アスペ・エルデの会:編 明治図書 定価:2160円+税(2016年10月)
私のお薦め度:★★★★☆
今、日本で自閉症児を育てながら、同時に自らの専門分野でも活躍されておられる14人のお父さんたちが、それぞれ自分の思いや子ども達の関わりを綴った本です。
残念ながら最後に登場する赤木慎一氏は、「アスペ・ハート」の編集長として、本書の制作にあたられていたのですが、自らの原稿を執筆半ばで急逝されました。
本書はその赤木氏の遺志を継ぐ形で発刊され、赤木氏の最後の編集作品として、私たちに届けられました。ご冥福をお祈りいたします。
登場する14人のお父さん達、何度も講演を聴きに行った方や、著書を拝見していた方、個人的に知り合いの方もいらっしゃいますが、みなさん錚々たるメンバーです。
著者の顔ぶれを、簡単にお名前だけ紹介すると、福島 豊(元衆議院議員)、野沢 和弘(毎日新聞論説委員)、山岡 修(一般社団法人日本発達障害ネットワーク元代表)、大屋 滋(旭中央病院脳神経外科部長)、 市川 宏伸(児童精神科医)、大塚 晃(上智大学教授)、南雲 岳彦(RUN4U代表)、小原 玲(動物写真家)、笹森 史朗(会社員)、岡田 稔久(くまもと発育クリニック)、新保 浩(一般社団法人そよ風の手紙代表理事)、藤坂 龍司(NPO法人つみきの会代表・臨床心理士)、うすい まさと(シンガーソングライター)、故 赤木 慎一(NPO法人アスペ・エルデの会)の各氏です。
著者の顔ぶれを、簡単にお名前だけ紹介すると、福島 豊(元衆議院議員)、野沢 和弘(毎日新聞論説委員)、山岡 修(一般社団法人日本発達障害ネットワーク元代表)、大屋 滋(旭中央病院脳神経外科部長)、 市川 宏伸(児童精神科医)、大塚 晃(上智大学教授)、南雲 岳彦(RUN4U代表)、小原 玲(動物写真家)、笹森 史朗(会社員)、岡田 稔久(くまもと発育クリニック)、新保 浩(一般社団法人そよ風の手紙代表理事)、藤坂 龍司(NPO法人つみきの会代表・臨床心理士)、うすい まさと(シンガーソングライター)、故 赤木 慎一(NPO法人アスペ・エルデの会)の各氏です。
みなさん、いまでは自閉症を持つ父親としての立場をオープンにして、活動を続けていらっしゃいますが、当然ながらわが子が自閉症と診断を受けるまでは、障害児の親となることは想像すらしていなくて、それぞれの分野で仕事をされてこられたわけです。
また、自閉症についても、ほとんどのお父さんたちがそれまで知識がなく(児童精神科医として、自閉症の診療にあたられていた、日本自閉症協会会長の市川宏伸先生のような例は除くとして)、戸惑い悩みながら子育てを続けてきた姿は、私たち普通(?)の父親と変わりはないですね。
また、自閉症についても、ほとんどのお父さんたちがそれまで知識がなく(児童精神科医として、自閉症の診療にあたられていた、日本自閉症協会会長の市川宏伸先生のような例は除くとして)、戸惑い悩みながら子育てを続けてきた姿は、私たち普通(?)の父親と変わりはないですね。
職種も経験も違う14人のお父さんの手記ですが、共通して感じるのが、自閉症のわが子を前にして、決して逃げなかった思いです。もちろん、中にはこれまで競争社会の中で生きてきて、家族を養いながら、より上を目指して頑張っていくという価値観を持っているというお父さんもいたでしょう。私の知っている範囲でも、我が子の障害をどうしても受け容れられなくて、家を出ていってしまった父親の話も聞きます。
本書の中でも、大屋滋 氏が率直に書かれています。
私は彼とともに暮らすまで、自分の育ってきた環境の中にはこのような子どもを見たことがなかった。変な子であり、できない子であり、受験能力という価値観からすると極めて劣った子どもであった。その上、特別支援学校の中でも、ただ一人指示に従えず行事を滞らせる、特段に手のかかる面倒な子どもであった。
ただ、どんなに大変であっても、私は彼が大好きであることは間違いなかった。一緒にいると嬉しいし、一緒にいたかった。一緒にいるうちに、徐々に、本人が楽しめるように、そして親も一緒に楽しめるように、それが一番と思えるようになっていった。
