宝石の価値について Part.2 | 曇りときどき晴れ

宝石の価値について Part.2

前回の続き。

「所有価値と使用価値の関係性について」

実は、宝石(ジュエリー)の持つ価値の属性は、
①Commodity Value (原材料としての価値)
②Product Value (製品としての機能的価値)
③Shared Information Value (共有化された情報的価値)
④Personal Information Value (限定的な、あるいは個人的な情報的価値)
の4つだけ、というわけではない。

やはり1990年頃、私が㈱三貴の商品企画部いた頃、
ジュエリーマキで買い物をしていただいた20~30代の女性に、ジュエリーの所有について、
アンケートをお願いしたことがある。
所有個数は、想定したよりもずっと多く、一人当たり平均約12個だったと記憶している。
さらに驚かされたのは、所有している12個のジュエリーのうち年一回以上使用しているジュエリーは
わずか4個で、全体の2/3を占める8個のジュエリーは使われずにタンスの奥に保管されたまま
になっているという事実だった。

なぜよく使うジュエリーと全く使わないジュエリーにはっきりと分かれてしまうのか、と言えば、
好みが変化してしまった、指のサイズが変わってしまった、豪華すぎて使うシーンがあまりないなど、
答えはさまざまだったと思う。
ただはっきりとわかったのは、ジュエリーには、「使用」と「所有」という2つの価値があり、
他の商品に比べて「所有」価値が際立って高いということだった。

「使用価値」と「所有価値」の関係は、下記のようなポートフォリオに整理することができる。
①「使用しないので、手放す。」
②「使用しないけど、手放したくない。」
③「使用するので、手放さない。」
④「使用するけど、手放してもよい。」

①~③は理解できても、④はあまりないケースかもしれない。
④は「もうさんざん使ったから、新しいのに換えようかな。」という、クルマの乗り換え動機で
説明することができる。
特徴的なのは、②だ。宝石以外の商品だと②の心理状態になる理由が見つからない。

使用しないけど手放したくないテレビとか冷蔵庫なんてあまり考えられない。
「使用しない、手放したくない。」という、アンビバレント(矛盾した)な関係が
同時に満たされる状態は、宝石に特に強く顕われ、他の商品にはあまり強くない。

でもそれは20年も前の話で、最近は少し変化してきている。

Part.3に続く