みんなのためのルールブック ~あたりまえだけど、とても大切なこと~ | 私のお薦め本コーナー 自閉症関連書籍

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自閉症・アスペルガー症候群および関連障害や福祉関係の書籍紹介です by:トチタロ

ロン・クラーク:著 亀井 よし子:訳  草思社 定価:952円 + 税 (2004年10月)
 
               私のお薦め度:★★★☆☆
 
前月お薦め本に紹介した「前向き言葉 大辞典」に続き今月も対象は一般(?)の子どもたち向けに出版されている本の紹介です。
著者は、アメリカのノース・カロライナ州出身の小学校教師 ロン・クラーク先生で、ディズニー社が選ぶ全米最優秀教師賞を2000年、28歳の若さで受賞されたバリバリの教育現場で働かれていた先生です。
 
本書の副題にもなっている「あたりまえだけど、とても大切なこと」は、別に保護者向けに書かれた本ですが、2003年に出版され世界的なベストセラーになりましたので、目にされた方も多いのではないでしょうか。
本書はその「あたりまえだけど、とても大切なこと」をもとに、本人たちが自分で読むために書き下ろした本です。
お母さん方には、元の対になる「あたりまえだけど、とても大切なこと ~子どものためのルールブック~」(草思社:1400円+税)も一緒に買って読んでいただきたいとお薦めします。
 
知的には遅れがなくても「暗黙のルール」がなかなか身につかないのが自閉症の我が子たちです。
そのため「空気が読めない」とクラスで浮いた状態となり、いじめや引きこもりなどに陥りやすくなってしまいがちです。
でも「暗黙のルール」ですから、クラスメートたちや先生も“あたりまえのこと”として、誰も教えてくれなかったルールです。どうしてそうなってしまうのか、本人にもわかっていないこと、それをきちんとルールブックとして、文字に書いて教えてくれたのが本書です。
50のルールについて具体的なケースを取り上げ、そこでとるべき態度を教えてくれています。
 
ルール9 もらったプレゼントに文句を言わない

だれかに何かをプレゼントされたときは、よくない感想や不満を口にしてはいけない。
プレゼントをくれた人にたいて失礼だからだ。
 
左側の見開きページではイラストつき(絵:北砂 ヒツジ)でもう少し詳しく、そうすればいいのはなぜかについても説明してくれています。
 
○ プレゼントをくれた人がだれであっても、その人の気持ちを考えて、喜んでいる態度を見せよう。
ほんとうはあまり気に入らなかったとしても、それを態度にあらわすのは失礼というものだ。
 
これで一つのルールが終わりです。
とても簡潔ですね。
 
文字からの情報は受け入れやすいのが、我が子たちです。すべてルビがふってありますので、知的にあまり遅れがなかったら、小学校の低学年から使える本だと思います。
帯にも『入学・進級 おめでとう!』と書いてあるように、学校生活を楽しくスムーズにおくる手助けとして、一年生になったお祝いにプレゼントしてあげるのにふさわしい本でしょう。
 
また時には、学校でのきまりをキチンと守ろうとしすぎて、クラスメートから反発を受けてしまうこともある子もいます。それならその特性を生かして、最初から守るべきルール、きまりとして本書をお母さんといっしょに読んで、いつも勉強机の上に置いておくのをお薦めしたいと思います。
 
ルール32 だれかとぶつかったらあやまろう

だれかがぶつかってきたら、自分がわるくなくても「すみません」と言おう。
 
○ ぶつかってしまったり、だれかに迷惑をかけそうになったとき、すぐに「すみません」とか「ごめんなさい」と言うのは、大人になってからも大切な、基本的マナーだ。
 
息子が幼かった頃には、まだこんなルールブックはなくて、教えられていなかったルールもいろいろあったのに気づかされました。
 
ルール31 つぎの人のためにドアを押さえていよう。
 
後ろに続く人が、両手いっぱいに荷物を抱えていようと、まったく無頓着にドアを通り抜けて、さっさと行ってしまう息子です。
反省しながらも、服巻先生の「人は必ず成長する」(今年のクリスマスには、服巻先生のセミナーを予定しています)のことばを信じて、すでに成人してグループホームに暮らす息子ですが、これからもルールを学んでいくことを期待したいと思っています (^^)/
 
