「マラニック」という言葉がある。
マラソンとピクニックを掛け合わせた造語だそうだ。
でもトコロジストには、「見る」ということに力点を置いて「ジョグウォッチング」というのもありじゃないかと思う。
ボクにとってジョギングは、少し広い範囲でフィールドを見るための手段だ。
だから、視界の利く昼間に走ることが多い。
そして、走りながら面白いものがあると写真を撮ったり、鳥や虫の声に耳をそばだてている。
今日は仕事が休みなので午前中、自宅~多摩川の二ヶ領堰堤(稲田堤)間を、往復14㎞走った。
家を出て、まず通りがかるのは、かおりとの散歩コースにもなっている城山公園だ。
ここで、アベリアの生垣の花に来る虫を見ようと思ったら・・・。
生垣はきれいに刈り込まれていた。ガッカリ!
まだ花が2割くらい残っていて、この花の蜜を吸いに来るチョウもいたのになあ。
案の定、歩道の真ん中でムラサキシジミが羽を広げて日の光を浴びていた。
ほら、こういうチョウがまだ花の蜜を吸いに来るんだよ。
成虫越冬するやつかな。
続いて「オタマジャクシの池」。
夏の間池の水面は、水草が茂って緑色に染まっていた。
今は、落ち葉が降り積もって、茶色に染まっている。
小さな池だけど、季節によって全く違う顔を見せてくれる。
そこから坂道を下り、JR南武線の「南多摩」駅に出る。
この駅は今、踏切の高架化と駅前の再開発をやっている。
今年5月に、コチドリが繁殖していた荒地も、このとおり今や完全に整地されてしまった。
駅前の工事現場を抜けて、多摩川の土手に出るころには、だいぶ体が温まってきた。
あとは、ひたすらまっすぐ走るだけ。
ところで、何度も同じ道を繰り返し走っていると、
「この辺でいつもモズが鳴いている。」とか、
「このあたりではムクドリがグランドの白線(石灰)を食べている。」
という具合に、生きものがどんな場所をどんなふうに利用しているのか、少しずつ見えてくることがある。
こういうとき、観察記録をその場で書ければいいのだけれど、なかなかそうもいかない。
そして、そのままにしておくと、30秒後には忘れてしまう。
そこでできるだけ、写真を撮るようにしている。
後で、写真を見れば記録を起こすことができるからだ。
もう一つ試してみようと思っているのは、録音機能付きのMP3プレイヤーをしのばせて走ること。
これなら、かさばらないし、思いついた時に、口頭で録音すればいい。
また、ジョギングしていると、それまで悶々と考えていたことについて、パッとひらめいて答えが見つかることも多い。
こういうときにも、MP3プレイヤーは活躍しそうだ。
そんなことを考えながら走っていたら、1時間50分あっという間に走り終えてしまった。