毎年のことながら

北国の春は長い


冬至を過ぎてから

少しづつ日照時間が長くなるに連れて

日の出の時間も早くなり

日の入りの時間も遅くなる


新年を迎えると

新春という言葉に心が躍り

旧正月を過ぎる頃には

明るさを感じながら出勤し

暗くなる前に帰宅する

寒さは一層強まるこの季節には

もう春を感じている


日中の陽射しも

力が増して

窓辺のガラス越しには

陽だまりが出来て

差し込む日差しが心地良い


春はいつも

気持ちから訪れる

どうやら季節感とは

寒暖よりも心模様によって

左右されるらしい


2月のこの時期

月曜から金曜まで出勤して

土日の2日間を挟むと

明らかに明るさが違うと感じると

春が来たと思ってしまう


よく晴れた日は春らしく

曇りや雪なら冬になる

吹雪の中を歩くと遠のく春

日向は春でも

日陰に入ると冬になる日々

そんな移ろう季節も春らしい


冬至へ向かう時期が

一番寒々しく

日一日と暮れる時間が早まり

日の出の時間が遅くなるという

感覚が冬をもたらすのだから

冬も気持ちの問題なのだ


雪の積もる季節は

春夏秋冬からはみ出した

影の季節のように思う

日が昇る前に出勤し

暗くなってから帰宅する

影絵のような日々


自転車に乗れず

時間通りに来ないバスは使わずに

地下鉄を利用すると

自然に歩く機会に恵まれ

四季には通らない夜道と再会し

雪が溶けると足は向かない


北国の春は

雪道の滑り止めに撒かれた砂が

埃となって風に舞い

雪解け水が砂を濡らして

靴も汚れるほど

道路はぐちゃぐちゃの水溜り

そんな決して気持ちの良い季節ではないし

見た目もあまり良くはない


関東あたりで桜が咲き

沖縄では海水浴が始まる頃なのに

北国の雪はまだ溶け切らず

道は汚くて歩きづらいものだから

それほど爽やかで軽やかな

気持ちにはなれやしない


桜が咲くのはGW

世間はすっかり初夏の陽気

そんなニュースに踊らされて

春はいつの間にか夏になる

夏至も近いこの太陽の季節まで

気持ちの春が続く