私は以前、都内一部上場企業に勤めていました。
ある時に私と同じ課に、2人の新人さんが同時入社しました。
新人さんといっても、2人とも中途入社のおじさんですが。
新人のAさんは同じ業界の経験者で、営業商品の使い方や業界のネットワークにも詳しく、まあ安心して見ていました。
ちょっと暗い性格だけは心配でしたが。
かたや新人のBさんは、まったく違う業界からの入社で、この業界を覚えるのが大変で、少し心配していました。
ただ、都内超有名W大学出身で、物腰柔らかな明るい性格。
グループでもみんなの意見をまとめていて、とても利口な人でした。
そして、周りも新たなライバルの入社により、さらに張り切って仕事をするようになりました。
私の部署は営業部隊なので、売上げを伸ばすことが必須です。
2人とも仕事を覚えるまでにひと月かかりましたが、3か月もすると先輩達のアドバイスもあり、1人でも率先して営業に行くようになりました。
すると、新人のBさんがナント!
たった1週間で大口契約を結んできたのです!
これにはみんなが驚き、新人賞を獲得する超お手柄でした。


まあ、Bさんは落ち着いた話し方で、マニュアルどおりの理路整然としたトークだったので、お客様にとっても、細かいことは説明されなくても、安心感から契約を結んできたのかな?と思っていました。
Aさんはというと、懸命に歩き回り、たくさんの商談をしているのですが、まったく契約を結んでこれません。
知識はあるのになぁ。
その後、半年経った頃の2人の営業成績を確認してみると、驚くことにAさんはサッパリで周りにも運が無いと愚痴っています。
Bさんは先輩社員をしのぐほどで、すでにエースとなって部署で1番の好成績を収めていました!
私は、あれだけ利口なトークなら、お客様は丸め込まれて、その後のフォローも上手なんだろうなと思っていました。
そんなある日、私は翌日の重要な会議の資料を作成する為に、誰もいない部署で集中して仕事をしようと、珍しく朝5時に起きました。
コンビニでホットコーヒーとサンドイッチを買い込み、7時にオフィスに着いて、さあひと仕事!うるさい部長もいないぜ〜〜!ウキウキ!
と?
向かいの席に、誰か座っている!?
なんとそれは、新人のBさんでした!


コーヒーを飲みながら、ひとり静かに書類を作成しています!
私はびっくりして、声をかけました。
Bさんも、会議の資料を作っているの?
Bさんは、いえいえ、昨日の仕事のまとめと、今日の仕事の計画を立てて、少し勉強していますと言うのです。
って、ルーティン作業を、こんなに早く出社してやってるの?

私はさらにびっくりして尋ねました。
もしかして毎日朝早く来てるの?
Bさんは、そうです。と答えました。
いやーまいりました!
あれだけのトークにプラスして、誰よりも早く来て、資料を作って、さらに勉強して自分の知識を得ていたなんて!
あれだけの好成績を挙げた裏には、こんな努力があったんだなぁ。
周りと話す時にも自信満々でいられるのは、こんな裏付けがあったのか!
天才的なトークと、運が味方したとだけ思っていた自分が恥ずかしくなりました。

そして、業界の知識が豊富なだけのAさんは、成績が上がらずに、1年後に退社していきました。
私はBさんに倣って、毎日朝早く出社する事に決めました。
すると、全てに余裕が生まれて、成績も向上していきました。
成績の上がらない大多数の人間と一緒の行動をして、愚痴をこぼしていても何も変わりません。
運に任せるのではなく、良い行動を真似ることも必要ですね。
今日の言葉
努力する人は希望を語り、
怠ける人は不満を語る。
ー井上靖










