ナンシー・ムクロー:著 梅永 雄二:監修 上田 勢子:訳 明石書店 定価:1800円+税 (2017.7)
私のお薦め度:★★★★★
育てる会でも、以前 「おじいちゃん、おばあちゃんのための自閉症講演会」 をシリーズで開いていました。平成12年~14年頃のことですから、当時をご存知の会員の方も少なくなってきました。そしてあの頃、おじいちゃんやおばあちゃんにも、自閉症のことを分かってほしいと言っていた私自身が、もうすっかりおじいちゃんになっていますね (^_^)
それはさておき、本書は副題に「おじいちゃん・おばあちゃんだからできること」とあるように、子育てに第一義的に責任を持って関わるのはもちろん両親ですが、祖父母ならではの関わり方を提案しています。
* 祖父母は人生の大先輩です。ASDのことがまだよくわからなくても、祖父母は人生について熟知しています。一度失敗しても、またトライすればうまくいくかもしれないということ、より大きな目で、より長いスパンで物事を見ることもできます。だから孫との時間を、ゆったり楽しむことができるのです。
* 祖父母にはたっぷり時間があります。おじいちゃん、おばあちゃんの多くはリタイアしています。ゆっくり長い時間を孫と過ごすことができるのです。忍耐力もあります。親は仕事や家事に追われて、いつも急いでいます。でも祖父母にはそんなプレッシャーはありません。
* 祖父母は、人になんと言われても気にしません。お孫さんが外出先でパニックを起こしたり、おかしな行動をしても、祖父母は(親ほど)恥ずかしいと思ったり、困ったりしません。祖父母は受け入れることができるのです。
こんなに褒められると、祖父母と呼ばれる年にいたった身としては、おしりがモゾモゾしてきますね。
障害の有る無しに関わらず、もっと長い目で人生を見通して、忍耐力をつけて、動じない心を持っていないといけないみたいです。努力しましょう (^_^;)
両親は、子どもがASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けると、なんとか治したい、あるいは改善したいと、一生懸命ASDについて勉強されていると思います。でも同じことを祖父母に求めても、立場が違いますからちょっと無理でしょう。
また祖父母との関係もいろいろなタイプがあることを本書でも指摘しています。
また祖父母との関係もいろいろなタイプがあることを本書でも指摘しています。
「ちょっと昔ふうの祖父母」「時々親の代わりをする祖父母」「同居する祖父母」「遊び相手の祖父母」「遠く
に住む祖父母」「親代わりの祖父母」などなど・・。
に住む祖父母」「親代わりの祖父母」などなど・・。
お孫さんとのかかわり方には、いろいろあります。
一緒にたくさん時間を過ごせる人もそうでない人もあります。
完璧な祖父母でなくてもいいのです。
お孫さんは、愛してくれるおじいちゃん、おばあちゃんを必要としています。その子にとって必要なものを与えてあげればいいのです。
一緒にたくさん時間を過ごせる人もそうでない人もあります。
完璧な祖父母でなくてもいいのです。
お孫さんは、愛してくれるおじいちゃん、おばあちゃんを必要としています。その子にとって必要なものを与えてあげればいいのです。
また、本書はおじいちゃん、おばあちゃんを対象に書かれているので、自閉症の原因や理論については殆ど触れられていません。特性についての説明も、ほんの4~5ページぐらいでしょうか。
それよりも、ASDの子どもたちが陥りやすい、引き起こしてしまうような事態に対する、具体的な一口アドバイスがあふれています。
たとえば、作ったり準備したものを食べてくれなかったときの一口アドバイスです。
5.一口でもいいから食べてごらん、と言わないこと : 新しい食べ物を一口だけ試してみるのは、よい方法かもしれませんが、提案はしても、決して無理強いはしないこと。そんな困難な仕事は子どもの親の任せておけばいいのです。もしお孫さんが、やってみようという気になったら、小さな探検で十分です。その食べ物を見たり、匂いをかいでみたり、フォークでつっついてみたり、ちょっと唇にあててみたり・・・・こんな小さな冒険が、恐怖心をとり除くのに役立ちます。
でも、忘れないでください。
好き嫌いをなくさせるのは、祖父母の仕事ではありません。親の仕事なのです。好き嫌いをなくさせるよりは、食事の時間をゆったりとしたストレスのない時間にしてあげましょう。落ち着いて食事をするのが、あなたにとっても、お孫さんにとってもよい方法です。
こんな風に、おばあちゃんにとっても分かりやすい関わり方や注意点について説明されています。必要以上に張り切って関わるのではなく、ゆったりと過ごせばいいと教えてくれています。
どこのおうちでも、クリスマスや誕生日には、おじいちゃんやおばあちゃんはプレゼントを用意して待っていたり、孫のお家に持って行ってあげることも多いと思います。
その際にもASDならではの一口アドバイスもあります。
その際にもASDならではの一口アドバイスもあります。
4.サプライズを避けましょう : ASDの子どもには、「うれしい」サプライズはありません。
サプライズは、ルーティンと安心を破壊する、コントロールのきかないできごとなのです。それに次に起こることを知っておきたいという気持ちへの攻撃でもあります。ですから、良いサプライズであっても気が動転してしまうのです。
起こることを前もって説明して、サプライズは避けるようにしましょう。たとえそれが、プレゼントの中身を前もって教えることであったとしても!
起こることを前もって説明して、サプライズは避けるようにしましょう。たとえそれが、プレゼントの中身を前もって教えることであったとしても!
