一時はハワイと音楽とゴルフとANAだったが

最近は映画ブログになっている今日この頃

コロコロ趣向が変わります。

3ヶ月後にはグルメブログになってるはずw





すこし時間が過ぎてしまったので簡潔に

米国アカデミー賞をLIVE鑑賞しての備忘録


⚫︎レッドカーペットが華やかすぎ

⚫︎VIPの連中とそれ以外の座席に差がありすぎでしょwww

⚫︎現地との回線が途切れすぎ!

⚫︎同時通訳だと米国ジョークが解り辛い

⚫︎ウィル・スミスのブチ切れビンタは最初演出だと思ったが、その後の放送禁止用語と会場の妙な雰囲気でヤバい状況だと認識した

⚫︎アル・パチーノがおじいちゃんでびっくり

⚫︎苦手なビリー・アイリッシュが今回初めて良いなと思ったw

⚫︎脚色賞はドライブ・マイ・カーの方が良かったでしょ!今回の脚本賞と脚色賞はある意味「監督賞」の代わりだな。

⚫︎ジェーン・カンピオンは監督賞だけは取れて良かった。ベネディクト・カンバーバッチが主演男優賞なら良かったのに...

⚫︎コーダのお父さんの受賞後の感動的な手話スピーチなのに隣の韓国人婆ちゃんが邪魔でとても気になって仕方がなかったww

⚫︎ポールTアンダーソン監督作品が個人的に大好きなのに、なぜ日本公開が7月なのだ(怒)

つくづく米国アカデミー賞に縁がない監督...

⚫︎西島さんはシネフィルなのでいろんな俳優や監督さんを見られて本当に楽しそう♪

⚫︎濱口監督は明らかに英国アカデミー賞の時よりもテンションが上がって興奮していたw

⚫︎濱口監督のオスカー像を見て「ユー・アー・ザ・オスカー」が全然うけなかったことww

⚫︎濱口監督のスピーチが途中なのに早く裏にかえれと施すスタッフww

⚫︎実にバランスよく受賞がばらけたよね



個人的には以前のブログでも書いたが



『コーダ あいのうた』が作品賞を受賞した

ことは十分に納得がいくよね!

「リメイクだから」と揶揄する人もいるが

本当に良い映画だったと思います。

米国アカデミー賞を少しだけ見直したw




さてさて今回はこちらの方が本題!

(気づいたら長文になってしまった...)


先月wowowで小津安二郎監督作品が

沢山放送されてとても嬉しい限り。




『東京暮色』の有馬稲子さんが美しすぎる!



そんなわけで以前のブログ記事を

修正したうえで再度更新。



映画業界人や映画評論家でなければ

えらそーな講釈なんか垂れずに

しみじみとその映画の余韻に浸る

ってのが「健全な映画の楽しみ方」

なのかな、とは個人的に思う。

だけど「語らずにはいられなくなる」

という気持ちも わからんではない。


そういえば昔、就職活動の会社説明会で

知り合った女の子とその後お茶したのだが

その子がゴダールとトリュフォー大好きで

両監督の素晴らしさを延々と2時間近く

(それこそ上映時間なみに...)

ひとりで喋り続け、俺は聞かされ続け、

多いに辟易したのを思い出した(笑)


「ゴダール監督のカメラワークの前に

  自分の将来の(ワーク)の事考えろよ!」

なんて思ったね(^_^*)


それでも話を聞き続けたのはその女の子が

自分の好みでお近づきになりたかったから

でも、結局連絡先さえも教えてくれず...

だから俺はゴダールが大嫌いなんだよww




濱口竜介監督もオールタイムベストの

ひとつに挙げている『東京物語』



学生時代にシネフィル(映画狂)の先輩が

「事前にこれは頭に入れておけ」

と、偉そうに言っていたのが

『構図』と『カメラワーク』


「構図」に関しては

ブログで画像を添付している人ならば

それなりに理解しているのかな?

