先日テレビ番組で、病院受診時のシステムについて、こんな意見がありました。

 

 

「病院に行くと、受付(総合案内)、問診表、看護師さん、医師とそれぞれに症状を聞かれる。同じ話を何回をすればいいのか。」

 

というもの。

 

 

この番組はせっかちな人が意見を言い合うという趣旨の番組だったんですが、

 

外来のシステムについて、こんなふうに感じている人もいるんだと、驚いたといいますか。

 

 


現場にいる立場から言うと、

 


総合案内で適切な診療科へ案内できる病院、

 

看護師さんの予診(あらかじめ症状を聞くこと)がある病院はいい病院だと思っています。

 


 

理由としては、

 


見当違いの診療科への受診を防ぎ、患者さんに無駄な時間を使わせないで済むこと。

 


優先して診た方がいい(具合が悪い、緊急性の高い)患者さんを医師の診察前の段階で見つけられることがある。

 


何度か病状を確認しているうちに、患者さん自身も考えや困っていることが整理される。



世間話のような内容から診断のヒントになるような情報もあるので、診察室では緊張してうまく話せないような方には特に、事前に看護師さんが予診で得た情報が、すごく役に立つことがある。

 


などです。



 

日本は対人口比の医師数が少ない上に、


患者さんの医療費負担が比較的安いので病院に受診しやすく、

 

それが外来が込み合う原因の一つと言われています。

 

 


確かに、総合病院では午前の外来が午後2時~3時くらいまでかかるのが当たり前だったりします。

 

(お腹もすくし、声も枯れてくるし、本当に手術より体力使いますゲッソリ)

 

 

そんな状況の中、出来るだけ患者さんを待たせずに、より多くの情報を得るために、


診察室に入る前になるべく患者さんの情報を得ようというのが、この何度も症状を聞く、というシステムなわけですね。

 

 

時間が有り余っていれば、

 

一から医師が問診して、診察して、検査して、診断して

 


というのがシンプルで、患者さんにとっては楽なのかもしれませんが、それでは数多くの方の診察をするのが難しい。

 

 


以前一緒に働いていた同僚で、とても丁寧でじっくり患者さんの話を聞く優しい医師なのですが、午前外来がいつも夕方近くまでかかっちゃう先生がいて、

 


その先生に対して先輩医師が言っていた言葉でとても印象に残っているものがあります。

 

 

「お前は今診ている患者さんにはすごくいい医者かもしれないが、後に待っている患者さんには負担をかけている、優しくない医者かもしれないと考えたことはあるか?」

 

 


本当に、私たちって常にこの葛藤の中で診療しているんですよね。

 

 

出来るならじっくり話を聞きたいし、

 

少し世間話くらいした方が患者さんの緊張も和らぐだろうし、

 

でもそんな風にしていたら、どんどん待っている患者さんが増えてしまう。

 

 

結果的に、軽症な人、病状が安定している人は長時間待っても短い診察になってしまい、「3分診療」なんて言われるような診察になってしまう。

 

 

数年前に、大病院への初診患者を減らす対策として、紹介状なしの大病院への初診料引き上げが行われましたが、

 

(つまり、まず開業医さんなどで診てもらってから、必要な人だけ紹介状をもって大病院に受診しましょうね、紹介状なしだと高いですよ、ということですね)

 

 

大病院の外来の込み具合にあまり効果があったようには感じられません…

 

(実際の外来患者数の増減はわかりませんが)

 

 

なんか他に解決策はないものなんでしょうかねえーん

 

 

ただ、問診表や看護師さんの予診については、私たちがなるべく円滑にたくさんの患者さんを診るためのシステムとして、現状やっていることなんだと、


テレビ番組を見ながら少し反論したくなった次第であります(笑)

 

 

 

せめて、「5分診療」くらいのペースでも、患者さんをそれほど待たせずに診察できるくらいの、医師数と患者数のバランスになっていけばいいんですが、

 


日本ではまだまだ難しいのかなぁと感じています。