交通事故は大変悲惨な結果を惹き起こすことも少なくありませんが、不幸中の幸いと申しますか、それほど重傷に至らずに済んだ方でも、何度もつらい思いをされることが非常に多いように思われます。その理由として、例えば次のようなことが挙げられるでしょう。

 

①事故の相手方が、任意保険に加入している場合、基本的にその保険会社の担当者が窓口になりますが、保険会社の電話が通じるのは、平日の日中だけですから、お仕事や学校で忙しい方は、なかなかお話ができません。

②おけがのため、まだ通院を続けたい、あるいはお仕事への復帰が困難という状況なのに、相手保険会社から、一方的に治療費の支払や休業補償の打切りを言い渡されてしまうことが少なくありません。

③最後の示談の段階になっても、損害額や後遺症の程度、過失割合の評価が果たして妥当かどうかわからないうちに、金額を書いた紙が送られてきて、「ここに署名、押印してください。」といわれてしまい、結果、モヤモヤした思いを残したまま示談(?)という方も少なくないでしょう。

 

 このような不幸な出来事の起こる背景には、構造上の問題が潜んでいるといってよいでしょう。損保会社は交通事故に関してはプロですから、プロに対してアマチュアが、―それも時間の大幅な制約とけがによる苦しみを抱えながら―交渉しなければならないというのが、交通事故被害者の置かれた立場なのです。

 ですから、被害者の方が相応の補償をうけるには、その立場を説得的に主張しなければなりません(「説得的に」というのは、法律や証拠に基づいて、理路整然とということです)。

 ここに、交通事故被害者側の弁護士の存在意義があるのです。