自宅で毎日取り組む算数問題集を使って、
最近の息子はかけ算とわり算の復習をくりかえしてきた。
一方、学校の算数の授業にも参加するようになり、
昨日は2桁×2桁のかけ算をひっ算でやるという内容に取り組んだらしい。
そこで、家の問題集にもあるそのページを自ら開き、
2桁同士のかけ算をやってみるというではないか。
ほほう。
どこをひっくり返して探しても見つからなかった
きみのやる気スイッチ、一応存在していたんだね。
と、ホクホク見守るワタクシ。
すると、第一問目の途中で「これあってる?」と確認してきたので
一の位が間違っていることを伝えると、
そこから突然嵐が吹き荒れた。
今の今まで「本日は晴天なり」だったのに、
目に見えてイラつき始めるたろやん。
どうしたどうした、まだ一問目の途中ジャマイカ。
なんとかなだめつつ、間違いを修正し、
答えを導き出すところまでこぎつけたが、
たろの機嫌はすこぶる悪い。
自分のふがいなさに打ち震え、涙腺は崩壊寸前である。
「間違ったっていいんだよ、ほらもう出来てるし」と取り成したつもりが逆効果。
「このページは二度とやらない!」と言って涙を袖でぬぐい始める。
ココからたろの心の声。
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ここ数週間をかけて一桁かけ算(=九九)の復習を重ねた俺。
さすがに、かけ算もわり算もちょっと自信出てきた。
母さんもすごくできるようになったって言ってるし。
学校でも2桁かけ算のやり方を今日の授業で習いたてほやほや。
やったばっかだし、家帰ってきた今もまだやり方ちゃんと覚えてる(に違いない、俺)。
「もしかして自力でスラスラーっと解けるんじゃねえ?」
「母さんを『あ!』っと驚かせてやれるんじゃねえ?」
「かけ算の苦手なたろう返上の好機じゃねえ?」
と思ったの、俺。
ところがどっこい。
一問目の途中をミスして、一瞬にして返り討ちにあった俺。
くっ。痛恨の・・・・・(涙が止まらないので以下省略。)
たろの心の中に住む、カナダ時代の
「学校の勉強なんぞ簡単で、周りの子より出来るのが当たりまえの俺像」
は未だ彼を強力に支配し続ける。
日本に帰り、慣れない日本語と日本式の学習方法に、
己の不足を初めて感じ、これまでの自信を喪失して
現在も自己像とのかい離にもがき苦しんでいるたろやん。
復活させる道はただひとつ、
彼の思う自己像に現実を近づけてやることのみ。
この二年は日本語が追い付くのを待って手加減していたけれど、
今年からは息子の中に巣くうこの見えない敵を駆逐すべく、
母は勉強の負荷を大幅に増やしていこうと決意したのでありました。