「三分割構図」とか「対角線構図」とか

自分自身は何も考えずにブログ画像を

載せているけどね、めんどくさいし。


「カメラワーク」に関しては

今はネットで動画付きで調べられるほど

恵まれた環境下なので今更な話なのだが

自身の復習も兼ねて基本的なものを


⚫︎フィックス→カメラを固定して撮影

⚫︎パン→固定カメラを左右に水平移動

⚫︎ティルト→固定カメラを上下に移動

⚫︎トラック→被写体を追跡するよう撮影

⚫︎ズーム→レンズの焦点をin/outする撮影

⚫︎ドリー→台車等で前後左右に水平移動

⚫︎スピニング→被写体軸にコンパス移動

⚫︎フォーカス→焦点を合わせたり外したり

⚫︎(ロー・ハイ・ダッチ)アングル

→下から・上から・角度付け の撮影 etc


上記の中でズームとドリーの映像の違い

が最初はわかりづらいのだが、


簡単に言えば、

ズームイン・アウトは被写体が視聴者に

近づいたり遠ざかったりするように見え

ドリーイン・アウトは逆に視聴者側が

被写体に近づいたり離れたりするように

見える。要はアプローチの違いだけど

この違いは映画表現で大きく変わってくる。


YouTubeでとても参考になるのはこれ↓



↑の動画は映画を観るという視点において

本当におすすめである。

この動画のカメラワークさえ覚えておけば

実際に映画を観た時、より楽しめると思う。




今週映画館で観た米アカデミー脚本賞受賞

ケネス・ブラナー監督の『ベルファスト』

このアバンタイトル(オープニングシーン)

は ↑上記の動画でのカメラワークを

ほとんど使ったような映像であった。



世界で評価される監督作品というのは

カメラの立ち位置やカメラワーク

構図、役者の動き、画面に映る小物類、

ひとつひとつに必ず意味があり、

メタファーや先人へのオマージュなども

巧妙に散りばめられている。だからこそ

物語の内容がわかった一度目の鑑賞後

でも二度三度と再鑑賞したくなるのだ。




さて、本題の小津安二郎監督について

あくまで自分の狭いレベルで感じてる事



映画『浮草』のオープニングより


「対角線構図」及び白と黒の視覚効果

古いカラー映像だが海の色と空の広がり

の比較も十分に考えられたオープニング


今回いろいろな小津作品を鑑賞し直して

素人なりに改めて感じたことは

(各ストーリーの感想以外の部分で)


1:病的なほどの「構図」へのこだわり

2:頑なな「フィックス」でのカメラワーク

3:セリフの棒読み、繰り返し

4:これまた頑ななまでの「ローアングル」


1:「構図」に関しては本当に凄いと思う。

試しに映像を一旦停止してみるとわかる。

どこで停止して切り取ってもそのフレーム

は写真展で飾られるほどの素晴らしさ。




映画『彼岸花』より

 

上記の切り取り画像では

赤ワインの液体とコーヒーカップ

さらに右端の果物皿の高さの位置が

見事に揃えられている。

白い障子の縦位置にオレンジジュース

薄いグリーンのシャツにグリーンの葡萄

小津監督の「美意識」が垣間見える。


2:カメラワークは頑ななまでのフィックス

固まったフレームの中で演者の動きも

全てしっかりと計算されてる感じが。

岩下志麻さんが映画「秋刀魚の味」で

巻尺触るだけのシーンを60テイク以上

やらされたってのは有名な話。


3:逆に勝手な動きを許さないからこそ

重要視していない? 演者のセリフ回しは

シンプルなのかなぁ...なんて思ったり。

同じく「棒読み演技」な濱口映画だが

似ているようでニュアンスが違うかな。


小津が役者の勝手な動きを許さない

というのは有名みたいで、

「アドリブの天才」である森繁久彌氏が

3日間もずっと演技のOKが貰えなくて

最後にブチギレた、って笑える話も。




映画『東京物語』より

これまた頑ななまでのローアングル


原節子さんのシャツの白さが映える

どうやって照明を当てているのだろう?

黒い傘もあえてあの置き場所なのか?

妙に不吉に感じる 義理母の傘。

実際に不吉なことが起きるんだけど。


4:のローアングルといえば小津の代名詞。

ローアングルからの家族の個々の会話では

わざと目線を合わせないでカットバック。

この違和感が「家族の輪」を乱すような

雰囲気を与えるんだよね。


それ以外では横列に人を配置しての

バックショットとかも多用。




映画『東京物語』より

横並びバックショットの美しいシーン


自分は↑の『東京物語』を

20歳の時に初めて鑑賞して

「クソつまんねぇ映画だなぁww」


それから30歳過ぎてからの2回目で

「なんとなくジワジワ染みるなぁ...」


それから40歳過ぎてからの3回目で

「やっぱりこれはマジで名作!」


もちろん映画館の大画面で鑑賞するべき

映画であるのは間違いない。


ただ細かいことは抜きにして

熱燗なんかをチビチビやりながら

小津安二郎監督の映画を

(聞き取りにくいので日本語字幕付きで)

寝転びながら観ることができるのは

日本に生まれて良かった事のひとつかな。