中学校の時のバルキーソックス | 鼻たれ小僧とタイツ足

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懐かしき小学校時代

男の子がタイツを穿いてても当たり前だった

突然‼ あの頃の事を思い出してみたくなった

この話は、先日M君と飲みに行った時に出た、昔話の一つです。

以下、M君が語った内容から…。

 

M君はタイツ、パンスト、昔のバルキー白ソックスが好きだそうです。

何を隠そう僕も似たような者ですが、その頃の僕たちはまだまだうぶな年ごろ、何年か前まで、タイツ欠乏症に陥った事実もどこへやら、周りの女子の全てが白ソックスの時代に、別段何も感じてはいなかったのです。

自分が小学校時代、遠足、修学旅行や学校行事の時には、ハイソックス(様々な織り込み模様の入った白のやつ)が学校の決まりで、真夏など、それ以外の時期は男女関係なく白のバルキーソックスを穿いていたような記憶があります。

僕らが中学入学時には、上の写真のような白地に模様編みの入ったソックス、又は、下の写真のようなバルキーソックスを三つ折りにせず、伸ばしたまま長ズボンの下に穿いていました。

小学校からの名残りのように。

各学年A~Cと3クラスでしたが、僕は1年の時M君と一緒でした。

たしか一学期も終わりの頃、八百屋のM君にちょっとした事件が起きました。

 

何とも暑い7月半ば、昼休み、中庭でワイワイやってた僕とM君の所へ隣の校区から通っている2年のR子さんがやって来ました。

「M君ってどの組なの?」「けっこうなハンサムさんなのねえ」

とニタニタ笑いながらそんな言葉をかけてきたのです。

周りには1~2年の男子女子が何人もウロウロしている中でです。

R子さんが声をかけてきた時、彼女は確かラインソックスを穿いていたと思います。

思い出してみると、真ん中の写真のようなラインソックスがはやり始めたのがそのころだったか?

1学期の終わりごろには、普通の白リブソックスが当たり前になり、一部の女子が未だバルキーソックスを穿いていたように思います。

2年の男子にからかわれたり、突き飛ばされたR子さんが、M君の背中に飛んできて、折り重なってすっころんだりとM君も大変だったようです。

僕もよく隣にいたもので、ひやひやするやら、少しだけ羨ましいやら。

「今思えばあの頃のラインソックスってなんだかかっこよかったよなあ」とM君は言います。僕も同感です。

あの頃のトレンドです。  だから2学期の始まりには、かなりの割合でラインソックスを穿く者が多くなりました。

そのR子さんには、3年にE子さんという姉がいました。

その子もよく見かける度に、ラインソックスを穿いていていました。

R子さんとM君は、さほど親しい仲になったわけではなく、廊下で会ったら簡単な挨拶を交わすだけで、やがては夏休みになりました。

 

2学期になり、修学旅行に行く3年とは別に、1~2年は9月の終わりにひとまとめに遠足に行く運びとなりました。

バスで1.5時間ほどの所にある水族館でした。

1年、2年と2台のバスで。

一通り見学して弁当食って、しばしの自由時間になりました。

クラスメイト達とウロウロしていると、

「オイR子、Mが来たぜ、並んで写真撮ってもらえば」

2年の男子が冷やかしてきました。

M君は気後れしたのか、R子さんには近づかず、僕らと一緒に、遠巻きにして眺めてるだけでした。

出発時には気づかなかったのですが、R子さんは何を思ったのやら、先丸で光沢のある、少しだけ踵が高いストラップ付の革靴を履き、(下の写真のような)完全なバルキー三つ折りソックスを穿いていました。

え!てな感じで少しだけ近づいて行くと、

「M君もPolo君も一緒に撮ろうよ」とR子さん。

「いやまあ、今日はいいや、また今度ね」

M君はにべもなく言うと、そそくさとその場を後にしました。僕も同時に。

 

遠足が終わってからも、2人は挨拶だけ。

冬を超え春が来て、僕らは2年、R子さんは3年に。

密かに会ってる事など決してないまま、2人は顔も合わすこともなく、月日は過ぎ、後で聞いた話では、

姉のE子さんは県立の商業高校へ進学したそうで、次の年R子さんは、姉と同じ高校を受験するも不合格になり、私立の高校へ進学するも、ヤンキーというかスケバンというか、荒れて行ったのだとか。

 

出身地に帰ってきた20代前半、ジャズパブとかで、何度か姉のE子さんと出くわした事がありました。

M君と一緒の時にも会った事もありました。

ふと目が合って会釈するくらいで、時たま近くを通過した時「確か○○E子さんですよね?」などと訊くと

「あら、M君とPolo君じゃない、いい大人になったよね」

そんな答えをもらったりもした。

それ以上の会話もなく、R子さんの話など、持ちかけるべきではない、E子さんは笑ってはいるが、それ以上の会話など望んではいないように、僕もM君も感じていました。

 

一体何がR子さんを変えたのか?確か2年の頃は少しだけおませで垢ぬけた感じがあったR子さん。今流に言えば、あえてレトロな感じで目立とうとしたのか、その頃の彼女には、まだお嬢さん的よそ行きのこだわりがあったのかもしれません。

「今考えるとさあ、あん時一緒に写真撮っときゃよかったよな、あのソックス今なら見ものだもん、でもさ、あん時は俺さ、ほんとたじろいじゃって、2年のヤツらもヤだったけど、なあ、どうしてあの人、あんな時代遅れのカッコしてきたんだろう、あん時R子がラインソックスを穿いてたら一緒に撮ってたかもな」

俺たちがもうすぐ60才にもなろうとしている今、R子さん、生きてるんだろうか?

恐ろしい世界の住人なのかな? 普通の農家のおばはんにでもなっていたらいいな。

 

たった1度きりのバルキー三つ折り、M君と僕の身勝手な思い込み。

年齢を重ねる度に人は丸くなれたらいいのにな。