ヨーゼフ・ゲッベルスとは、ヒトラー政権時代の宣伝相であり、ヒトラー没後は首相に任じられたナチスの人物。

幼少時代の小児麻痺の後遺症で一時期左足の成長が止まり、右足より左足の方が数センチ短かったため、身体障害者でもある。こうした身体的ハンディが、彼の人格形成に大きな影響を与えたとされる。

しかし、大学で哲学の博士号を取得するなど、彼の頭脳は極めて優秀であり、プロパガンダの天才でもある。彼が独自に編み出したプロパガンダの手法は、現在のコマーシャルにも用いられている。

ゲッベルスは、痩身で身長165センチと小柄であったが(ちなみにヒトラーは、身長175センチであったため当時のドイツ人としては長身であったといえる)、女性にはとてももてたようで、数多くの女優と浮き名を流している。その中でも17歳年下のチェコ人女優とは、妻のマグダと離婚して結婚することを決意させるほど本気だったという。
その際、ヒトラーに妻との離婚と愛人との結婚を認めてもらおうと持ちかけたが、ゲッベルス夫妻とマグダの連れ子一人を含む子供7人との家庭はまさにドイツの理想的な家庭として喧伝されていたため、これにはヒトラーはかなり激怒したという。
ヒトラーに妻との離婚を反対されたゲッベルスは、宣伝相を辞めて駐日本大使になって愛人と日本に住むことをヒトラーに申し出たというのだから、彼がどれだけ愛人に本気になっていたのか窺うことができる。

そんな女好きな宣伝相でありながら、プロパガンダの天才、ゲッベルス。

彼の写真を見ると、確かに痩せぎすで神経質そうな男に見えるが、なかなか整った顔立ちであるというのが私の印象である。

私はナチス及びヒトラーは好きではないし、ナチスの数々の悪行は許せないと考えているが、その反面興味はある。歴史なら基本何でも興味を持つ私は、最近は特にこの傾向が強くなりつつあり、ヒトラー関係の本を何冊か読破している。

今まで何度かナチス関連のドキュメントやヒトラーの演説の映像を見てみたが、昨日はヒトラーに演説における大きな身振りを教え込んだとされるゲッベルス自身の演説をYouTubeで見てみた。

有名な、ゲッベルスの『総力戦演説』である。

この演説は、1943年にドイツがスターリングラードにて大敗北した直後のものである。その頃にはヒトラーに代わってドイツ国民に向けて演説をするようになったゲッベルスのこの演説は、さすがにプロパガンダの天才と言われるだけあって国民を熱狂させる術を心得た人物だと思わせるものであった。

『諸君は総力戦を望むか?』

これはこの演説でゲッベルスが発言したものである。ヒトラーは、声がガラガラな上に当のドイツ人ですら彼が演説中何と言っているのかよく聞き取れないと言われるほど不明瞭なものであったのに対して、ゲッベルスのものは声がよく通り、明瞭である。要は声が綺麗なのだろうと思う。

このゲッベルスは、ヒトラーが自殺した翌日、妻マグダが6人の子供達を毒殺した後に妻と共に拳銃で自殺している。彼はあくまでも、最後までヒトラーに忠実な人物であった。

何も自分の子供達まで巻き添えにしてまで殺す必要はなかったのではないのかと思えてならないのだが、自分の子供が第三帝国崩壊後のドイツの中で生きる必要はない、ということなのだろうか。ちなみに、妻マグタの連れ子のハラルトはゲッベルス一家の惨劇に巻き込まれることなく生き長らえている。

ところが、ゲッベルス自身は、ヒトラーが目標にしているものやナチスが掲げる理想の全てをまったく信じていなかったというのだから驚きである。その点では、彼は冷静であったということなのだろうか。

もっとも、彼は自分が全く信じていない事柄の数々を実行していったわけだが。




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