Fiat Panda 30 Life


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ベルディ号 不具合アラカルト整備 パオーさん奮闘記

12月になり寒い寒い本格的な冬がやって来た。

北海道より南の日本では季節外れの暖かな日があったりするようだが

札幌はコンスタントに真冬日を記録している。

 

当日は雲の流れが逸れたらしく雪こそ降らない札幌だが、曇りの空はその雰囲気だけで

憂鬱になるぐらいに寒い。

 

久々に登場のベルディ号、 最近ミッションを壊してその前の銀パンダから移植した

ミッションで復活を遂げた。 

 

こちらも久々登場のパオーさん、お元気そうです。

 

当日のお題その①はワイパー、 すっきりして見栄えが良いが冬の北海道で、ましてや

豪雪地帯の小樽でワイパーの無い状態での走行はほゞ不可能。

このところの数日は窓からワイパーを片手にもって拭きながらの走行だったのだとか。

曰く、本人は必至だが、周りから見ればお笑い事にしか見えない、 とのこと。

まったくもってその通りww

 

原因はワイパーアーム側のスプラインが減ってゆるゆるになってしまった事、

本来はしっかりはまり込むと画像の中央の金属の部分を押し広げないと抜けて来ない

はずのアームがそのままズボッと引き抜けてしまう。

 

メカニズム側のスプラインも荒れては居るが、試しに6号機のアームを装着して見ると

しっかりと留まる、 なので、問題はアーム側にあるのが判る、

新品のアームも持っては居るがパオーさんにそんな出費を強いる事も出来ない、

なので・・・

 

ここはパンダ乗りの常套手段、アームに穴を開けて・・・

 

M4のネジを切って・・・・

 

スプライン側にもネジ頭が入り込む溝を切って・・・

 

ネジ留めで固定!!!

予定では一本で止まるハズだったのだけれど、弱いので2本留めとした、

試運転した結果は良好だ。(本試験は積雪の日等にお預け)

 

 

お題その②はスピードメーター、

先日からまったく動かなくなってしまったのだそう。

はたして原因は如何に?

 

早速車体を上げてケーブルのミッション連結部分にアクセスするパオーさん、

パンダをこんな風に弄るのも久しぶりだ。

 

ベルディ号は車載ジャッキが取り付くところを破損しているため油圧ジャッキで

持ち上げる。

 

ケーブルを取り外した結果、 メーターケーブルがミッション手前の3cmの所で

破断しているのを確認、破片も取り出す事に成功した。

 

こちら在庫のスピードメーターケーブル新品、

 

組付け前にはしっかりとグリースを塗布して置く、

これをやらないでカラカラのまま組み付けると寿命が縮まるのでご注意。

 

新品ケーブルに付属していない保護のゴム部分を移植、

 

ケーブル中間の保護パイプも移植、

 

このような感じで準備万端。

 

早速ケーブルを組み付ける、

ミッション側を先に組み付けて・・・

 

メーター側にケーブルの軸が飛び出て居ないかを確認、

その後、メーター裏側から取付する。 メーターは分解しなくても行けた。

 

いろいろと雑談を交えながらも作業のパオーさん、

 

内張を付けたら完成、

試走の結果、スピードメーターは無事復帰した。

 

お題その③とその④は運転席ドア周り、

車体を入れ替えてドアの開くスペースを作るパオーさん、

外は真冬日、氷点下の一日なのでガレージ内で作業できるのならそうした方が良い、

 

ガラス落ちをお茶の子で整備後、ドアハンドルの不具合を確認するが

ハンドル末端の樹脂部分の非分解構造に阻まれて断念、内側の開閉ハンドルごと交換

しなくてはならない様子なので今回はお預けとなった。

 

かれこれ3時間強、いろいろと解決して遊んで行ってくれた。

白煙も止まって復調のベルディ号、パオーさんご苦労様でした。

 

すっかり日は短く年末を実感する一日だ。

 

パンダLifeはつづく

 

Kさんありがとう

Kさんが急逝した、9月20日の事だ。

ついその10日前には88歳の誕生日を迎えたばかりだった。

あまりに突然であった為今でもよく理解出来ていない自分が居る。

 

 

Kさんは68歳で脳梗塞になってから立て続けに癌や心臓疾患を患った。

その頃私はイタリアで生計を立てていたのだけれど、当時知り合いだった

日本企業のイタリア駐在員が親の訃報を聞いて涙していたのを見て決意した、

かけがえのないものを失って取り返しのつかない所業を悔やむのは

将来の自分の姿に重なるのを理解したからだ。

ただでさえ多くの病気を抱える母は平均寿命は生きないだろう、

18歳の下宿生活から始まって45歳を過ぎるまでまともに一緒に

過ごした事も無く、親不孝ばかりの自分の贖罪のチャンスは今しか無いと思った。

 

