前回からの続き
 
谷口さん
「那美子さん 次の歴史ストーリーは何か構想がありますか?」とお聞きになられたゆえ、瞬間に次の構想がでてしまいんした^^
 
「そうですね。近代日本の基盤を作られたのが信長様ですから、信長様の天下統一の経過を研究しています。まずは、弱小の尾張の王が天下無敵の駿府の今川軍に奇跡の勝利!時は1560年6月12日!
今、構想中の小説は、真説桶狭間でござる^^
おっとー!また昔言葉に^^」
 
谷口さん
「これまた面白そうですね~ 私も日本史が好きですから聞いてみたいわ」
 
ということで、手羽先とハイボールを補充して某の話が谷口さんのみにスタートでござるよ^^
 
尾張国、駿府の今川家大襲来に備える織田家。今川軍は三河から鎌倉街道を進み、熱田大宮司邸があった桶狭間近郊の横井村を通るはずである。この横井村の熱田神宮氏子、熱田北条横井家は北には今川方の沓掛城と敵対し、北西方面の今川の鳴海城とも戦いを展開していたのである。横井家は織田家の隠れ重心であり決して表にはでない影の存在である。横井村北西の桶狭間山。横井家当主の横井時延が山の頂上で対今川対策を練っていた。頂上には小さな社が鎮座している。隣に親族の熱田神宮の巫女、二十歳くらいの若い熱田北条横井佳美がいた。時永の嫡男である時泰は14歳である。佳美は熱田神宮の中でも霊感が優れた巫女のひとりである。そして忍者以上の格闘術の達人である。
 
時延
「佳美!この戦に負ければ駿府は今、食料不足だ。大量の難民が尾張に押し寄せる。肥沃な尾張を今川義元は目に付けた。蹂躙されれば金で食料は買えなくなり、尾張の熱田商人、津島商人も商人でなくなり尾張国は正に終焉を迎える」
 
佳美
「この尾張国の国難!私のすべての力をふりしぼり、今川を打ち破りまする」
 
時延
「そなたの熱田神法は信長様がお嫌いな忍者の邪法とは比較にならぬ力を発揮しておる。すまぬが、尾張国の天下統一のためそなたの身を捨ててくれ!時泰はまだ若すぎる!もう少しで私のかわりができるようにはなるが、それまではそなたが頼りじゃ」
 
佳美
「叔父上! 時泰は弟同然ゆえ!お気遣いは無用でございます」
 
時延
「当家の秘録は神代からの当家の歴史!大宮司邸とこの山に神剣を先祖が埋めておる。その時期は神武帝以前!」
 
佳美
「その剣は、今川大襲来を阻止するお力を発揮することでしょう。今川の軍勢は2万を超えまする。まともに戦ったのでは勝ちめがござりませぬ」
 
時延
「そのようじゃ。されど、この地は木々が多く、今川の大軍勢が押し寄せてもどこかに封じ込めれば案外簡単に勝てるやもしれぬ。勝つには義元の首ひとつをとればもろいものよ!」
事実今も緑豊かな桶狭間山である。
 
佳美
「岡部元信の鳴海城は距離があるゆえ、当家の北の沓掛城を調略いたします。岡部は相当な猛将!策は読まれまする」
 
そのとき、ひとりの武将が山に登ってきた。
時延
「お~。大殿!織田信長様!お早いお着きでございますな」
佳美はひれ伏した。
 
信長
「佳美殿 織田家と熱田北条横井家の会談は無礼講じゃ!頭をあげられよ!」
と尾張一難しい男と言われる信長が微笑んでいるのだ。
 
信長
「しかし、この山は尾張だけでなく三河、知多も一望ゆえ、実に気分がよくなるところではあるな。父信秀が生きていたならここで父も交え隠れ酒宴を開きたいものよのう。ところでここは貴家の神代から神殿があった地なのか?」
と言い社に合掌しお参りをした。信長は実は勤皇であり先祖は神主なのである。
 
