やっぱりバケモノ | TMSジャパン公式ブログ

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      健全な肉体は健全な精神に宿る     

実は、「スゴイ男がやってきた」で紹介した科学ジャーナリストの粥川準二先生にどうしても会いたくて、拝み倒して恵比寿のオフィスにお越しいただきました。

貴重な時間を割いてまで愚拙に会う必要などないはずなのに、嫌な顔ひとつ見せず、とても楽しくお話をさせていただきました。お陰で非常に多くを学ぶことができたと同時に、粥川準二先生の偉大さを改めて再確認させられました。やっぱりこの人、スゴイです。バケモノです。

筋肉製の脳ミソしか持っていないとはいえ、調査能力に関しては少しだけ自信があった愚説なのですが、粥川準二先生に比べれば月とスッポン、とても比較にならないほどかけ離れているのです。

たとえば、先日の「ニューズウィーク日本版2010年4月14日号」の記事について伝えると間髪を入れずに引用文献を教えてくれたり、腰痛診療ガイドラインが最近改訂されたことを告げると喉から手が出るほど欲しかった論文を送ってくれたりと、とても人間業とは思えない芸当を見せつけられたのです。これには参りました。

最初は『イリホリ』の腰痛特集で愚拙のところへ取材にみえたのですが、今では愚拙以上に腰痛に詳しい立派な専門家です。腰痛に関する本の執筆を依頼されれば、あっさりと書き上げてしまうでしょう(どこかの版元さん、ぜひ依頼してください)。本人はまだまだ修行中の身と謙遜していますけど、世の中にはこういうバケモノがいるのです。いや、本当に驚きました。

実をいうと、半年ほど前から心が折れかかっていて、もうそろそろ潮時かなと考えておりました。いくら事実を伝えようと努力したところで、テレビ業界はもとより出版業界やネットを含むマスメディアは、相変わらず事実無根の情報や一個人の自慢話をこれでもかとばかりに垂れ流し続けています。

「あらゆるものを犠牲にしてまで報われないことを続ける必要があるのだろうか?」「腰痛産業の餌食になりたいというのならそれも個人の自由、勝手すればいいのではないのか?」「それが国民の総意なら事実を伝えるのは単なるおせっかいではないのか?」「もう精も根も尽き果ててしまったし、どうせ愚拙などいなくてもあと30年もすれば腰痛医療は変わるだろう」「でも孫子の代までこの悪影響が続くのはちとマズイかな?」

こうした葛藤に日々苦しんでおりました。そこへ粥川準二先生が取材に来てくださったのです。愚拙にしてみれば暗闇の中で小さな光明を見出したような気分です。「粥川準二先生も同じような空しい闘いを続けてるんだから、もう少しだけ頑張ってみようかな」という気持ちになりました。粥川準二先生に出会えた幸運に心から感謝しています。愚拙の前に現れてくれて本当にありがとうございます。(-人-)