自閉症スペクトラムと問題行動 ~視覚的支援による解決~ | 私のお薦め本コーナー 自閉症関連書籍

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自閉症・アスペルガー症候群および関連障害や福祉関係の書籍紹介です by:トチタロ

リンダ・A・ホジダン:著 門 眞一郎・長倉 いのり:訳 星和書店 定価:3800円+税


         私のお薦め度:★★★★☆


「自閉症児にとって視覚的支援が有効である」ということ自体は、すでにみなさんご承知のことと思います。
言語聴覚士である筆者のリンダ・A・ホジダンさんは、問題行動への対応を中心に、35年以上もの実践での経験から、その具体的な方法を、本書でたくさんの例とともに教えてくれています。


自閉症児のおこす問題行動はコミュニケーションに関係しており、したがって行動を改善するためにはコミュニケーションの改善をはかることが大切であり、そしてそのためには視覚的支援の方法が役にたつということです。すっきりしていますね。


本書の特徴としては理論的な話よりも、実際の支援のやり方が中心となっています。また本文は分かりやすく、読みやすくかかれており、各ページの左右の余白に、それを補足するような説明やまとめが囲み枠で示されており、そこだけ読んでいっても得るものは多いような構成になっています。

例をあげると、選択を教えるというページでは、本文の方には


  「視覚的な選択肢を使いましょう」

  「2つの選択肢を示すことから始めましょう」
  「子どもが自分の選択したモノを示すように促しましょう」
  「子どもが選んだものを与えましょう」
  「子どもが選ばなかったモノは、移動させるか、取り去るかしましょう」



というような各項目が、それぞれ詳しい具体例や説明と共に書かれています。
一方の、欄外には補足の項目が載っています。


「同じ選択を何度も繰り返すことがあります。ひょっとしたら、それだけが好みなのかもしれません。あるいは他の選択肢が分からないのかもしれません。選択の意味が実は分からないのかもしれません。毎回同じ選択肢を取らなければいけないと誤解しているのかもしれません。子どもがいつも同じアイテムを選ぶかどうか確かめる方法があります。・・・・・」


という具合です。お分かりいただけたでしょうか。


そして本文も、初めて自閉症児に接する方や保護者が、疑問に抱くであろう質問にやさしく答える形で進んでいきますので、初心者の方にも理解しやすい一冊です。
その答えは多岐にわたっていますが、まさに長年の体験からつむぎ出されたもので、全てを紹介したくなるようなものばかりです。


たとえば、子どもがパニックを起こしてしまったときの鎮静技法としては、「言葉は少なめにしましょう」とか「周囲の人の数を減らしましょう」「すべきことを子どもに思い出させ、そして待ちましょう」などは、すでにご存知の対応かもしれません。
それに加えて「〈中立的〉な行動(立ち上がる、座る、両手を組む、部屋を出る、モノをつかむ、など)を子どもがとれるようにしてみましょう。子どもは中立的な行動をとろうとすれば、不適切な行動をとることができないものです」とか「あなた自身を視覚的な手段として使いましょう。あなたの身体を使って肯定の意思を伝えましょう」などは、パニックを起こしている最中にはともすれば忘れがちになるのではないでしょうか。


また、「よくある質問」の章の、最後の「いつまで視覚的な支援を使う必要があるのでしょうか?」という問いへの答えです。


あなたは予定を把握するために、カレンダーやスケジュール帳を使っていますか? あなたは、いずれその使用をやめる意図でスケジュール帳を使っているのですか? 決してそんなことはないはずです! カレンダーやスケジュール帳は、あなたの記憶を支え、日常活動を計画するときの助けになります。


このように、分かりやすいことばで一貫して書かれているので、すぐに使える一冊だと思います。
最初に手にしたときに、かなり分量がある一冊なので、ためらうかもしれませんが、内容は読みやすいのでお薦めできる一冊です。


