伝説の歌姫:本物は誰なの?
深夜のバラエティ番組で、竹内まりあを「伝説の歌姫」とナレーションで紹介。
違和感を覚える。
彼女は現役なんですけど。
番組のディレクター・プロデューサーの感度の鈍さ、劣等なワードセンスを感じる。
仮に引退しても、竹内まりあは伝説の歌姫の印象では、イメージではない。
「伝説の歌姫」という文言に最も相応しい歌手はちあきなおみだろう。
異議はないと思える。
次いでテレサテンに落ち着くのでは?
高橋真梨子が引退したら、彼女も該当するだろう。
由紀さおりも?
3人に共通の心象風景がある。
先ず演歌の歌手ではない。
バラードに定評があり、自分の世界観を醸し出す。
哀しい女の現在地を、説得力を込めて唄う。
決して強い音圧ではなく。
喜怒哀楽を薄めて。
リスナーが感情移入するかはともかく。
上手いという、極めて単純な文言に帰結する。
世代間ギャップが大きいので、若い世代の「伝説の歌姫」は知らない。
傾向は異なるが、山口百恵と安室奈美恵はアイドルの延長線の領域で双璧かもしれない。
頂点を極めた?
それだけの実績を残した。
疑問の余地はない。
聴き手の記憶媒体に感興を深く刻んだ。
アドレナリンとドーパミンを増幅させて。
時代のアイコンだった。
目線を海外に向けたい。
私的にはダスティ・スプリングフィールドに尽きる。
すでに鬼籍に入っているが。
1999年に永眠。
享年59歳。
英国の白人ボーカリスト。
ハスキーボイスが武器ではあるが、個性でもある。
アップテンポのキャッチーなメロディライン、マイナーコードのスローバラードなど、彼女のフィルターで透過して高規格の次元で再生する。
全方位的に卓越した歌唱を聴かせた。
「実力派」という形容が最も相応しい。
その力量は傑出していた。
エロキューションが秀逸で、さらに魅力が倍化する。
しかし、自分自身に陶酔したような、劇場型のシンガーではない。
ロングトーンを多用して、リスナーを制覇するようなパフォーマンスはしない。
例えばセリーヌ・ディオンとか、ホイットニー・ヒューストンのような。
ダスティの亜流、傍流は現れていない。
真似することも難しく、メリットはないかもしれない。
イギリスは時折、抜群に才能に溢れたアーティストを輩出する。
スパイスガールズや、男性ではあるがジェイミー・カラムも特筆に値する。
勿論、ジャミロクワイも。
UK恐るべし。
人口という分母で比較したら、アメリカと対等と言える。
ダスティの「この胸のときめきを」「とどかぬ想い」「インプライベート」「ウィシンアンドホッピン」は必聴である。
ポップスという姿形を借りながら、自身のボーカリストとしての航跡を、人生のストーリーを完結させた。
再び言及するが、世代間ギャップは必ずある。
私よりも上の世代では「伝説の歌姫」はペギー・リーかもしれない。
詳述は長尺になるので割愛したい。
多くの先人に心より深謝。
栄枯盛衰、諸行無常、色即是空、会者定離。
冥界で逢いましょう。
合掌。