彼は勉強はできないし、社会で一目置かれるような地位に就くこともないだろうし、それどころか、いろいろと周りの人に迷惑をかけ続けるだろう。でも、彼自身が楽しく暮らしていくことができれば、それこそ人間としてとても有意義な人生だという新たな価値観が生まれ、そこに希望を見出し始めた。私はいつしか、それまで自分が持っていた価値観と、それとは違う価値観のダブルスタンダードを適当に使い分けるようになった。そして、我が子が自閉症であることをあるがままに認めて、本人が本人らしく暮らせるための工夫を一生懸命考え続けた。失敗の方が断然多いが、ささやかな成功を喜びながら今日までともに生活してきた。
(「価値観のダブルスタンダード」より)
こんな風にお父さんが新しい価値観、視点を持つことができれば、救われる家庭も多いのではと思います。そして、社会の中にもこんなスタンダードが広がっていけば、子どもたちも暮らしやすくなっていけるのにな、という思いです。
一方で、こんな思いを書かれているお父さんもいらっしゃいます。
「北風と太陽」の寓話を思い出していただきたい。ここに出てくる旅人が、発達障害等の特性を有する子の父親と思ってもらえたら、ありがたい(という切なる願い)。父親も途方にくれたり、寒さに震えていたりしているのに、「認めろ」「受容しろ」「子どものために、一刻も早く!」とバンバン強烈な風で煽られたら、さらに身を固くして、しまいには船底にこびりついた牡蠣(かき)にようになってしまうというものだ。
どうか、待ってほしい。時が経ち、暖かい春が来れば自分からコートを脱ぐ時が必ず来るのだから。長いこと待てなければ、冬の季節であっても、最初は暖かい部屋に入れてほしい。そうすれば、コートを脱いで落ち着いて話ができるというもの。具体的に言えば、無理やり「親の会」や「発達障害の勉強会」に連れて行ったり、関連書籍を勧めたりしないでほしい、ということ。「障害受容刺激」をしてほしくない、少なくとも最初のうちは。父親の受容フェーズは、母親より数段、遅れていると、私自身認めざるを得ないのだから。
私の場合、少なくとも5年以上はかかったと思う。もちろん現在でも、「障害受容」は「生涯かけての受容」と思っている。
そうして、自己の意志で受け止め始めたら、父親は、じわじわっという速度かもしれないけど、歩み始める。知識も経験も、染み込むように身についてくるのではないだろうか。そのような地固めをした次の段階で、やっと、言うところの「父親の役割」を果たせるようになれるのでは・・・・。
(笹森 史朗:笹森理絵さんの御主人)
これもまた率直な思いですね。納得されるお父さん方もいるのではないでしょうか。
確かに書かれているように、毎日、多くの時間を子どもと向き合っているお母さんに比べ、お父さんの“覚悟”には時間がかかるのかもしれません。
確かに書かれているように、毎日、多くの時間を子どもと向き合っているお母さんに比べ、お父さんの“覚悟”には時間がかかるのかもしれません。
でも、全く逆の意見を書かれている方もいます。
私が外来で診断を御両親に伝える時に必ず言い添えることが2つある。
そのうちの1つが「自閉症をはじめとする発達障害のことを勉強しましょう」ということである。理解するには勉強する必要がある。大多数の人たちにとって、それまで生きて経験してきたことだけから発達障害のことをイメージしようとすることは難しい。物事の受け止め方や考え方や感じ方が異なる子どもたちのことを知ろうとするのだから、学ばなければ知ることはできない。それは、発達障害のことに限らず、世の父親たちが初めて社会に出て仕事のことを知ろうとした時と同じである。何もしないで仕事の成果を上げることはできない。子どもたちのことも全く同じであると思う。
(岡田 稔久:日本自閉症協会 副会長)
(岡田 稔久:日本自閉症協会 副会長)
どちらの意見も父親として理解できる話です。(個人的には、勉強が大切という岡田氏の考えに近いです (^_^;))
自閉症児を育てていて感じるのは、一般の子育て以上に障害児の子育ての時期は長く続くように思います。それだけ子離れの時期が遅れるということでもありますが、時間が長くかかるだけ、お母さん方も大目にみて、お父さんの覚悟がつくまで太陽のように見守ってほしいですね。孤軍奮闘で辛いかもしれませんが、駄々っ子がもう一人増えたぐらいに思って・・・