また本書は、同じ筆者の「コミュニケーション向上のための視覚的方法(仮題)」の姉妹編で、しかも妹のほうだそうですので、ぜひお姉さんの方も刊行されたら読んでみたい一冊ですね。


                      (「育てる会会報 143号 」 2010.4)

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自閉症スペクトラムと問題行動‐視覚的支援による解決/リンダ・A・ホジダン 門眞一郎:訳
¥3,990
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虹の架け橋―自閉症・アスペルガー症候群の心の世界を理解するために/ピーター サットマリ 門眞一郎:訳
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コミック会話 自閉症など発達障害のある子どものためのコミュニケーション支援法/キャロル グレイ 門眞一郎:訳 
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目次


  日本語版に寄せて


  はじめに


第1部:行動・コミュニケーション・視覚的方法のつながり


  第1章:行動について分かっていること


        子どもの発達について分かっていること
        定型発達における里程標と問題行動
        特別なニーズのある子どもの場合
        問題行動とは何か
        問題行動だと判断する場合の要因
        なぜ問題行動が存在するのか
        問題行動の原因としてよくあるもの
        行動マネージメント入門
        自閉症の子どもたちへの行動介入において欠けていること


  第2章:コミュニケーションの理解


        コミュニケーション・スキルの初期発達
        コミュニケーションの問題
        コミュニケーションの問題が行動に及ぼす影響


  第3章:視覚的な方法


第2部:アセスメント


  第4章:問題行動の評価


        アセスメントの手段
        問題行動のアセスメント
        問題行動アセスメント指針


第3部:コミュニケーションの改善


  第5章:上手なコミュニケーション相手になるための10カ条


        ジェスチャーをたくさん使いましょう!


  第6章:教えるべき7つの重要なコミュニケーション・スキル


第4部:コミュニケーションを理解し、問題行動を解消するための視覚的方法


  第7章:理解をよくするための視覚的手段


        スケジュールとカレンダー
           スケジュールとカレンダーの使い方
           見本と例
        生活情報提供の手段
           見本と例


  第8章:環境のコントロールについての支援方法


        選択と要求
           見本と例
           選択や要求の意味を教える
           選択を教えるテクニック
        抗議と拒否のスキルを教える
           拒否と抗議を教えるための視覚的なテクニック
           見本と例
        交渉のための言葉を教える
           見本と例


  第9章:視覚的な手段で行動を調整する


        「ノー」を伝えること
           「ノー」の伝え方
           「ノー」を示すテクニック
           「ノー」の伝え方を教える
        ルールと行動指針の確立
           全体のルールを作る
           ルールの使い方
           個人ルール
           見本と例
           ルールと行動指針の立案
           その他の見本と例


  第10章:視覚的な手段で言語スキルを伸ばす


        言語スキルの出現を促す
           教えるべき語彙の選択
           語彙の選定についてさらに検討しましょう
           〈言葉を教える〉だけでなく、コミュニケーションを教えましょう
           見本と例
        気持ちを伝える
           一般的な情動を表現すること
           語彙の選択
           感情を伝えること
           見本と例


  第11章:自己管理を支援する手段


        自己規制のスキルを教えること
           見本と例


第5部:視覚的な手段と視覚的な支援


  第12章:視覚的な手段の開発


        コミュニケーション向上のための、視覚的支援の用い方


  第13章:特別なニーズに取り組むこと


           非常に幼い子ども
           認知能力に制約のある子ども
           年齢の高い子どもや大人のためのプログラミング
           視覚障害のある子ども
           重複障害や診断不明の子ども
           極端な行動をとる子ども


第6部:疑問や配慮


  第14章:うまくいかないときにどうすべきか


        鎮静技法


  第15章:行動マネージメントがうまくいかない理由


  第16章:よくある質問


第7部:結論


  第17章:うまくやれる子どもに育てることと教えること


 参考文献と推薦図書


 訳者あとがき


   著者紹介
   訳者紹介