チガウカラー by Seedless

「色」をテーマに短くて抽象的なストーリーを紹介していきます。
光の角度によって違う輝きをみせる玉虫色のようなストーリー。
読む人の心の状態によって印象がかわり、決して完結しないため、結論は読み手がそれぞれの創造を膨らませて楽しめるように。


テーマ:

ああ、やってきた。この感じ、この感覚。


最近自分の中身が未来へ進んでいくのに平行して過去の中に残してきたものと交信を再び開始した。


昔好きだったこと、昔一生懸命になったものへの執着が再び甦る。


いつもにもまして一人の時間を大切にしたくなって外界との接触も必要最低限にとどめている。


今なにが起こっているのかは分かっている。 これから向かう新しい未来にむけての最終調整。


もう10年以上も時がたってしまったのに。


あの頃を思い出すのではなく、あの頃執着したものを今の等身大の自分で再検証している。


夢中になれるものが新しい興味が自分の内部から溢れ出すようになるであろう確信にちかい予感。


眠れない日が最近ずっと続いているのはそのせいだろうと思う。

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ダニエルは可愛い。

普段は仲間うちでもリーダー格。

若いコ達も「すごいよな!」って感じで憧れているようだ。

ちょっとクールで感情表現が苦手。

でも彼の心はとても暖かくて広い。

背は私よりもずっとずっと高くて体も大きい。

私たちが共有する2人だけの秘密。

人は誰でも意外な一面を持っている。

それを知って驚いたり嬉しかったりがっかりしたり。

私は彼のその変身をどう思ったのかな?

驚きはあったものの、嬉しかったかな?

そういう特別な、他の誰も見た事のないダニエルを感じられて。

ダニエルは夜、女の子になるのだった。

ダニエルと寝る時、私は男の子になる。

彼の表情、そのリアクションは可憐な少女のよう。

しかけるのはいつも私。そして主導権もいつも私が握っている。

彼は夜、月のせいでも星のせいでもいいけれど、兎に角魔法にかかるのだ。

男女が逆というよりも男同士に近い感覚?なんていうとちょっと倒錯しているが。

私は他人に無遠慮に自分の中に踏み込まれるのが好きではない。

ダニエルも多分そう。彼には同じような雰囲気を感じで自然に近くなった。

運命として、出会ってしまった私達。必然的に。

多分彼が女でも男でも、多分私が男でも女でも。

多分2人が女でも、多分2人が男でも。

今と同じように私達は一緒に居て毎日一緒に寝るのだろうと思う。



berlin light

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久しぶりの仲間と集って楽しいディナーの後、少しワインを飲みすぎたみたいで部屋に戻るとすぐにベッドへクラッシュした僕。飼い猫のジーノがないているいるのが遠くに聞こえる・・・。少しあけてあるベッドサイドの通りに面した窓からは外の喧騒がやっぱり遠くに聞こえる。目の裏には仲間の笑った顔、キャンドルのゴールドの光が映画のように映りゆく。体の中心が重く皮膚に向かって感覚は痺れていく。そしてシーツにくるまった体が溶けてゆくのをゆっくりと感じながら、どうやら僕はすっかりと眠りに落ちてしまったみたい。


どのくらい眠ったのかな?外はまだ暗くて時々車の通り過ぎる音が聞こえる。喉がかわいたな。そう思って体を起こし、キッチンへ立った僕。するとふと背中にぼんやりとした青い光を感じた。TVでもつけっぱなしになっていたのかな?と振り返ると、少し開いたバスルームからその青い光は漏れている。携帯電話?でもおきっぱなしにしてたのかな?でも、電話がなっている音はしない。


ジーノを呼んでみる。カウチの上で寝ていたジーノが眠そうな声でなきながら僕の足元にやってくる。


僕は寝ぼけた頭でバスルームに近づく。何も考えないで。 扉にてをかけて引いた瞬間、僕は体を乗り出して中をみた。バスルームの中はもう既にバスルームではなく深い青いひかりに満ちていた。海の青でもなくて、空の青でもない青。地平線もなにもみえない。光と沢山の青色のトーンが雲のように、波のように形を変えて僕を誘っている。恐怖感は全くなかった。じっと中を覗き込む僕の側にジーノがやってくる。大きく伸びをするとジーノは、すたすたと青いバスルームの中へ入って消えてしまった。「ジーノ!」僕はジーノを読んでみる。猫のなき声は聞こえない。