お父さんたちも、いつまでもそれに甘えていないで、できるだけ早くにコートを脱いで夫婦で目標を共有
して、自閉症児の子育ての“同志”になっていただきたいと思います。
して、自閉症児の子育ての“同志”になっていただきたいと思います。
お父さん方にはぜひ読んでいただきたい1冊です。
お母さん方には、目の前の旦那さんとは比較しないで・・・読んでいただきたい1冊です (^_^;)
お母さん方には、目の前の旦那さんとは比較しないで・・・読んでいただきたい1冊です (^_^;)
(「育てる会会報 227号」 2007.3 より)
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目次
はじめに ・・・ 辻井 正次
〇 福島 豊(元衆議院議員)
本当に大切なことは子どもの笑顔のようにつながりの中からしか得られない
本当に大切なことは子どもの笑顔のようにつながりの中からしか得られない
〇 野沢 和弘(毎日新聞論説委員)
発達障害のある息子たちにとって暮らしやすい、やさしい社会になってほしい
発達障害のある息子たちにとって暮らしやすい、やさしい社会になってほしい
〇 山岡 修(一般社団法人日本発達障害ネットワーク元代表)
子育ては難しい
発達障害をもつ子どもの子育ては、さらに難しい
子育ては難しい
発達障害をもつ子どもの子育ては、さらに難しい
〇 大屋 滋(旭中央病院脳神経外科部長)
発達障害児の父親だからできること・やるべきこと・やっておけばよかったこと
発達障害児の父親だからできること・やるべきこと・やっておけばよかったこと
〇 市川 宏伸(児童精神科医)
人生は一度しか過ごすことができないもの
人生は一度しか過ごすことができないもの
〇 大塚 晃(上智大学教授)
息子を中心として多くの人々のサポートによる地域生活を実現できたら
息子を中心として多くの人々のサポートによる地域生活を実現できたら
〇 南雲 岳彦(RUN4U代表)
自らの健康を確保し、末永く家族の生活を支え続けることが大切
自らの健康を確保し、末永く家族の生活を支え続けることが大切
〇 小原 玲(動物写真家)
いつまでも笑顔を見せて生きていってほしい
いつまでも笑顔を見せて生きていってほしい
〇 笹森 史朗(会社員)
一緒に「たのしい」感をもてたとしたら、まずは「いいじゃないか」
一緒に「たのしい」感をもてたとしたら、まずは「いいじゃないか」
〇 岡田 稔久(くまもと発育クリニック)
それは、2人から始まった
それは、2人から始まった
〇 新保 浩(一般社団法人そよ風の手紙代表理事)
「特別な父親」である必要などない
「特別な父親」である必要などない
〇 藤坂 龍司(NPO法人つみきの会代表・臨床心理士)
我が子のセラピストになった父親
我が子のセラピストになった父親
〇 うすい まさと(シンガーソングライター)
自閉症の子どもの可能性を信じきる
自閉症の子どもの可能性を信じきる
〇 赤木 慎一(NPO法人アスペ・エルデの会)
補記:赤木慎一・妻
折り合いをつけて寄り添う
補記:赤木慎一・妻
折り合いをつけて寄り添う
【 父親 応援メッセージ 】
井上 雅彦 ・・・ 「父親支援」の必要性と環境整備
岩永竜一郎 ・・・ 運動スキル・運動を楽しめる気持ちを育むための父親の関わり方
白石 正一 ・・・ ASDの子と父親の関係を育みながら発達を促す方法
木谷 秀勝 ・・・ 白だ黒だとけんかはおよし 白という字も墨で書く
辻井 正次 ・・・ 頑張らないで頑張れ! お父さん
井上 雅彦 ・・・ 「父親支援」の必要性と環境整備
岩永竜一郎 ・・・ 運動スキル・運動を楽しめる気持ちを育むための父親の関わり方
白石 正一 ・・・ ASDの子と父親の関係を育みながら発達を促す方法
木谷 秀勝 ・・・ 白だ黒だとけんかはおよし 白という字も墨で書く
辻井 正次 ・・・ 頑張らないで頑張れ! お父さん
おわりに ・・・ 辻井 正次


