雨水 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

ー雨水ー

過去も生まれ変われるものなら
春というものも
悪くはないけれど
過去は消えない

雨水の一雨ごとに
温まると 人のいうけれど
逆さまに冷え行く心は
どこかに穴のあるせいか

隙間風の吹き荒ぶ
窓枠のカタカタ鳴る音に気づく
夜明け方
へばりつく夢の名残を
振り払い
鬱蒼とした日常の森で
目を開ける

道標はまたなにも
書かれぬまま
至るところに打ち付けられ
思いつくまま 歩みだす
いつまでたってもよちよち歩き

ああ 素早き春の憂鬱は
梅も見ぬまに頭もたげる…