僕の心臓は好奇心でドキドキいう、眠気もなにも一気にふっとんでしまった。


ジーノの後を追って一歩青いバスルームに踏み出す僕。重心を青い空気の中に入った足にかけた瞬間僕の体は青いバスルームの中に向かって落ちていく。完全に僕の体すべてがその青の中に溶け込んだ瞬間、僕は水の中に浮いているような感覚でゆっくりとゆっくりと仰向けの状態でその青と光の中を漂いはじめる。僕はこの後に何が起こるのかへの期待で胸がいっぱい。元いた世界に戻れるかの不安より、これから起きるであろう冒険に心が躍る。たとえ行く先に、どんな危険が伴おうとも。

shell-blue







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この街は昔2つに分断されていて、僕は西側の街で暮らしていたけれど、

東側の街にすごく近いエリアで生まれ育った。僕が20歳になった時、

街は統合されて僕達は自由にお互いの街を行き来出来るようになった。

悪友のライラと一緒に借りたアパートはとっても賑やかな三叉路を見下ろす

階段だけのビルの5階。古いビルだけど三叉路の真ん中に建った三角のビル

を僕達はものすごく気に入ったのだった。

マイラはゲイでドラッグクイーン、僕はクラブのブッキングマネージャー

をしながらレコード屋で働いたりしていた。それは、もう5年も前なんだ。

毎晩のクラブへの道は真ん丸に光るオレンジの街灯とその下に水玉のように

広がる明かりの中、車のヘッドライトも真ん丸だった。僕達は凍えそうな

寒さの中シャツ一枚の上に重い毛皮を羽織って肩を寄せ合って歩いてたっけ。

古い銀行跡のクラブのVIPルームはもともとの金庫室。中にいくつもある

鉄格子で仕切られた小部屋にカウチとテーブルがセットされていて僕達は

そこで毎晩のようにシャンペンを飲んでたよね。僕達の一番好きだった夜は

毎月最後の金曜日に起こってたダリオの夜。恋人を追いかけてニューヨーク

から引っ越してきたダリオは素晴らしいプロデューサーであり、DJ

今ではすっごい有名になっちゃって世界各国でDJしたりしてるダリオ。

僕が始めてニューヨークに行った時に共通の友達の紹介でダリオに出会った。

僕が滞在中泊まっていたその友達の家はダリオのアパートの上の階だった

から毎日のように顔を会わせてた。音楽を聴ききに行きたいという僕を当時の

サウンドファクトリーへ連れて行ってくれたのもダリオだった。ダリオのかける

音楽は、当時聴いてその温かさに心底僕が感動したフランキーナックルズに通じる

ものがあって僕は大好きなんだ。

夜明け、クラブからの帰り道にはよくライラと話してたっけ「どうして僕たち

って夜に聴く音楽をこんなに好きになっちゃったんだろうね?」って。そして

皆でうちに戻って午後2時までも続くアフターアワーズ・パーティー。たいてい

1人、また1人と居なくなったり眠り込んじゃったりしてくんだけど、最後の

1人になっちゃった時のちょっと切ないような淋しい感じ、今でもよく覚えてるな。 

次の日、二日酔いの頭を抱えてライラと2人で飲んだコーヒー。三叉路を見下ろす

リビングルームの大きな窓をあけて、そこに2人で座って紫色の綺麗な綺麗な夕焼け

を眺め続けてた。あの時はただただ赤やオレンジにたなびく雲と紫の空の素晴らしい

色彩に見とれてその空の先にいつかみつかる僕達のための場所を夢見てたっけ。

ライラは明日ノルウェーへ引っ越す。生涯の伴侶を得て彼とオスロで暮らすんだって。

僕は2年前から始めた広告の仕事の関係で来月ミラノに引越しをする。僕達2人の

たくさんの思い出が詰まったこのアパートとも明日でお別れ。家具や僕達の物が

なくなって広々と、でも寒々とした部屋。

僕とライラはやっぱり一緒に三叉路を見下ろす窓際に座って一緒にコーヒーを

飲んでいる。

paris sunset

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よく行くカフェでいつも見かける人

この街に引っ越してきて2年たった

新しい職場で働き始めた

カフェはその職場のすぐそば

僕が新しい仕事についた最初の日そのカフェで

エスプレッソを飲んだ 

そして君をはじめてみた

君をずっとみつめていた僕の視線に気付いて

君は僕の方をみる

その目は不思議な目

君は僕をみているのに

その視線は僕をとおりすぎる

まるで僕がすきとおったガラスのように

初めて君と言葉を交わした

僕はちょっと背伸びをしてたかな

君はそんな僕に気がついたのだろうか

僕にとって仕事前に飲むカフェでの一杯の

エスプレッソが当たり前になった

君もいつからか僕がカフェに来る頃にカフェに

座っているようになった

時々カフェに君の姿がみえないと

僕はタバコを吸うふりをして外で君を待つ

通りの向こうからこちらに向かってくる君

その姿をみつけると僕は君が僕に気付くのを待つ

ほとんど毎日顔を合わせる君と僕

でも僕らの感じはとても透明

君のこと好きなのかな

君は僕の事が好きなのかな

ただ僕が今漠然と感じているのは

僕と君は一卵性の双子だったといってもいいくらい

心が近いってことかな

Espresso


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sunlight

夏の午後の強いアイボリーの光は過去の記憶と未来の記憶をつなぐ不思議な力をもっている。


ギラギラと照りつける元気な太陽のあつくなった水の中を歩いたあと。

熱を持った体がエアコンで急速に冷やされる大きな貝のビルの中。


海底から照り返すアイボリーの光がエスカレーターをあがる僕を後ろから照らす。

すると脳の半分が急に活動を開始する。


右かな?左?

いや、前方か?それとも後ろ?


