先日、業界紙の“税理士界”を読んでハタと考えた。


我々の業界は18年度末の登録税理士数約7万人。そのうち国家試験合格者が45%弱、試験免除者25%、特別試験合格者約20%、公認会計士・弁護士等約10%。なんと国家試験合格者が半分にも満たない業界なのです。


試験免除者、特別試験合格者の詳細な内訳までは分かりませんが、税務官署等のOB、大学院卒業の免除者、教授等の免除者が含まれていると思われます。公認会計士・弁護士は当然ながら申請だけで登録されます。


国家試験とされている資格でありながら、その試験合格者が半分にも満たないなんてそりゃ社会的地位が上がるわけないわと思う。


ちょっと調べてみると、おもしろい資料が見つかったので紹介します。


税務職員組合の要望もあり、昭和31年税理士法改正時において、特別試験により税理士登録できる途を開いた。そのときの大蔵省の見解は「(省略)弁護士及び公認会計士たるべき資格について考えてみると、弁護士は人権の擁護においてまた、公認会計士は一般投資家の保護という点においてその責任は重大であり、したがってその資格要件は厳重にしておく必要がある。しかし、税理士たる資格要件について考えると、税理士は納税者の補助者たる機能を果たすものであり、この意味においてその機能は弁護士・公認会計士ほど厳重にしておく必要はないであろう。更に税理士の資格はその試験に合格した者のみに与えられることについても問題があり、試験制度が万能でないことも考えねばならない。」


なめられたものである。試験制度が万能でないなら、弁護士・公認会計士だって同じであろう。

(笑い)


そもそも国が公務員の退職後の受け皿に税理士を用意するなんて、こりゃおかしいわ。何かこの辺からして国が税理士会を下請けに使おうとしている現在の構造が垣間見られるよね。


もっともこのような例は税理士業界に限らないと思いますが。


このようなことで、税理士法第1条で謳っている専門家としての独立性が本当に確保できるのであろうか?


何も税務署職員が税理士になることに反論しているのではない。税務署職員の中にも優秀な人がたくさんいることは百も承知です。ただ、国が退職後税理士になることを推奨するのであれば、内部講習などをしてでも、通常の国家試験を在職中に受験することを勧めれば良いだけの話である。安易な試験で資格を付与する国の施策がおかしいと思うのです。


ここで資格試験一般について考えてみれば、私の考えは①受験資格を設けない。②試験合格者以外の特例は原則として設けない。この2点です。


これに最も近かったのが弁護士試験だったのではないでしょうか。学歴も関係なく、何人にも門戸の開かれた試験というイメージでした。ただ、最近は受験可能回数の制限も一部に適用されているようで、このような制度は撤廃すべきだと思います。


資格を夢見て努力している者には、いつでも門戸を開放する。これです。


最近の弁護士・公認会計士の合格者の多さには目を見張るものがあります。こんなに増やしてどうするのという感じです。両士業の問題だけではありません。申請だけで登録できる我々税理士業界も大変です。両士業の需要が飽和状態となれば、税理士業界への登録者が自然と増えてくるでしょう。


結論から言えば、資格制度を維持するなら、兼業できる資格なんてなくせば良いのです。それか、極端ですが、資格特権なんてなくしてしまい、誰でも能力のある者は勝手にできるようにすれば良いのです。


ちょっと荒っぽい意見でしょうか。でも、そうでもしないと資格を夢見て努力している若者にプライドの持てる資格として推奨できないのではないでしょうか。


萩原博之