 

そうして2007年に帰国しフリーランスの仕事を続けながら一緒に暮らした。

父親も同様、親は自分にとって唯一無二の存在だ、

こんな髭面の50男を可愛いなどと言ってくれる存在は他には居ない。

15年イタリアで暮らした事で身近な人こそ第一であり重要であることが

文化的に身についていたのがこの選択を後押しした。

 

 

それから暫くして2011年、パンダリーノ出走を機にKさんを連れて

走るようになった。

2011年の初参加の時は半分冗談に一緒に来るか聴いてみた、

返事は”遠いし疲れるのでやめて置く”だったのだけれど

いよいよ出発の1日前に”やっぱり行っていいかな?”と。

大慌てで船やホテルの予約を取り直し、当時76歳のKさんを連れて

出発したのは今となっては懐かしい思い出だ。 

その旅程は強行軍でKさんには少し大変だったけれど、非常に

楽しんだ様子だった。 台風が迫る大雨のパンダリーノも印象に残った。

初回の大冒険がとても気に入った様で、その後はパンダリーノ出走には必ず

ついてくるようになった。 

足掛け10年、コロナ禍の3年を除いて毎年とても楽しみにしていたのを

思う、それまで参加していた老人会の旅行をキャンセルしてまで。

 

北海道からの参加では会場にたどり着くだけで3日掛かる、そうして

到着した会場でいつもの皆さんにお会いするのが無類の喜びだった様だ。

”あの人今年も来るかしら?” ”プレゼントを買って置かなくちゃ”

そんな言葉が雪がとけた春頃から口をついて出るほどだった。

 

思えば皆さんにも大変お世話になった、Kさんを気にかけて毎年お土産を

もって来てくださった方々、声をかけていただいて一緒に写真に写って頂いた

方々、本当にありがとうございました、当人には大切な宝物で心に秘めて

旅発った事だろう。

 

パンダリーノ出走3年目位からはKさんに息抜きしてもらう為に慰安旅行

を兼ね、まだ見た事のない日本のあちこちを走るようになった。

京都には何回行っただろう、毎年舞鶴からの帰りの船の前泊に寄る様になって

下手な京都人よりも京都通になった程だ。

遠くは九州、中国地方、四国と、実の所はKさんを口実に自分も

見た事の無い日本を沢山堪能できた。

今年2023年、コロナの影響で3年のブランクを経て参加したパンダリーノ、

2019年からは妹のKNさんの助けを借りての2回目の参加だった。

3年を経てまたお会いできたお友達の事を壊れたCDの様に繰りかえすKさん、

よほどうれしかった様だ。 旅行中終始、”楽しいね、幸せだね”を繰り返して

いたのを思い出す、狭くガタピシうるさいパンダ30の中でも。

”また来年も来ようね、あの人にまた会いに来るんだ” と。

 

 

 

諸行無常の世界、それでもこんな日は私には来ないとどこかで思っていた、

また、出来れば誰よりも早く自分が逝ければいいとも思っていた。

家族を失う苦痛はだれしも耐えがたく苦しい物、そこここに残されたKさんの

痕跡につい手が止まる。

荷物の発送に出掛ける私を呼び止めるKさんの声が聞こえるような気がする、

地下の仕事場へ昼食の相談に降りて来る足音が聞こえるような気がする。

それでもやっぱりKさんはもう居ない...

 

あれから16年、奇しくも平均寿命を生きたKさん、

私は自問を続ける、

2007年に帰国してから精一杯を出来ただろうか、

残りの人生を幸せに過ごしてくれただろうか、

至らない私を許してくれるだろうか。

 

皆さんには大変お世話になりました、

Kさんはきっと幸せでした。

Kさんありがとう。

 

 

 

 

*当ブログはパンダとその周りの人々を中心とした人間模様を徒然に書き綴って

います。Kさんに付きましてもパンダ関連で長らく登場していましたので

お世話になりました関係各位にご報告とお礼を兼ねてこちらに記載させて頂き

ました。

 

 

セレクタ ロワーアームブッシュ交換 セレクタさん奮闘記

7月に入りやや雨勝ちのこの頃、

南方の日本列島には猛暑と豪雨災害が襲う状況に心を痛める。

異常気象では無くほぼ毎年の例年の気象に成りつつあるのが恐ろしい。

 