とにかく脳内奥深くに潜んでいる遠い過去、近い過去、過ぎ去った時間の記憶のかたまり。

そのかたまりはライムの光に刺激されてその末端をどんどん進化させてゆく。

するとまだ見たこともない遠い未来の記憶が脳の一部を通じて姿をあらわす。

タイムスリップした映像は網膜の裏側に広がる。今僕の見ている景色に重なって。


レスカレーターをのぼりきってオフィスに戻るため今度はエレベーターの前に立つ。


記憶の進化の起爆剤になったアイボリーの光はもう僕をおいかけては来ない。


でも僕の目の前に飾られた黄色いサンゴの映像には僕の未来に見るであろう景色が重なっている。









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夏の遅い午後、汗を拭きながら山道を歩く私と弟。

私達は2人そろって長い事会っていない母を捜してこの山奥の村へやってきた。


7年も前から年に1度だけ2人に母から届くバースデーカード。

そこには差出人の住所はいつもなかった。


2人がここへやってきたのは母からのカードの消印と2人がある日見た夢のせい。

夏の暑い日曜日キッチンで方針状態の弟。

私も変な夢を見た後だったので彼と一緒にテーブルに座ってボーっとすること小一時間。


「俺、変な夢みちゃったよ。」と弟。

「私もなんか変な夢みた。」と私。

「お母さんの夢。」と2人同時に。


驚いて顔を見合わせた私達は詳しく夢について語り合う。

結果、2人が見た夢はまるで一緒に映画でもみたかのように同じもの。


2人で顔を見合わせてニッコリ笑い合うと私達は急いで身支度を整えた。

数時間後2人母からのカードを1枚と消印からたどった地域の地図を片手に駅にいた。


「それにしてもすごい田舎だなー。」と弟。

「お母さん、田舎好きだったもんね。」と私。


驚くべき事なのだが2人はただただ電車を乗り継いである村までやってきた。

行き先も降りるべき駅も全く知らないはずなのに2人はどこで降りるべきなのか分っていた。

それを2人して不思議がったりもしないくらい。

それは2人にとってそれくらい自然な事だったから。

感覚としては・・・

毎年夏に通った親類の田舎へ記憶をたよりにたどり着く感じ。


あぜ道、山道を抜けてちょっとした高台に出る。


2人は再び顔を見合わせる。

「もうすぐ、だよね。確かそこを曲がると・・・。白い・・・」

と言いながら小さなお寺の石垣を曲がる。


2人の脳裏に蘇る夢。


古い白壁の大きな日本家屋


田舎の深い山の奥の農家の風景。

山の際。

もしかしたら途中野菜畑があったかもしれない。

初めてやってくる土地なのにとても懐かしい感じがする。


古い白壁の大きな日本家屋。

弟と2人でその家にいると分かっている母を訪ねる。


引き戸の玄関をあけて、中に立つ母をみる。会話は覚えていない。

ただ2人が分かっている事はその家の中に一歩足を踏み入れたら最後もう外へは戻れないという事。

母の顔を見て、その日本家屋を後にする。

家をくるっとまわる格好でもと来た道を戻る二人。


母を心配している2人。

そのあたりの入り口のような場所へ2人で戻る。

私だけがやっぱり母の居る家へ戻ると引き返す。


夢と同じ白い家を見つけた。

いよいよだ。

白い家の門をくぐる。

白い家の玄関の前に立つ2人。

引き戸に手を。

ガラガラと音をたてて戸を開くとそこには懐かしい母の姿が。


一瞬真っ白な光が当たりを包んだ。

意識が遠くなっていく2人。


ふと気がつくとベッドの横の時計は午前10時。

今日も暑い日になりそうだ。


キッチンにいくと放心状態の弟。

私も変な夢を見た。


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人生を生きるに当たって面白いこと。

それは未知の可能性に想像をめぐらせる事。

まだ来ないこれからについての可能性は木の幹から茂る緑の枝のよう。

木事体がその方向に枝を伸ばす事を決めた時。

そこから新しい木の芽が芽生えてまたエンドレスに新しいものが生まれて行く。