このあたりは、これまでASDの子どもと関わったことのなかった、おじいちゃん・おばあちゃんには理解しづらいことかもしれません。突然の贈り物に、びっくりして、大喜びするお孫さんの顔を見たいのはわかりますが、ここはASDの特性と割り切って穏やかにプレゼントを渡して楽しい一日にしましょう。
また、ASDの特性を説明するとき、私たちはローナ・ウィング博士の障害の三つ組み「コミュニケーション」「社会性」「想像力」から入ることが多いのですが、本書ではキャシー・フープマン氏の『ねこはみんなアスペルガー症候群』の言葉を引用して解説しています。
ねこは、よそよそしく孤立していて独立心が旺盛です。抱っこされるのが好きでも、他と群れようという気はありません。一方、ほとんどの定型発達児はちょうど犬のように、グループで行動したがり、仲間を求め、リーダーに従おうとします。
あなたのお孫さんは、犬たちの世界に住むねこのようなものだと考えてみてはいかがでしょう。ほかの子どもとは、本能がまったく異なっているのです。
あなたのお孫さんは、犬たちの世界に住むねこのようなものだと考えてみてはいかがでしょう。ほかの子どもとは、本能がまったく異なっているのです。
自閉症については素人(?)のおじいちゃん・おばあちゃんにとっても、理解しやすい例えだと思います。それでいて、ASDの子どもは、定型発達の子どもたちより劣っているのではなく、「犬の世界に住むねこ」のように、ただお互い違っているだけということも納得していただけるのではないでしょうか。
もっと例を挙げて紹介したいのですが、本書ではいろんな場面での一口アドバイス、各項目ごとに5~10個ほどわかりやすいことば、取り組みやすい方法で書かれています。
おじいちゃん・おばあちゃんだけでなく、日々ASDの子どもたちの子育てに振り回されているお母さんにとっても、即、今日から役立つアドバイスも多いと思います。
まずはお母さんご自身が読まれてから、おじいちゃんやおばあちゃんにも読んでいただきたいとお薦めします。
おじいちゃん・おばあちゃんだけでなく、日々ASDの子どもたちの子育てに振り回されているお母さんにとっても、即、今日から役立つアドバイスも多いと思います。
まずはお母さんご自身が読まれてから、おじいちゃんやおばあちゃんにも読んでいただきたいとお薦めします。
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目次
序文
気持ちについて
いろいろなタイプの祖父母
おじいちゃん、おばあちゃんだから、できること
未来のために
いろいろなタイプの祖父母
おじいちゃん、おばあちゃんだから、できること
未来のために
第1章 ASD(自閉スペクトラム症)っていったいなんでしょう?
ASDってなんでしょう
アスペルガー症候群と特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)
ASDの診断ではなく、子どもそのものに目を向けましょう
アスペルガー症候群と特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)
ASDの診断ではなく、子どもそのものに目を向けましょう
第2章 熱すぎ? 寒すぎ? 感覚の問題について
拡声器とミュートボタン
不器用さと弱い筋肉コントロール
感覚が鋭敏になりすぎたり、鈍感になりすぎたら
不器用さと弱い筋肉コントロール
感覚が鋭敏になりすぎたり、鈍感になりすぎたら
第3章 感情の嵐
感情の津波
不安感
恐れとこだわり
変化を拒んだら
変化が起こるとこんな気持ちになります
パニックとはなんでしょう?
不安感
恐れとこだわり
変化を拒んだら
変化が起こるとこんな気持ちになります
パニックとはなんでしょう?
第4章 人とのかかわり合い方について ・・・ お孫さんの盲導犬になりましょう
犬の世界に住むねこ
盲導犬になりましょう
お孫さんとの関係を深める方法
幼いお孫さんの場合
10代の子の場合
盲導犬になりましょう
お孫さんとの関係を深める方法
幼いお孫さんの場合
10代の子の場合
第5章 自己コントロール ・・・ 実行機能の問題について
実行機能の弱い部分について
第6章 「おばあちゃんち」のルール ・・・ 行動のコントロール
効果的なしつけの方法を見つけましょう
どうすればお孫さんにあなたの声が聞こえるでしょう
3つのポピュラーなしつけ方法
最終アドバイス:極端な行動に対処する方法
どうすればお孫さんにあなたの声が聞こえるでしょう
3つのポピュラーなしつけ方法
最終アドバイス:極端な行動に対処する方法
第7章 シンプルな言葉はコミュニケーションの橋渡し
ミスコミュニケーション
誤解について
会話について
誤解について
会話について
第8章 教育 ・・・ 学校以外で学べること
学びのスタイル
学校
家族全体に及ぼすストレス
特別支援教育とは?
ホームスクーリング
放課後のおばあちゃんの家
お孫さんのストレスを減らす工夫
してはいけないこと
宿題をどうするか
学校
家族全体に及ぼすストレス
特別支援教育とは?
ホームスクーリング
放課後のおばあちゃんの家
お孫さんのストレスを減らす工夫
してはいけないこと
宿題をどうするか
第9章 祖父母が率先して、家族全体で受け入れましょう
家族の集まり
独創的な祖父母になりましょう
子どもの親にお休みをあげる役割
きょうだいの世話をする役割
プレゼントをあげる役割
あなたの家族だけの儀式や習慣を作る役割
幸せへの道を作る役割
独創的な祖父母になりましょう
子どもの親にお休みをあげる役割
きょうだいの世話をする役割
プレゼントをあげる役割
あなたの家族だけの儀式や習慣を作る役割
幸せへの道を作る役割
結論
10のベスト・アドバイス
参考文献
監修者あとがき
著者略歴
監修者・訳者略歴
監修者あとがき
著者略歴
監修者・訳者略歴
