朝早く5時には目がさめる。8時45分に手術室へ移動。

 

麻酔科のドクターが背骨にお腹から腰までの区域麻酔の注射針を刺して、区域麻酔が開始される。

 

その後、点滴で全身麻酔が注入される。9時から手術開始。腹腔鏡で大腸から直腸まで18cmを輪切りにして取り出す手術、合わせて該当部位のリンパ節も切除する。

 

腹腔鏡手術はおへそとお腹の左右上下に5箇所の穴が開けられる。リンパ節まで含んだ直腸から大腸の切除部分は、おへそを広げた5センチくらいの穴から取り出される。

 

手術が終わったのが14時。予定より1時間延びたようだ。やや小太りだから仕方がない。太っている人は、もっと手術時間が伸びるのかもしれない。

 

全身の麻酔も区域麻酔も効いているので、意識が戻っても痛みは感じない。

 

お腹の中にチューブが通され、凹んだゴムボールが末端にあり、その負圧で、手術でお腹にたまった組織液や血液を吸い出す仕組み。このチューブにどす黒い液が溜まると大腸と直腸の縫合が外れた可能性があるとのこと。

 

その他、尿も、便もチューブによって体外に排出される。点滴が腕に、心電図用の電極、背中の麻酔点滴、酸素カニューレが鼻に繋がれ、指先には血中酸素濃度と脈を知らせるパルスオキシメータを挟まれる、これらを使ってICUで徹底的に体調を観察される。

 

自分で身動きはできない。血中の酸素量が少ないので、横を向いて寝かされる。ある程度時間が経てば、反対側に背中を押され寝る。仰向けは舌の根元が下がって、喉を塞ぐからだという。

 

寝返りの時、看護師さんにお腹側の傷口を押されると痛みが走る。看護師さんは患者がどこを切っているかは認識できていないと同時に小太りの自分が悪いのだ。

 

ICUでは、スマホの電話はできないが、スマホを使ってメールやネットはできる。

 

睡眠は、2時間おきに目が覚めた様に思うが、それでも熟睡できた様に感じる。点滴は栄養補給のビーフリード500mlを24時間で4回。その他、痛み止め、抗生剤も使われる。

 

薬のおかげで痛みが少ないのがありがたいが、静かに寝ているだけしかできない。

 

19世紀末に麻酔を使う手術が広まって、患者本人の苦痛も、執刀する外科医の精神的な苦痛も救われたのが奇跡の様だ。

 

 

ジュール・マスネは19世紀フランスの代表的なオペラ作曲家。「修道僧と娼婦」の愛と葛藤を描いた歌劇「タイス」の中の瞑想曲は、流麗な旋律が儚く美しく数々の指揮者に取り上げらている。カラヤンのアダージョ曲集の中でも私が好きな曲だ。