顔も知らない
父親の死によって送られて来た
見知らぬ自治体からの請求書
そこで知らされた
自分がその個人の承継人である事実
青天の霹靂とは
いつも気持ちを辟易させる
今の時代
まず思い浮かぶのは詐欺だ
この見知らぬ自治体からの請求書の
宛先に見知らぬ人の氏名と
その下に自分の氏名が記され
中の書類を読むと承継人だから
故人の住民税を
支払えと書いてある
何の迷いも無く
その請求に答える人はいるのだろうか
仕方無しに
請求元へ連絡すると
文書の通りだからの一点張り
これが本物である証拠
電話口のあなたが詐欺師で無い
その証拠を示せと言うと
ホームページに書いてある
代表番号へ電話をかけ直せと言われ
法律とは
こんのにもポンコツなのかと呆れた
しかし言われた通りに
かけ直すと今度は違う人が
電話口に出て来て
それまでの経緯を説明し
その部署へと内線を繋いでくれたが
その部署の先ほどとは違う誰かが
電話口に出て
この請求書は本物ですと言う
いやだから
さっきと違う人が出たら
確認にならないのよなどと憤り
散々と文句をぶち撒けて
その度に部署が違うからと
たらい回しにされ
余計に腹が立つものだから
2時間くらい回り続けた
その結果
事態は何も変わらず
ただ気持ちだけが少しスッキリしたのか
その贖罪も込めて
その請求どおりに支払った
支払いは簡単だ
スマホでバーコードを読み取れば
それで支払い完了
何とも呆気ないものだった
重み〜!余韻〜!
誰かキツめのBGMをかけてくれぇ
この葛藤への手応えと
支払時の手応えの無さの
そのギャップが
顔も知らない父親との
関係性を象徴している気がして
少し心が軽くなった