幕の内一歩は矢吹丈ではない | デトロイトヒットマンのブログ

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ぱるること島崎遥香さんは神推し殿堂入り
KATYさん 戦慄かなのさん かっこイー系のアイドル推し
そして私デトロイトヒットマンの”ラストアイドル”大森靖子さんが永遠の神推しとなります

先日の少年マガジンの表紙の件は大変物議を醸したが
実は私デトロイトヒットマンは大昔からの少年マガジン愛読者
小学生の頃からずっと読んでいる 

以前にも記したが特に好きだったのが梶原一騎原作の作品
少年マガジンでは「巨人の星」「あしたのジョー」「愛と誠」
ぼくらマガジンには「タイガーマスク」冒険王には「夕焼け番長」

他にも数え切れないくらいの名作をこの世に生み出している

梶原作品が少年次代の人格形成にどれほど影響を与えたことが
今でも星一徹が息子の飛雄馬に教えた数々の話を覚えている
”死ぬときは前のめりで死んでいけ”とても印象的な言葉だった

梶原作品にはある特徴的な共通点がある
それは物語のラストがハッピーエンドで終らないこと
いつも主人公には悲劇的な最後が待っていた

ヒーローの最後には賞賛が待っていることを良しとしない
星飛雄馬 矢吹丈 伊達直人 赤城忠治 大賀誠
最後は皆寂しく惨めに表舞台から去っていった

ヒーローの最後はただ消え去るのみ
これは梶原一騎の美学だったのだと思う

梶原作品が私の人生においての考え方にも影響を与えていた
スポーツ選手もアイドルもナンバーワンにはさほど惹かれない
頂点には立てなかったが比類なきオンリーワンに心を奪われた

これは梶原一騎作品に触れ大いなる感動に涙したおかげだろう
勝つことよりもっと大切なことがあると教えてもらったからだ


そして梶原作品で最も好きなのが「あしたのジョー」だ

20数年前NHKの番組で最も好きな漫画界の主人公は?
その投票結果で堂々1位を獲得したのが矢吹丈だった

よど号ハイジャック事件で赤軍派の声明文が読み上げられた
”我々はあしたのジョーである”

かと思えば右派の作家三島由紀夫氏もあしたのジョーの愛読者

もう体制派も反体制派も関係ない
ただひたすら強いものに反抗し戦い続けるジョーに心酔していた

昭和という時代背景もあるのだろう
戦後の高度成長期に取り残された貧しい人々がいた
所謂弱者と呼ばれる人々たちのヒーローが矢吹丈だった

ネットで調べるとジョーの最終戦績は19勝6敗1NC
これは3流ボクサーの戦績だ とても世界王者にはなれない
しかしジョーの本当の強さは戦績で測れるものではなかった

ジョーの最後の対戦相手 無敵の世界王者ホセ・メンドーサ
スピード パワー テクニック 戦術 セコンドワーク
全てに段違いの力を誇るホセが最後にジョーに追い詰められる

試合終盤のラウンド ホセが初めて不安に襲われた
KO破壊力満点のパンチを打っても打っても向かってくる
まさに死にたい奴が向かってくる ジョーに怖れを感じたのだ 

メキシコ国家と愛する家族に支えられたホセの計算が狂った
やつ(ジョー)には哀しむ人間がいないのか!

豊かな生活に人生を謳歌する成功者(ホセ)に対し時代に取り残された弱者(ジョー)が無謀にも噛み付きしだいに追い詰めていく 

この物語が庶民の心を打った一番の要因だと感じる


時代は代わり 現在は平成
マガジンで人気作品のボクシング漫画「はじめの一歩」
作者は森川ジョージ氏

平成元年の連載開始だからもう27年やっている 凄いな
「あしたのジョー」が連載5年で終了したから尚更長く感じる

「はじめの一歩」は主人公の一歩だけではなく
周りの登場人物にもスポットライトを当てて紹介している
それにしても長い この漫画の最後はどうなるのだろう?

一歩の全戦績は23勝2敗 十分世界を狙えるキャリアだ
しかし最新の世界前哨戦はKO負け
約1年間かけて連載してきたゴンザレス戦での負けは痛い

森川氏は一歩のキャリアにどう決着をつけるつもりなのか?

そしてAKBが表紙を飾った最新号で衝撃の展開が
一歩にパンチドランカーの兆候が!

最近の展開を考えると納得はいく 
一歩もジョーと同じで打たせ過ぎだ

ジョーも一歩も打たれてから調子が出る選手
これは始末が悪い

しかし ここに来ての急展開が気になる
ちなみに日本一長く連載していた漫画「こち亀」も終了する
森川氏がここらで一歩も終らせたいと考えても不思議ではない

だが問題はその終らせ方だ
27年もファンを楽しませてくれた名作 
そして一歩も間違いなくヒーローだから

リカルドを倒して世界王者になるという夢はもう叶わないとしても
一歩が最大の目標にしていた宮田との試合は実現してほしい

ジョーには力石がいた 一歩にも宮田がいる
これだけは終らせないといけない 
まあ そんなこと云わなくても森川氏はわかっているだろうが

もうひとつ気になるのは一歩のパンチドランカー症状の進み具合
まさかジョーのように真っ白な灰になって終るなんてラストは・・・

まあそれはないだろう あれも昭和的な終り方だったから
ジョーは戦後の昭和20年代前半の出生だったはず

天涯孤独で身寄りのないジョーが自らの命を削って生涯最後の戦いに挑んだ結果だから あのラストシーンが感動を呼んだ

いじめられっこからの脱却を目指しグローブを握った一歩と社会に対する反骨精神から戦い続けた丈とは根本から生き方が違う

宮田戦を経てエンディングへと向かうだろう「はじめの一歩」

今後どんな展開をみせるのかはまだお楽しみではあるが
最後は幼い頃不慮の事故で父親を亡くし女でひとつで一歩を育ててくれた母親の元に無事に一歩を帰してあげること 

平成のヒーローにはこれが一番望ましい結果ではないのかな

幕の内一歩は矢吹丈ではない わかってますよね 森川先生!