今村守之『問題発言』(新潮新書) | 落語探偵事務所

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 今村守之『問題発言』新潮新書、2011年、を読みました。

 終戦直後の1945年9月の東久邇宮稔彦親王内閣総理大臣による「総懺悔」発言から、2011年9月の鉢路吉雄経済産業大臣による「市の街」発言まで、85個の問題発言を収録し、その背景などを2~3ページで解説しています。
 2001年12月18日の今上天皇による発言も収められており、問題発言集であって、暴言集ではないです。
 (もちろん85個のうちには暴言も含まれていますが…。)

 ちょうど今、舛添要一東京都知事による超高額豪勢海外出張および湯河原の別荘への公用車利用が問題になり釈明に追われる中で、「あのね、政治家というのはトップリーダーです。先々のことを、大きなグランドデザインを描く作業があるんです」と発言したことが問題となり、さらに批判を呼んでおり、そんな中で積読だったものを手に取りました。

 もちろん、我らが家元(松岡克由参議院議員)による「酒にきまってんだろ」発言も収録されています(1976年1月20日)。

 私が物心ついてからのものでありながら、この本を読むまで知らず(あるいは完全に忘れていて)、こんな発言が問題になったことがあったんだ…と感嘆したものがいくつかあります。

 1989年10月14日のザ・タイマーズというロックバンドのボーカルZERRYによる「エフエム東京、腐ったラジオ」という発言がそれです。RCサクセションのアルバムが発売中止になり、その楽曲をエフエム東京が放送を自粛したことに対する忌野清志郎による意趣返しのようです。発売中止騒動はかすかに憶えていますが、この発言は知りませんでした。

 一番笑ったのは、2005年6月3日にみのもんたによる「ビオフェルミンなんておのみになっているじゃないですか。胃腸薬。だったらビールを飲んだほうがいいくらい」というTBS『朝ズバッ!』での発言です。相当話題になり批判も出たはずですが、全く憶えていませんでした。その分笑いました。しかもビオフェルミンはこの番組のスポンサーだったそうで…。人一倍ずば抜けて頑丈頑強な肉体の持ち主独自の独特で個人的な健康哲学をテレビで一般化して発言してはマズいでしょう。

 まあ、読んでただただ不愉快になった項目もありますが、おおむね楽しく読めました。「活字を読んで興奮できる本」だと思います。
ちょっとした話題・ネタの仕込みに読んでもよさそうです。
 もうすでに絶版のようですが、続編を期待したいです。