2本目は『任侠ヘルパー』
テレビドラマの映画化、ということで
このパターンは見るとガッカリって言う事が多いので
ちょっと不安だったのですが・・・
やっぱり観てみないと、と思って行ってみました。
●あらすじ
暴力団の隼会から脱退し、堅気となってコンビニ店員として働く翼彦一(草なぎ剛)。強盗に入った老人に店の金を渡したことから刑務所送りになった彼は、獄中でその老人・蔦井雄三(堺正章)と再会。元極道であった彼は彦一に、コンビニの件の礼として出所後に自分と兄弟分だった極鵬会の組長・朝比奈(宇崎竜童)を頼れるように手はずを整えてくれる。出所したものの、身を寄せる場所のない彦一は、朝比奈を訪ねることに。だが、彼から破産した老人たちを劣悪な介護施設に放り込み、年金や生活保護費を絞り取るシノギを強いられる。
よかったです。
Yahoo!映画の星★の数がすごく高いのも本当だ!と思いました。
ドラマを観ていなくても全く問題ない内容です。
剛ポンがヤクザで、ヘルパーをやったことがある、という事が
わかっていればOK。
高齢化。
高齢者をねらう詐欺。
介護問題。
介護施設の少なさ。
施設に入れても、院内でのケア内容。
全編、現代社会の問題を描いている映画でした。
劣悪な施設を、彦一が入所者を巻き込んで改善していく所は
「そんなに簡単にうまくいく?」と思ったけど・・・
もうちょっと四苦八苦して、老人たちがだんだん元気になって、
明るい施設になっていく様子が見たかったんですけどね。
でも、話はそこからが本番ですし。
まあ上映時間の問題ですかね。
そう、話はここから。
指示にそむいて施設を変えた彦一を、組がねらい
新しい福祉改革を打ち出す議員(香川照之)も襲われ、
彦一の施設も放火され、老人たちは命からがら逃げ出す。
どうなる、彦一!?って感じです。
彦一。
ヤクザなのに、怖いのに、なぜか憎めない。
これはドラマの時と同じ。
剛ポンがかもし出す雰囲気がそうさせるんでしょうか。
矢のような鋭い目つき。
ドスのきいた声。
いつも見る剛ポンとは全く違います。
別人です。
そんな四六時中怖い顔の彦一が、たまに笑う。
このギャップが、また魅力的で・・・
ほんと、剛ポンの演技を観るたびに、彼はすごいと思う。
子分の風間俊介も、ちょこちょこ後をついていく様が愛嬌があったし
水商売で弟妹を養う夏帆はギャルメイク、新境地でした。
黒木メイサも、ちゃんと出てましたね。
しかもわりと大事な役。
香川照之は、うーん、いつも彼が出てくるといいなあと思うけど、
今回は特に香川さんでなくてもよかったような気がします。
安田成美も同じかな。
そしてなにより絶対に伝えたいのは、介護施設にいる老人たちです。
演技と思えない、ものすごくリアリティがあって、
これがこの映画の質をグググッと高めているんだと思います。
草村礼子や品川徹など、いつもスッとした役をこなしている人たちが
うつろな眼、だらんと空いた口、ボサボサの髪に汚れた衣服で
ベッドに縛りつけられ、大声で泣きわめく姿は衝撃でした。
高齢化問題。
映画に出てきたことだけではないことはわかっていますが、
たくさんのことを知り、考えました。
剛ポンや風間くん目当てに観に来る人も多いでしょう。
そういうただの映画として観に来た人、
自分にはまだ早い、関係ないと思っている人が見ても、
きっと何かしら知って感じて、考える部分があると思います。
たくさんの人に観てもらいたい、と心から思いました。