信長
「織田家は越前の剣大明神の出であるゆえ、熱田家と同じスサノウ神を祀っておる。剣より古い熱田家の家柄は日本最古の家柄である。今日も無礼講で今回の今川大襲来の策を練ることとしよう」
 
時延
「実は沓掛城を調略しようかと。岡部は手ごわきゆえ!まずは当家が織田家を裏切ったということで沓掛城を調略いたしまする。今の熱田大宮司の千秋家には裏事情を説明し、今川が来る直前に裏切りで沓掛城を調略いたします。
隙ができたところで義元の首を討ちます。そうなれば今川軍はちりちりばらばらになり駿府に逃げかえることでありましょう」
 
信長
「時永殿 熱田神宮に伝わる楊貴妃伝説。美貌ゆえの調略!今回も佳美殿の美貌で沓掛城の近藤家を調略することとなろうが、佳美殿 苦労をかけるな。すべては尾張のため!耐えてくれ!」
と信長は予想されることを先に言うので佳美も驚いている。そして深く頭を下げた。信長は本当は気を使うことが抜群の武将なのである。
 
佳美
「信長様 お気遣いはご無用でございまする。すでに沓掛城の嫡男、近藤仁太郎を調略いたしました。甚太郎は魚釣りが好きゆえ、境川で釣りをしている時に声をかけました。その後、今川の情報を聞けるようになりました」
 
時延
「まあ、あのような愚息ゆえ、女という武器を使う前に蝶略は可能でござる」
と全員で大笑い。
 
信長
「佳美殿に声をかけられたらいちころであろうな。正に一目ぼれであろう。
しかし、ここは心が落ち着く聖庭であるな~。実に不思議な場所じゃ。今日はよき日じゃ」
鬼のような、人を信じない信長が熱田家には打ち解けているのだ。
木々に覆われた頂上で信長はごろりと横になった。
信長
「佳美殿 そなたが熱田家でなかりせば、正室に向かえたい。残念じゃ!」との戦国一難しい男がにこにこしている。このとき織田信長26歳、本音であろう。織田家と熱田家とは深い縁で結ばれているのだ。
 
佳美
「信長様 もったいなきお言葉!ありがたく頂戴いたしまする。と言った瞬間に佳美はひらめいた。
「信長様 叔父上! 今川軍をここにおびき寄せましょう。そうなれば今川軍の逃げ場はありませぬ。今川本体をここに導くのです。近藤家には熱田家が織田家を裏切ることを織田家には内密で動くということで仁太郎を騙しますが、この山を通れば尾張三河知多も全部見ることができ、京への足がかりとなるということを説得し、この道を通ることをすすめます。今川本体がここに達したとき、山の周りを織田軍で固める。それて義元の首を討つ!」
 
信長
「むむむ~ 確かに、その方法以外には勝つ方法はなきかな!
佳美殿!よき策をひらめいたな!」
 
時延
「おびき寄せるのに沓掛近藤家を使えばよい。よき策じゃ。この策は分家の先祖北条氏が蒙古を博多湾に誘いこみ安藤水軍と松浦水軍が後ろから攻撃をしかける策と似ておる。佳美!あっぱれな策じゃ!」
と時永と信長は感動!
 
信長は持参の酒ととっくりを出した。これで3名で乾杯となった。
 
佳美
「されど、今川領にはなった熱田神軍いわく、義元は海道一の弓取り!太って動きが悪いという話でありまするが、逆に身は軽くかなりの武芸の達人という神軍の調べが届いておりまする。注意が必要でございます。義元の首を狙うときに織田軍の犠牲がでるやもしれませぬ。この地で酒盛をさせるべきだと存じまする」
 
信長
「佳美殿 そのようじゃ!俺がはなった乱波も同じこという言う!義元は敵が油断する情報を流す策師ではある