個別報告 55B-4/BW-TJのAさん | tmpブログ

個別報告 55B-4/BW-TJのAさん

10/24 ヨコハマ 快晴 作業には打ってつけの日.

写真はAさんオーダーの55B-4/BW-TJの生地加工と仕上げが終わった時点でのショット.
朝から燻煙処理を行ないつつ、しっかり仕上げました.

本当はこうした生地研磨にはオーダー主を工房に招いて、ご自分の楽器の途中工程のほんの僅かでも体験させてあげたいと思い続けて来ました.実際にはなかなか段取りがありますから実現出来ないのですが、僅かでも自分で手を加えたものが最終的に楽器として完成した場合、おそらくは市販品を購入しただけではとても味わえない特別な気持ちを持たれるのではないでしょうかね.

これまでに多くの工場を見て参りましたが、大手メーカーさんのファクトリーでは毎日信じられない程の本数のエレキギターやベースが製造されています.工員の皆さんの多くはご近所在住のパートの皆さんですが、よくもあれだけ同じ作業を繰り返し出来るなと本当に感心します.

ワタシは同じモノを何本も作るのがとても苦手です.あらゆる設定を研究して来た反動で量産の楽器製造現場はとても居心地が悪いのです.
大手の生産ラインではストラトだけでも百本以上流れている事も全く珍しい事ではありませんから、正直見ているだけでうんざりして来るのです.

手にする相手がどこの誰かも分からないのに どうやってこの楽器を仕上げたらいいのか、本当に困惑してしまうのです.ワタシには1本1本製作するのが楽器製作の前提なんです。

これまでに折角工房を訪れてオーダーしに来て下さったのに、ワタシがどうしてもその方の楽器を作る気になれなくて「申し訳ないんですが・・」とお帰り頂いた方もいらっしゃいます.
その点は未だに申し訳なく思っておりますが、単にファッション的な感覚で「とにかく作って欲しいんです」と言われても、その方は単にギターが欲しいだけで音楽の為に必要としているのではないのだな、と感じてしまった時点で全く創作意欲が失せてしまうんです.

これってどうしようもないんですよね.ワタシも人間ですので.
「どうして自分だけ作っては頂けないんですか?」と、どんなに責められても、ご本人がただギターが好きでとにかく欲しいという方に対して、どうしても作る意欲が出て来ない以上、それは受けるべきでは無いと考えているからです.それは今も変わりません.
量産品製造と楽器製作は似て非なるものだからです.

お断りした方々の中にはご気分を害して工房を後にされた方もいらっしゃったでしょう.
その方々は未だにtmpやワタシを良く思われていないとしても仕方ないですが、その方々が製作家になられた時に初めてワタシの気持ちを理解して頂けるのかも知れませんね.

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