例えば先が見えているものはそれが幸せな事象であっても、

不幸な事象であっても、

エンディングが簡単に予知できてしまうだけでそのドラマティックなアトラクションを失ってしまう。

だから人はいつもエンディングを知覚しないように努力する。

パートナーのムートはとてもナイーブなので昨日みた夢は話せない。 

冷たい東欧の街の中にある公園に池があった。 

何故かそこであまりの水のつめたさに溺れかけていた私。

両親が池のほとりのベンチに座ってそれを見ていた。

なんとか彼らの注意を引こうともがいている私。

溺れている私に気がついて父が池に飛び込んだ。

私の傍まで泳ぎついた父は私の後へまわった。

混乱する中、なんとかして落ち着きを取り戻そうとしている私。

氷のようになって感覚を失ってしまった手足を動かしつづける私。

水面から顔を出していられるように必死にもがいている私。

その私の頭を父は再び冷たい水の中に沈めた。

ほとりに立ってこちらを静かにみつめている母を見る。

彼女は無表情だ。

その後あまりにもがく私に諦めたのだろうか。

父は私を助け二人で池のほとりの母の所まで泳ぎついた。

それが昨日見た私の夢。

最近両親には何度か電話していた。

いつも留守だった。

夢の続きはこうだった。

父と母と公園を出るために歩いている。

私は母に聞こえないように父に言った。

「理由は聞かない。

でもパパは私を殺そうとした。

そしてそれを私は知っている。

でも、ママには言わない。」 

彼は無言で首を振ってそれを否定する。

現実の父はとても道徳的な人だ。

とても現実の父があんな行動をとるとは思えない。

でも私は知っている。

父だけではない、そして私だけでも。

誰もが皆、恐ろしく獰猛で無慈悲な心を飼っている事を。

一度その檻の扉を開いてしまったら最後のそれ。

それは決して聖人などいないと思わせる。

完璧なんてものからは到底遠い人間。

それを思って私は少しほっとする。

すべてが完成してしまったものはつまらないと。

完璧なものはどこか悲しいオーラを持っている。

それは想像という一番の自由を封じ込められてしまっているから。

これは私の考え。

でもムートは違う。

ムートはいつでも最高を完璧なものを目指す。

、それらを心から望み、それらを美しいと思っている。

だから昨日みた夢はムートには話せない。

私は完璧ではないムートが好き。

完璧ではない私達の関係を気に入っている。

でもムートは違う。

理想を描き、少しでもその理想に近づくための努力を彼は惜しまない。

そしてやっぱりそれを美しいと思っている。

だから私は出来る限りムートの描く完璧な私像を演じるために努力する。

それはちっとも辛い事ではない。

本当に?

出来あがったものではなくそこへ向かうまでの過程が最高である。

美しいものである。

そう思っている私にとって、それは本当だ。

私はアメーバ。確固たる姿を持たない。

外部の状態に合わせて自分を自在に変化させそこで生きようとする。

そんなアメーバだって素敵だ。

私は一本の発展途上な木。

私からはたくさんの枝が伸びている。

その枝は私が望めばどこまでだって伸びてくれる。

私の枝にはたくさんの違った色の葉っぱや花が咲いている。

実だってなる。

成長した枝は誰かが切り取ったりしないかぎりはずっと私の一部。

たとえ私がその枝を伸ばす事をやめても。

そこにもう新しい葉が生えなくなっても。

枝は私の一部として残る。

人生はそんなものだ。

そして人も。

たくさんの枝、たくさんの葉、花、実がめぐりめぐる。

今までたくさん伸ばした枝。

その幾つかはもう成長していない。

でも私はそれらをいまでも大切に私の一部としてとってある。

それを投げ出してしまう事は簡単だし、潔い事かも知れない。

でもちょっと待って。

一度切り落としてしまった枝はもう2度と戻ってこない。

自分の一部である事を放棄したら、そこでストーリーは終ってしまう。

想像の余地も、奇跡の可能性をもあなたは放棄したいの? 