多少の雨で何を言うべくもなく、我々のパンダ整備は淡々とつづいてゆく。

さて、当日は岩見沢からセレクタさんがやって来た。

 

家の前の敷地で分解してガレージの中で作業をする予定だったが、雨の為そうも行かず

苦肉の策が車の前半分をガレージに入れての作業、こうする事で残りのスペースで

外した部品の整備ができるはず。

 

当日のお題はロワーアームブッシュ交換。

こちら新品のパンダ用部品、昨年の4月に自分の6号機にも施工済みなのでノウハウは

ある”つもり”で居た。

 

 

職人のセレクタさん既に作業着に着替えてお茶目なポーズ。

今の所、パン友の中で一番機械弄りのセンスがあると思う。

何をするのも安心して見て居られる。

 

さて、左右両輪をそれぞれ分担して作業開始、

私の施工した右側は難なく分解できたが、左側に問題在り、

近所の自動車会社で交換したナックル下のボールジョイントが強烈にはまり込んで

外れないのだ、 ここは47Nmでそれほどの大トルクで締め付ける場所ではないが

案外、インパクトレンチでダダっと締め付けられてしまって居そうな感じだ

 

リムーバーの角度を変えたり、さらに、打撃を与える位置を確保するために

本来当日の作業では分解の不要なブレーキキャリパーやディスク迄取り外す嵌めに

陥って、目いっぱい時間ロスのセレクタさんだった。 

ここで1時間ほどタイムロスをしているはず、大変です。

 

早速外れたアームの整備に取り掛かる、

幸い内部のカラーは再利用可能な状態で、表面の錆を処理する、

ーーーカッターナイフで大きな錆とブッシュのゴムのカスを削り落とす

 

次に浮き錆をサンダーで処理、こんな工具の使い方もセレクタさんらしく

様になっている、

 

こちら組み付け前の部品、アームにも錆も見受けられず綺麗な状態だ

 

https://www.instagram.com/reel/CnnkdXipP9j/?igshid=YTUzYTFiZDMwYg==

ブッシュのはめ込みはセレクタさんのお勧めの裏技、上の動画の通りに進めた。

初めは自分の経験から苦労無くはまるであろうとの目論見で万力に挟んでみたが

なぜか今回はうまく嵌らない、それでセレクタさんの裏技を半信半疑で試してみたところ

物の10秒で嵌める事が出来た!! これは凄い

 

ワイヤーの代わりに番線を使用した以外はほぼ裏技動画と同じ作業で10秒だ!!

 

綺麗にきっちりと嵌った新品、素晴らしい。

この後内部のカラーは8mmロングのソケットレンチの駒をガイドに嵌めた。

 

さて、作業は既に1時間押しの状態なのでここから怒涛の組付け、

私の担当した右側は順調に組み付け終わる

 

こんな感じで完璧に元通り、

 

ところが外れなかった左側にさらに問題発生、

やっぱり古い車はこういったプラスアルファの作業が出る事を織り込んでおかないと

イケない

 

先ほど取り外しに苦労したボールジョイントのネジ山がダメになっている、

部品を観察すると、ナット側のネジ山が潰れているのが判る、

この時点で推測はほぼ的中、締め付け時点でオーバートルクを掛けた事で

ナットのネジ山を破損、分解過程でその壊れたネジ山を引き摺って外すことにより

それ以下のネジ山にも傷が入った形だろう。 

最近はハンディタイプの小型の性能の良いトルクレンチがあるのでついついこのような

部品はダダっと締めてしまい勝ちではあるが、テーパーの掛かった様なところでは

やはり手締めをお勧めしたい。

ーーー傷んだネジ山をヤスリで一本一本修正するセレクタさん、 やるな~。

 

そんなこんなで組み付けもさらに30分以上のタイムロスを余儀なくされる、

ーーー”職人セレクタ男一匹黙々と作業”の図

 

やっとの思いで左も完了、左右輪はランダムで担当を決めたので

悪い側を選択したセレクタさん、今日は”はずれ”でした。

 

さて、車を下ろしてしずしずと出庫、

昨年の6号機の経験からして、ほぼ交換後の変化は感じられないだろうことを

伝えて置く、さらに言い忘れたけれど、ブッシュゴムの偏芯が治る事でハンドルの

中立がズレる可能性があるがしばらく走ると6号機の時は元に戻った。

 

2時間程の作業を予定していたがプラスアルファで4時間みっちり作業して遊んで

行ってくれました。

 

セレクタさんご苦労様でした。

 

パンダLifeはつづく

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