『群馬百物語 怪談かるた』 著者解説Ⅱ | 戸神重明、怪談ブログ

戸神重明、怪談ブログ

怪談作家、戸神重明の公式ブログです。 ※文章、画像の無断転載を禁じます。



 前回は 高崎怪談かるた(試作品) の読み札を掲載しましたが、 群馬百物語 怪談かるた をお読みになった方は、各話のタイトルとはだいぶ違うな、とお気づきになられたことと思われます。
 本来のかるたは、読み札と絵札を併せるだけで、その物語、世界観のすべてを描き切るモノですが、実話怪談の文庫本でそれをやってしまうと、出オチの話ばかりになってしまうからです。
 そのため、 高崎怪談かるた(試作品) と同じ句をタイトルにした話もありますが、変えた話のほうが多いわけです。

 それでも、語呂の良さを優先したため、「運気吸い取る 血吸い岩(一)」「夕涼み にやりと笑う 姫路蔵(一)」のような出オチのタイトルをつけた話も中にはありました。
 元々、「夕涼み にやりと笑う 姫路蔵」は一つの話として、「(一)」を枕に、「(二)」を核にする予定でした。

 それなら出オチにならなかったのですが、長い話を入れると218ページという限られた分量(百物語をやるにはちと少ない)の中に百話分を収録することができないため、二話に分ける形式を取った次第です。
 実際のところ、当初、文庫本にして249ページ分の原稿を書きましたが、そこから字数や行数を削ったり、長い話と短い話を差し替えたりして、規定のページ数に収めました。
 人間なら、足一本を斬り落とすような大減量でしたよ。(笑)
 そのため、これまでの作品集では、体験者が怪異と遭遇した際に〈何をどう思ったか〉まで、実況中継するように詳しく描いた話が多かったのですが、本書では〈どこで何が起きたか〉に字数を集中させ、体験者の細かい心情にはあまり触れず、読者の想像に委ねる描き方をしています。
 したがいまして、これまでの拙著とは些(いささ)か趣が異なる本になっていると思います。

 また、 高崎怪談会 に出演して下さったことがある人形劇俳優の高橋幸良さんや、霊能者の江連美幸さんといった方々が実名で登場しますが、本来ならば彼もしくは彼女が登場する連作は、それぞれ一章にまとめて掲載したいところでした。
 しかし、かるた風タイトルを優先したことから、それはできませんでした。
 ついでに江連美幸さんに関連した話に、「七匹の 猫を葬る 藤岡市」がありますが、ここでは「ななひき」と読ませているものの、本当は「しちひき」にしたかったのです。
 ただ、連作としての順番が時系列に大きく反することになるため、「ななひき」にせざるを得ませんでした。

 このような諸事情もありまして、 群馬百物語 怪談かるた の各話のタイトルを一人で考えるのは、かなり困難な作業でした。
 ネタは沢山ありましたが、タイトルと上手く合わない話が多かったのです。

 おまけに日本語は、あ行~な行までは、言葉が多いのですが、は行~わ まで、後ろへ行くほど言葉が少なくなる、という問題にも気づきました。

 とくに、ら行は外来語しか思い浮かばなかったりもしました。(苦笑)
 そこで以下のタイトルは、前述の高橋幸良さんや、取材助手として協力して下さったM子さんが考案して下さったものを許可を得た上で拝借したり、アレンジさせていただきました。
 
 お 尾瀬ヶ原 道無き湿地に 影が行く(片品、高橋幸良さん)→「無き」を「なき」に変換しただけで、そのまま拝借。

 そ 薗原湖 その名も高き 心霊のダム(沼田、高橋幸良さん)→(戸神アレンジ)そ 薗原湖 水面に浮かぶ オフィーリア

 は はねたきが呼ぶ 高津戸峡谷 霊のたまり場(みどり、高橋幸良さん)→(戸神アレンジ)た 高津戸峡 死者が死を呼ぶ はねたき橋(一)(二)

 む ムジナかな 夜の道路を 走る影(県下全域、M子さん)→(戸神アレンジ)む ムジナかな 夜道を走る 黒い影


 利用を快諾して下さったお二方、どうもありがとうございました! (まだ終わりじゃないです)

 

Amazon通販へのリンク

 

竹書房怪談文庫公式サイト(Amazon以外の通販へのリンクあり)

 

 



 なお、上記以外の本書のタイトルは、すべて私が考えました。

 「ね 猫が鳴く 猫を飼っていない家」

 これはタイトルだけで既に一話の怪談になっています。
 しかも、ほとんどネタバレしていないので、私自身は勝手に「上手くできた」と思い込んでいるタイトルです。(笑)

 「は 廃屋の町と バクチク遊び」

 ばくちくは〈爆竹〉と書かずに〈バクチク〉と書きました。
 これは群馬県出身のロックバンドBUCK-TICK を思い浮かべる方もいるかな、と思い、意図的にカタカナ表記にしてみたのです。
 ロックバンドのBUCK-TICKとはまったく関係がない話ですし、アルファベットではなく、カタカナ表記ですが、漢字よりはイメージしやすいのではないか、と思ったのです。(笑)

 と、この本には群馬県民が読むと、ついにやりとしてしまうような仕掛け(言葉遊び)を要所々々に、さり気なく仕込んであります。

 次回以降はネタバレにならない程度に収録作品の一部を解説してみたいと思います。

 

 

Amazon通販へのリンク

 

 

竹書房怪談文庫公式サイト(Amazon以外の通販へのリンクあり)