私という木は私だけにしか決して理解されることのない混沌。

そしてそれが私の生きる文脈。

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忙しかった仕事が最近一段落した。

今日1日をのんびりオフィスで過ごすであろう事を知っている。

そんな朝はちょっとデカダンスな行動にでる。 

忙しい朝はミキサーで作るバナナジュースを急いで飲んで出勤。

反対に今日のようなのんびりモードの日はロイヤルミルクティー。

本日の通勤の音には…「グレングールドのピアノを採用。」


出発。


今日はなんだか調子が良い。

これからの1日、末広がりに楽しめそうな1日を理由もなく確信出来る。

お天気も最高。

気温も丁度いい。



バス停までの距離は3ブロック、徒歩5分。

この街はエリアごとに基本色がある。

その街の色彩で自分のいる所が分るようになっている。


もう住み始めて随分になるこのエリアは緑色が基本色。

ここ数年の流行りはトランスペアレンシー系の黄緑。

未来的な感じだ。


オレンジ色が基本色のチャイナタウンを抜ける。

すると僕のオフィスのあるダウンタウン金融街。

ここの基本色は赤色だ。

街を走るバスは真っ白。

大きく路線番号が立体映像装置で前、後ろ、両脇に映写されている。

いつもはオフィスからほんの目と鼻の先にあるバス停に止まるバスに乗る。

が今日に限ってなかなか来ない。

仕方なくオフィスまでは少し歩くがなんとか時間内に到着できそうなバスに乗った。


真っ白なバスに乗りこみ一人がけの一番後ろの席に座る僕。

音のボリュームをあげて、これから約20分。

ゆっくりとグールドのピアノの音にひたれる。

途中、チャイナタウンの辺りですごい台数のポリスカー、ファイアトラックが通りすぎた。


街のオレンジ色が徐々に濃くなり真っ赤な街に入った。


ダウンタウンの象徴である2本の海面まで達しそうなくらい高い高層ビルを見た。 

双子のビル「ジェミナイタワー」の一つに大きな穴があいている。

真っ赤な街に真っ黒な大きな穴は地獄を想像させる。

赤と黒は残酷な感じのする組み合わせだ。

おそろしい暗い大きな穴とは対照的に澄みきった水の色。

素晴らしい天気は変わらない。

これは天災ではない。

嫌な予感を本能がキャッチするのを自制して思考回路を無理やりストップさせる。

自分の脳みそ活動にブレーキをかけたのだ。



バスは終点に到着。

数ブロック先には真っ赤なビルに黒い大きな穴があいたジェミナイタワーがそびえる。

最近なりを潜めていたテロかもしれない。

オフィスに連絡をしようと通り向こうの公衆電話を目指す。

周りのざわつきが一層増した気がした。

海面の方を見上げると目の前のタワーのもう一本から大きな爆発が起こった。


赤いビルから大きな津波がおしよせる。

ビルからは点々と見える赤いものが津波と一緒に流れ出した。

真っ赤なさんごの柱が砕ける。

水はとても暗くて淀んだ色。

その水飛沫をかぶるのが嫌だった。


僕は周りの赤いビル群の影になるようにチャイナタウンを目指して歩いた。

赤い街の一角ダウンタウンの象徴の双子ビルはそれから間も無く倒壊した。


誰かがインタビューで語っていた。 

小さなころ迷子になった時の母親からのアドバイス。

「ジェミナイビルを探しなさい。そうすれば方角が分り自分のいる場所を確認出来るから。」

彼女は双子のタワーを単なる道しるべとしてではなく心の指針をたどる物の隠喩としてその崩壊を嘆いていた。


街の富、権力の象徴であった真っ赤な双子のビル。

赤い街はまるで地上で起こった昔の戦争の後のようだった。

地上に人がいたころもそう。

そして海の底に来てからも理想的にすべての資源が平等に分けられる事はなかった。


富、権力はやはり一所に集まってしまうらしい。

富、権力は独りが嫌いなのだ。

集まってこそ大きな力になる。

小さいとあまり自己主張もしない。

大人しく自分の本来のデューティーをまっとうしてくれるのに。


赤いダウンタウンは勢いとパワーがあった。

尋常でないほどのスピード感溢れる街の特性は麻薬のように人々を魅了する。

