私がサポーターとして参加していた里親里子支援のキャンプでは、幼児さんから高校生まで幅広い年齢層が参加していました。

初回の参加時には1人の小さい男の子の担当で、つきっきりでした。
おんぶしてほしいと言われればおんぶし、そのまま坂を走れと言われたら走りました。

私はこの子から多くのことを学びました。
今の活動や私の講演で話すことの原点にもなっている経験をさせてくれた一人が彼です。

大人たちが無意識に思ってしまう、「小さい子供は難しいことは考えていない」とか
「難しいことは感じたりはしていない」というのが大きな間違いで、下手したら大人以上に感じ、考えているのだと気付かせてくれました。

こどもと信頼関係を築き、予想ではなく対話によって子供の気持ちや考えを察知することの大切さを学びました。

おもちゃの取り合いの兄弟げんかで泣いている彼を、周りの大人はにこにこしてほほえましく見つめていました。
しかし、その子は泣きながら抱きついてきて、私にだけ聞こえる小さな声で、日ごろから抱えている、その年齢で抱えるには酷すぎる悲痛な想いを教えてくれました。


正直、この話を人にするとき、こんなに小さい子がこんな想いを抱えて毎日を生きているのかと思うと耐えられなくて、今でも私が泣きそうになります。

はたから見ると幼稚でほほえましい「おもちゃの取り合い」や「兄弟喧嘩」でも、子供はいろんなことと関連付けて複雑に想い、感じ、悩んでいるのかもしれません

当時の私は、彼に、周りの人が彼のことをどれだけ愛しているかを話しながら抱きしめることしかできませんでした。
あんなにも無力感を感じたのは人生で初めてでした。

彼に寄り添って過ごした2泊3日、私にとっては大きな学びでした。
そして二回目の参加のとき、彼は予定が合わずに不参加でしたが、彼の友達から彼が私に会えるって楽しみにしていたと教えてもらいました。

彼が泣いて感情を吐露したあの瞬間に私がそばにいられたことに、少しでも意味があったのかなと思えて、またいつか彼に会ったときに彼の成長を見るのが楽しみだなと感じました。