ブログリレー心待ちにしてました。笑
ということで吉尾です。
昨日副団長がストイックとかマニアックとか書いて無駄にハードルが上がりましたが、私は気楽に書きますので悪しからず。
前回の記事が演奏会直前で全く気の利かないことしか書けませんでした。今日は「この演奏がアツい!」「この曲が尊い!」(?)特集ということで書いていきたいと思います。
私の好きな曲なのですが…1曲に絞るのは、曲をたくさん知れば知るほど難しくなるんですよね。実際しぼれない。
ただ、寒い地方の音楽は好きな曲が多いです。北欧系は特に。
北欧系の音楽というのは、スウェーデン、ノルウェー、デンマークといった国々の作品群です。
音楽史的には19世紀後半頃、ドイツイタリア、オーストリアを中心としていた西洋音楽の語彙に一瞬影の見える時代(もちろん進歩はしていますがアイデアが枯渇しているような作品群が続く)に、民族的な要素を含んだクラシック音楽というものが注目されるようになりました。シベリウスやグリーグといった作曲家をきっかけに、北欧の音楽が世界へと台頭してきたのです。
民族的な要素の音楽というと、このTSOで先に取り上げたグリンカやチャイコフスキーといった作曲家のことが思い出されますが、彼らは民謡そのものをクラシック音楽に組み込んでいったのに対し、北欧の作曲家は民謡のみならず北欧の透き通った空気感すらも音楽の中に閉じ込めたような特別感を感じます。
あ、いや、ロシアの作品群は旋律だけだ!なんて言うつもりはありません。いくら優れた旋律でもそれに見合うオブリガードや和声進行が無ければ楽曲は成立しませんから。まあでもそれは今度にしましょう。とりあえずゴタゴタ書きましたが、理屈抜きに好きなんです。北欧もの。
では。
Kurt Atterberg : Symphonie Nr.6 Op.31 {Doller Symphonie}
アッテルベリ:交響曲第6番 op.31 (俗称、ドル交響曲)
クルト・アッテルベリは20世紀に活躍したスウェーデン人作曲家で、生涯に9の交響曲を残しました。
その中でも第6番交響曲は、彼を世界的に有名な作曲家として知らせるきっかけとなった楽曲です。
3楽章の構成を持つこの作品は、彼自身は「古いスタイルの人々を愚弄する作品」と語っておりますが、のちにop.31bisとしてこの楽曲をピアノ五重奏曲に編曲し直すなど、他の交響曲には無い愛着のようなものを感じさせます。
第1楽章は第2主題がいいですね。ものすごいロマンティックで、さらに展開部から再現部への戻り方が秀逸です。アツい。
第2楽章はe mollの美しく厳しい響きの音楽で、しみる。しみます。(語彙力)
第3楽章はすべての楽器に見せ場があると言っても過言では無いほど各楽器の魅力が生かされる音形やメロディにあふれています。
特に中間部の金管楽器のファンファーレなんかは、本当に素晴らしい。
個人的オススメは第1楽章からぶっ通しで聴いた後の3楽章です。普通の聴き方かい。
なんでかというと、第3楽章のラスト、第1楽章の主題が再現される(めっちゃカッコいい!!!!)のですが、
私が一番推したいのは!!!
その直前5小節!!!!
なんとこの曲で唯一はっきりとした主張でIV-Vの和声進行がクラッシュシンバルに導かれて出現するのです!!!
この響きがもう幸せの極み。ああアッテルベリさんこんなに素晴らしい音楽を書いてくれてありがとうございますと。
他にもIV-Vの動きなんてたくさんあるんです。でもこんなに特別感もった書き方できます?
30分もの時間を音楽を聴くことだけに集中する。
それだけでも贅沢なのに。ラストでこんなにいいんですか!?こんなに美味しい和声進行で書いて曲を締めくくってくれるんですか!?いいんですか???って。こんなに綺麗に凝った内容のことたくさん書いてるのに、最後の最後にそのシンプルな手法!?!?!?ずるくない!?!?あざといどころの話じゃねえぞ!?!?
ものすごい充足感です。間違いなく。私は。いつも。
さあ。聴いてみましょう。
どの演奏も好きなのですが、スピード感がたまらなく良い!って演奏は…
アッテルベリの作品集CD ネーメ・ヤルヴィが指揮している演奏はオススメですね。
日本人指揮者であれば、広上淳一さん指揮の録音もあります。私はちなみに広上淳一さんが指揮するドル交響曲を生で聴いたことがあります。最高でした。ありがとうございました。
アッテルベリの他のオススメ作品は、
ヴェルムランド狂詩曲(寒い地方の、自然の厳しさに立ち向かいながら慎ましく暮らす人々の姿が脳に浮かぶような作品)
組曲第1番「東洋風」(北欧人視点のオリエンタルな音楽語法が興味深い)
なんかがオススメです。あんまりマニアック方向いかないほうがええよね。
ちなみに。他のスウェーデン人作曲家だと。
サクソフォン作品を残した有名な作曲家ですと、ラーシュ・エリク・ラーションとエルランド・フォン・コックが筆頭に来ます。
ラーションのサクソフォン協奏曲に関しては、サクソフォン協奏曲というジャンルのレパートリーの中では王道の作品と言えますので割愛しますが、エルランド・フォン・コックに関してはあまり馴染みない方もいらっしゃるかもしれません。
サクソフォン協奏曲と、サクソフォン四重奏曲を残しています。
コンチェルトの方は特に、一言で言うとラーションのそれにかなり似ています。様式が。本当に。
均整の整ったフォーム、ラッシャーを彷彿とさせる様々な奏法など、興味深いことが楽譜にたくさん書いてあります。
ちなみに、コック作品ではオーケストラの作品に、「何故これがこんなにマイナー!?」と言う曲があります。
最後に紹介しちゃいます。
Elrand von Koch : Nordikst Capriccio
エルランド・フォン・コック:北欧狂詩曲
演奏時間は6分程度の小品なのですが、こんなにカッコよくて美しいオーケストラ作品、どうして演奏されないの!?
と、いつも思っています。日本で演奏されたことあるのかなあ。
このスピード感と管弦楽法はまさに「北欧」。肌寒さと、冷たい風の心地よさ、夜明けの北の海の広大さ。射し込む光…
ぜひ聴いてみてください。
ちなみにアッテルベリもコックも、Apple musicでも聴けますので是非!調べてみてくださいね!
コック作品集に関しては、彼のサクソフォン協奏曲が、ラッシャーのソロで(!)聴けます。
このCDだ!
さあ、明日は田島怜さん!!!
ん………?
真相は明日!!!!!!楽しみにしてます!!!田島さん!!!