手術から三日目

 

今日も、点滴スタンドを頼りにして、痛みを我慢して、病棟をよろよろと休み休み歩く。このリハビリが大切だと言われたからだが、リハビリの担当者の励ましがなかったら、痛みに負けてベッドで寝たままだっただろう。

 

リハビリ担当の方の患者への動機付けは実に巧みでした。褒められると伸びるタイプの老人留五郎である。

 

しかし、リハビリからベッドに戻るとひたすら眠るだけ。痛みを我慢して歩く分、精神力の消耗が激しい。

 

惰眠から覚め、起きている時間は引き続き「春宵十話」を読む。岡潔氏は一流の世界的な数学者であり、亦、哲学者であり、文学者でもある。正に天才が多方面の情報を束ね合わせた思考の深さに圧倒される。

 

氏は、「情緒が頭をつくる」と主張する。

 

頭で学問をするものだいう一般の観念に対して、私は本当は情緒が中心になっているといいたい。人には交感神経系統と副交感神経系統とあり、正常な状態では両方が平衡を保っているが、交感神経系統が主に働いているときは、数学の研究で言えばじわじわと少しずつある目標に詰め寄っている時で、気分から言うと内臓が板にはりつけられているみたいで、胃腸の動きはおさえられている。副交感神経系統が主に働いているときは調子に乗ってどんどん書き進むことができる。そのかわり、胃腸の動きが速すぎて下痢をする。

 

・・・中略・・・

 

感情に不調が起きると下痢をするというが、本当は情緒の中心が実在し、それが身体全体の中心になっているのではないか。その場所は、こめかみの奥の方で、大脳皮質から離れた頭の真ん中にある。ここからなら両方の神経系統が支配できると考えられる。情緒の中心だけでなく、人そのものの中心がまさしくここにあると言って良いだろう。

 

まぁ、こんな調子で、科学的にも当時の幅広い情報がまとめられ、文学的な要素を加え、論理を展開する様に圧倒されます。

 

凡夫が、ある文章に出会い、圧倒されるとそれを理解するまでに時間がかかるのは当たり前。凡夫の留五郎は、それを理解する為に役に立たない惰眠に耽る。(これ言い訳)

 

しかし、病院のベッドとは、そういうところだ。たくさんの堅い本を持ち込んだところで、集中力を支える体力がないのだから仕方がない。朝晩の20分の勤行でさえ、辛くて心が折れそうになる。

 

夜、昨日に引き続き、皆さんのブログを読む。私が読ませていただいているブログの皆さんは、ちゃんと定期的にブログを更新されている。実に立派なことだと思う。

 

このところの私は、自分のブログは怠けっぱなしである。「怠け癖」と言うように懈怠は、習慣になるものだ。

 

なので、徐々にブログの更新も頻度を上げたいと思っている。ブログ更新はボケ防止にも良いだろう。

 

ブルースハープの名手、レイジー・レスター。このシンプルなスワンプブルースは機関車がゆるゆると動き始める様な印象を与える。機関車の様に、ゆっくりとリハビリを重ねて行こう!