常に自分を失わない努力をしていないとその勢いに流されて心を失ってしまうだろう。

赤い街に飲みこまれてしまった人達は街と同じように赤い。

体内時計のスピードがどんどん上がっていく。

考える時間がなくなっていく。


たくさんの赤い人達が自分を救う為に自分の心を開放してあげるために。

その時間までもが持てなくなるほどのスピードに達した時それは起こる。


原因要因の蓄積があふれた途端に起こるアレルギー反応のよう。

一気に崩壊がはじまる。

ジェミナイビルを崩壊させたのは反体制グループ。

彼らは地獄に落ちたもの達をこう表現する。

「真っ黒な淀んだ水の大津波で永遠に混沌とした水の中で生きる。」


今朝目撃したあのジェミナイビルの大津波の様子はまさしくその地獄絵図だった。

まさに地獄への扉が口を開いたかの様に見えた。

自爆テロだったあの大津波のビルの中で死んで行ったたくさんの赤い人達はどこへ。


良い日になりそうな予感にはもう期待はできないのだろうか。

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ダロは歴史として人類が海の底へ生活の場を移した事を学ぶ世代。

ママとパパから溢れんばかりの愛情を受けて育ったダロ。

ダロは古代の地図でいうと旧地中海エリアの海底生まれ。

黒髪とキレイなビオラ色の瞳はママ譲り。

細身で長身なのはパパ譲り。


5人兄弟の末っ子。

一番上の兄は客船の船長で1年のうちを殆ど外洋で過ごす。

そんな兄が家に戻ってくるたびに話してくれる外の世界の話。

ダロはビオラ色の瞳をかがやかせて兄の話に聞き入ったもの。


ダロのパパは町で一番美味しいと言われる料理店のシェフだった。

そんなわけだからダロも食には深い思い入れがある。

やさしいママはいつも家にいてダロ達とパパの帰りを待った。


ダロが22歳になった時、彼は決心を固める。

住み慣れた町、涙があふれるほど大好きな両親家族の元。

それを離れて独りで外洋を越えてみることを。


ダロの決心の内訳は2つ。

一つはパパのようなシェフではなく料理店をマネージする学問を学ぶ事。

もう一つはママのような素敵な女性にであって恋する事。


ダロがやって来たのは古代最も栄えた王国だったといわれる大陸の下の海。

その大陸は古代の大きな戦争であとかたもなく崩壊したそうだ。

どんな人たちが暮らしていたんだろうかとダロはいつも考える。

もっとも、現在地上には大陸と呼ばれるような大きな陸地など皆無に等しいのだけれど。

その大きな海の底は古代の栄華を誇るかのように現在でも華やかな海都として知られる。

世界中の海からたくさんの人たちが集っている大きな街。

そこには数々の違った文化が持ち込まれている為、人付き合いには独特の特徴がある。

人々はお互いを尊重しあい、同時にあまり干渉せず適度な距離をおいて付き合うのだ。


挨拶には必ずキスとハグを、町中の皆がが家族のようにお互いを知っている。

そんなところからやって来たダロはこの街に中々馴染めなかった。

都会的な距離感は素敵だったけれど淋しかった。

1年に1度船長の兄がこの町にやってくるのを指折り数えて待っていた。


ダロはクッキングエコールでは常に素晴らしい成績で学長のお気に入り。

ある時、老舗料理店のオーナーシェフが新しくエノテカタイプの店を開いた。

その料理店オーナーとは古い知り合いの学長。

学長はお気に入りのダロがエノテカで働けるように取り計らってくれた。


ダロはその本店が大好きだった。

学生のダロにとっては非常な贅沢であるその料理店へは兄が連れて行ってくれた。

とても格調の高い店なのにパパの店にいるような暖かさが感じられた。

シェフの人柄とはこういう具合にその店に漂うものなのだろう。

料理も一言で形容するならば「やさしい」味だった。

ダロはいつか自分の町でこんな料理店を開こうと心から思ったものだった。


両親に似て、とても信心深いダロ。

毎晩ダロそのビオラ色の瞳を閉じる。

そして海の上のオレンジの月に祈る。

遠く離れた海に暮らす家族を思って。

まだ会ったことのない自分の夢の恋人を想って。

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