日常ケアのひとつとして肛門腺絞りがあります。
肛門腺絞りがなぜ必要なのか、やらないとどうなるのかなど詳しく知らない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな方の為に肛門腺絞りの重要性や上手に行うための方法やコツをお伝えしたいとおもいます。
肛門腺絞りとは?
動物病院で診察を受けた時やトリミングに出した時などに肛門腺絞りというワードを聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、肛門腺絞りについてどの程度ご存知でしょうか?
肛門腺とは、肛門の左右に存在し、そこから分泌された液体が肛門の左右下部(時計に例えると4時と8時の位置)にある肛門嚢に溜まります。
肛門腺の分泌液は、ややドロッとした粘液状のものが多く強烈なにおいを発するのが特徴です。
この分泌液は個体によってそれぞれ異なり、これを利用してマーキングをしたり、お尻のにおいを嗅ぎ合って情報交換をしたりします。
肛門腺絞りをしないと?
肛門腺から分泌され肛門嚢に溜まった分泌液は排便のとき一緒に自然と絞り出されることがほとんどですが、小型犬や中型犬、力の弱い幼少期やシニア期などの場合では自力で出すことが難しくなるので定期的に人間が絞り出してケアをしてあげる必要があります。
肛門腺の分泌液が溜まったままだと、お尻に違和感を感じるようになり、お尻を地面にこすりつけながら歩いたり、しきりにお尻を気にして舐めたりするようになります。
そこに細菌が繁殖すると肛門腺や肛門嚢にバイ菌が入り炎症を起こして腫れたり皮膚炎を起こし、悪化すると肛門嚢が破裂して膿や血が出てしまうこともあります。
肛門腺絞りの頻度や上手に行う方法
肛門腺絞りの頻度
個体差はありますが平均して肛門嚢が溜まるのには3~4週間程度かかります。
基本的には1ヶ月に1回を目安に肛門腺絞りをしてあげるのが理想でしょう。ただし排泄時に自然と出て溜まっていない場合があったり、1ヶ月経たなくてもお尻を気にする素振りや、お尻を地面にこすりつけながら歩く姿が見られることもあるので日常の様子をよくチェックしてあげて下さい。
肛門腺絞りのやり方
片手で尻尾の付け根あたりを持って真上に引き上げます。引き上げ方が甘いと肛門周りの皮膚がたるみ絞り辛くなるので、しっかりと引き上げ肛門周りの皮膚がピーンとはっている状態になっているかを確認しましょう。
もう片方の手で肛門周りの4時と8時の部分に人差し指と親指を当て軽く揉んでほぐした後、指を内側に押し込んで下から肛門側に押し上げるようにして肛門嚢に溜まっている分泌液を絞り出します。
指を当てる位置が合っていれば、あまり力を入れなくてもきちんと出てくるので急激に力を入れたりせず優しくゆっくりと押し上げるようにしましょう。
1回だと全て絞り出せていない場合もあるので2回程行い分泌液が出なくなるのを確認して下さい。
個体差はありますが、なかには上で説明した絞り方で肛門腺を上手く絞り出せない事もあり、その場合は肛門から指を入れて直接、肛門嚢を圧迫して分泌液を絞り出します。
この場合、少し難しいので動物病院でやってもらいましょう。
分泌液は強烈なにおいを発するので衣服などに着くとなかなかにおいが取れません。
絞る際に肛門にティッシュなどをあてて分泌液が飛び散らないようにすると良いでしょう。
シャンプー前などに行うと、においも残らず汚れもしっかりと落とせるのでBestですね!
猫の肛門腺絞り
猫は犬に比べ肛門腺のトラブルは少ないです。
ほとんどの猫は便と一緒に肛門腺を出せますので、お手入れする必要はありません。
ですが、まれに猫も肛門腺が溜りすぎて肛門腺破裂する子もいます。
肛門腺のトラブルの既往歴がある子・おしりを気にして舐める、地面に擦るなどの仕草のある子は肛門腺のケアが必要です。
ケアの仕方は上記の犬の方法と同じです。
自宅でも十分にできるケアですが、難しい場合は無理に行わずトリミングサロンや動物病院にお願いするようにしましょう。
肛門腺絞りは健康管理のために是非知っておいて頂きたいケアのひとつです。
お尻をやたらと気にしている姿を見かけたり、いつもよりお尻周りのにおいが気になると感じた時などにはチェックしてみるといいでしょう。
肛門嚢の溜まるサイクルには個体差もあるので必要に応じたケアができるといいですね。