趙顕娥(チョ・ヒョンア)大韓航空前副社長の「ナッツリターン事件」は、父親である趙亮鎬会長の隠れた努力を吹き飛ばしてしまった。
アジア通貨危機の際、「社員を誰も解雇しない」と約束した祖父・趙重勲(チョ・ジュンフン)会長の義や冬季五輪成功のために5年以上活動してきた父の努力は全て水の泡になり、「3世教育を誤った財閥企業」という不名誉だけが残った。
財閥3、4世の経営参加が本格化した昨今、今回の大韓航空の事件と同様、オーナーの子どもたちによるとんでもない行動で企業全体を台無しにする可能性はますます高まっている。
彼らは軒並み米国の有名大学で経営や金融を専攻し、激しい競争にもまれることなく、能力を検証されることもなく、あまりに容易に経営に参加し過ぎている。 そのため、上の世代とは異なり、汗を流して富を蓄えるよりも優雅なビジネスやビッグディールで認められようとする欲求が強い。
(朝鮮日報 12/16)
ここ数日、韓国では 大韓航空前副社長の「ナッツリターン事件」が大きく報道され続けています。
今や「時の人」として 趙顕娥(チョ・ヒョナ)大韓航空前副社長は 韓国内だけでなく、世界中に知れ渡るようになってしまいましたね。
父親である趙亮鎬会長まで記者会見して「娘の教育を間違った父親の私に責任がある。」と謝りましたが、手にしたマニュアルが大きくカメラに写し出され、「ここで1回お辞儀」とか書かれているのが見え、すべてマニュアル通りの演技だった事がバレて余計に非難を受ける結果になってしまいました。
韓国ではサムスン、現代自動車、大韓航空の韓進など所謂「財閥グループ」に富が集中しており、そのオーナー一家は庶民から羨望の的になっています。
一代でもって成功して富を築き上げた創始者及び二代目ぐらいまではそれでも貧乏も経験していますが、三代目以降は完全に生まれた時から「王子様、お姫様」待遇で育てられて来ています。
趙大韓航空前副社長もいつも通りに振舞ったのでしょうが、今回は社会からの反発と非難が予想以上に大きかったのは彼女にとって運が悪かったという事でしょう。
企業のシステムより、オーナー一家への忠誠心が優先される韓国財閥企業の体質は激しい国際グローバル企業の競争の中ではいずれ淘汰されてゆくしかないと思います。
これを機会に財閥グループの「所有と経営を分離」して、オーナー一族は経営から手を引いて株式など所有だけにしたら企業もより発展すると思いますが、韓国人の情緒からは無理かも知れませんね。