は衰退しない」 〈週刊朝日〉-朝日新聞出版|dot.(ドット)
>地元の雇用問題を尋ねると、「かつて原発運転時には2000人ぐらいだったが、原発を受け継いだ現在の国営廃炉企業EWN社(Energiewerke Nord)の従業員は700人余りなので、ほぼ3分の1に減った。社内の労働者は、その分だけ解雇されたので、決して廃炉だけで地元の雇用が確保されるわけではない」という。
(中略)
>次に廃炉コストを尋ねると、「現在まで20年間で、およそ20億~26億ユーロが廃炉作業に投入された。したがって、20年間でおよそ2000億円、毎年100億円ぐらいを要し、その大金が地元に落ちたことになる」という。
(中略)
>そのため、廃炉の解体に伴って成長した鉄鋼関連の機械工業が生まれていたのである。したがって、経済崩壊と高齢化が進んできた東ドイツ側の中では、この地域の雇用悪化はそれほど悪くない状態にあるという。
特報 廃炉の街再生 ドイツ かつての原発城下町 跡地に港、工場団地 雇用取り戻す - 子どもたちの未来へ 《 脱原発と国際協力 》
>廃炉作業は国営企業エナギーヴェルケ・ノルト(EWN)社に委託され、九五年に始まった。原発稼働時には五千五百人の社員が働いていたが、三千六百人が解雇され、八百三十人が廃炉処理と除染の職を得た。多くの労働者が仕事を失った。
リポート 原発が停止した後、何が起きるか2
鹿児島で開催「ポスト原発の雇用とゆたかな地域経済~ドイツからの報告~」(Greenpeace) | Finance GreenWatch
>ドイツの場合、廃炉作業には最低10年かかります。たとえば、2003年に閉鎖され、2004年から廃炉作業が始まったシュターデ原発。発電所での雇用数は、運転中の2002年に約300人だったのに対し、廃炉作業中の2008年は450人、2010年は345人でした。
>また、1997年に閉鎖され、1997年から廃炉作業が続くビュルガッセン原発では、1997年に約500人だった雇用数は、14年後の2011年でも474人とほとんど変わらないことが、電力会社への聞き取りによってわかりました。
運転停止中の米サンオノフレ原発、廃炉へ 運営会社発表 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
>米紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)は、廃炉で約1100人の雇用が失われると報じた。
(文責:ぼん)