こんな風に具体的なルールが続く本書ですが、終わりに近づくにつれ、しだいに生き方、考え方などについてもルールとして提案されていきます。
 
ルール45 前向きに生きて、人生を楽しもう
ルール47 まちがいをうけいれよう
ルール48 いつも正直でいよう
ルール49 現在を楽しもう
 
そして、最後のルール50です。
 
ルール50 きみのなれる、もっともすばらしい人間になれ

人生を楽しみ、自分にほこりをもてる人間になろう。
他人に救いの手をさしのべる人、まちがいから学べる人になろう。
 
○ どんな人生にも、苦しみや悲しみがついてまわる。でもどんなときでも、自分が成長して、こうなりたいと思う人間になるための努力を忘れてはいけない。
 
障害を持っていても、持っていなくても、子どもたちが自己肯定感を育てて前向きにいきてくれることを願って、本書を子どもたちにお薦めします。
 
               (「育てる会会報 222号」 2016.10 より)
 
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目次

ルール 1 大人の質問には礼儀正しく答えよう
ルール 2 相手の目を見て話そう
ルール 3 だれかがすばらしいことをしたら拍手をしよう
ルール 4 人の意見や考え方を尊重しよう
ルール 5 勝っても自慢しない、負けても怒ったりしない
ルール 6 だれかに質問されたら、お返しの質問をしよう
ルール 7 口をふさいでせきやくしゃみをしよう
ルール 8 何かをもらったら、3秒以内にお礼を言おう
ルール 9 もらったプレゼントに文句を言わない
ルール10 意外な親切でびっくりさせよう
ルール11 人の成績を言いふらさない
ルール12 授業中は、人が読んでいるところを目で追う
ルール13 質問には完全な文章で答えよう
ルール14 自分からごほうびをほしがってはいけない
ルール15 宿題は必ず提出しよう
ルール16 授業の準備はすばやくしよう
ルール17 整理整頓しよう
ルール18 宿題に文句を言わない
ルール19 代わりの先生がきたときも礼儀正しくしよう
ルール20 授業中は許可なく席を立たない
ルール21 先生にあいさつしよう
ルール22 お客さまを歓迎しよう
ルール23 だれであれ、仲間はずれにしない
ルール24 しかられている人のほうを見ない
ルール25 宿題がよくわからないときは質問しよう
ルール26 あとかたづけをしよう
ルール27 バスに乗ったら、おとなしく座っていよう
ルール28 人の名前をしっかりおぼえよう
ルール29 食べ物を欲ばって取らない
ルール30 だれかが何か落としたら、拾ってあげよう
ルール31 つぎの人のためにドアを押さえていよう
ルール32 だれかとぶつかったらあやまろう
ルール33 公共の建物に入るときにはおしゃべりをしない
ルール34 訪問先では何かをほめよう
ルール35 集会ではおしゃべりしない
ルール36 電話の応対はきちんとしよう
ルール37 お世話になった人にはお礼を言おう
ルール38 エスカレーターに乗ったら、右側(左側)に立とう
ルール39 全員で廊下を歩くときにはおしゃべりしない
ルール40 横入りをしてはいけない
ルール41 映画館では絶対におしゃべりしない
ルール42 学校に〇〇をもってきてはいけない
ルール43 もしいじめられたら先生に知らせよう
ルール44 信じるもののために立ちあがろう
ルール45 前向きに生きて、人生を楽しもう
ルール46 したいことがあるなら、やってみよう
ルール47 まちがいを受けいれよう
ルール48 いつも正直でいよう
ルール49 現在を楽しもう
ルール50 きみのなれる、もっともすばらしい人間になれ