大地震が続けて起こったトドの妖精の国から色を失って帰ってきたトドメガネ。

 

次の日の朝になってようやくひとことだけ口に出しました。

「ゴリィ・・・おはよう。」

 

相変わらず何も食べません。トマトが嫌いな以外はなんでもおいしそうに食べるのですが、それすらできません。

 

ゴリィはトドフレンとトドスミスに言いました。

「悪いけど、こいつと俺だけになりたいんだ。ちょっと遊んできて。」

 

「はい。よろしくおねがいします。」

フレンとスミスは心配そうに部屋を出ました。

 

ゴリィはメガネに言いました。

「ごめんな。俺が『王国行った方がいい』なんて言い出したのがいけなかったんだね。」

 

それに対してメガネは涙をしながら言いました。

「ゴリィはわるくないよ。だってぼくがおうじになっておおきなじしんがおきたのはほんとうだから。」

 

「いや、それは偶然、たまたまだよ。」

ゴリィが言いました。しもねたが好きなトドメガネのこと、「わーい!たまたま!」とはしゃぐかと思い言い直したのですが、まったく反応がありません。

 

「ねぇ、ゴリィ。ぼく、なにもできないよね。おうじのことも、ゴリィのパートナーも。だからどっちもやめたいんだ。ゴリィ、みじかいあいだだったけどありがとう。たのしかったよ。」

メガネはそういうとがまんがしきれなくなったのか、はげしく泣き始めました。

「ゴリィー!ごめんね!ポンコツとかいって!ぼくがそんなこという『さんかく』なんてなかったんだ!ぼくのほうがどじでのろまなかめだよ!なんでおうじにえらばれたんだ!もういやだ!」

 

ゴリィはしばらく黙りこんだ後、

「メガネ、おいで。」

とメガネを胸のところで抱きしめました。

 

「なぁ、俺たちパートナーだろ、メガネ。俺、お前をおバカってからかうだけで楽しかったし、ポンコツっていわれても悪い気はしなかったよ。俺はひとりでは何もできない。お前たちが来てくれて助けられてたんだよ。だから・・・」

 

ゴリィはちょっと言葉をつまらせたあと、

「パートナーやめるなんてやめてくれ・・・。俺、どうしたらいいんだよ・・・。お前は俺に幸せをくれているんだよ・・・だから・・・」

 

ゴリィの目からなみだがあふれ、ほおをつたいました。それはしずくとなってポタリとメガネのあたまの上に落ちました。

 

「ゴリィ?ないてるの?」

メガネは聞きました。ゴリィはそれに答えずに、

「・・・だからパートナーやめるなんて言うな。俺はお前が必要なんだよ・・・」

 

とつぜん、メガネの体が光りだしました。

「ゴリィ・・・ぼく、いまなんかあたたかいきもちになっているよ。ぼくもゴリィといっしょにいたい。そしてポンコツなゴリィをすこしでもたすけたい。いま、ゴリィかなしんでるよね。そのきもちをふきとばしてあげる!」

メガネの体から出ている光が消えると、金色に変わっていました。

「これから、あなたに幸せをさずけよう。」

 

今度はゴリィの体が光に包まれます。

「なんだ・・・心に温かいものが流れてくる感じがする。これがメガネのかくれた力、そして王に選ばれた理由か・・・」

 

「ねぇゴリィ、げんきになった?」

トドメガネはいつの間にか黄色いいつもの姿に戻っていました。

 

「うん、ありがとう。」

「ゴリィのパートナーでよかったって、ひさしぶりにしあわせなかんじがしたよ!これからもよろしくね!ポンコツ!」

「よろしくな、おバカ!」

 

といつもの会話がもどったところで、

「なんかぼくつかれちゃった・・・」

そういうと眠ってしまいました。

 

(まずは良かった。こいつが元にもどってくれて。でも、少なくとも王宮はちゃんと教育しないといけないな・・・)

 

というと文章を書き始め、書き終えると

「おーい!スミス!これ王宮に送って!」

とスミスに言いました。そのファイル名は「抗議文(こうぎぶん)」でした。

 

トドメガネのぼうけん(轟RADIO)