両親や家族に対して

ポジティブな感情が湧かない

とはいえ

もちろん感謝している事だって

ちゃんとある


一番は仕送りを止めてくれた事

高校を卒業後

田舎の実家を出て

一人暮らしを始めた際

半年と経たない内に

専門学校を辞めた


そもそもそんな学校には

行きたくはなかったけれど

家を出なければならない状況で

就職か進学かを問われ

就職先が自衛隊に決まりそうになった時に

無理やり専門学校に行きたいと言い訳をしたら

意外とあっさり了承されたから行っただけで

まだ集団生活が苦手だと気づく前でもあり

意気揚々と通ってみると

居心地が悪くて辞めた


退学してからも半年は

仕送りを続けてくれたけど

このままではいけないからと

事前に4月からは

仕送りをしないと言われ

その時はどうしようか焦りもしたけれど

振り返ると

あそこで一人で生活をしなければならないと

思い込めたから

今も何とか生活ができていると思う


自分で言うのも可笑しいけれど

性格的には

引きこもりやニートになれるから

誰か助けてくれる人がいると

頼ってしまって成長出来なかっただろう


現実はバカでも無能でも

何とかしないと生活が出来ない

人付き合いをせずに生活をするのは

二十代なんかはホントに辛かったけれど

一人で暮らすという開放感を

何よりも失いたくなくて

その日その日をがむしゃらに生きていた


仕送りをしてくれないことは

当時から当然だとは思っていたから

恨むことすら無く

むしろそのお陰で

生きる事や

生活をする事が

当たり前ではないと感じるようになった


当時は人間関係がないという事が

情報が入らない事に直結していて

ただひたすら

泥沼の中を歩き続けていた


学校では働きさえすれば

国が命を保証してくれるといっていたのに

寝る間も惜しんで働いて

やっと生活が出来る賃金を貰え

年明け何かは仕事がないから

休んていいよと言われ

来月の生活費が払えないと

途方に暮れた時さえあって

幼い頃に聞いた

学校で習ったことは

社会では使えないという事を

痛感させられた


結局

社会は声を上げないと

助けてはくれない

行政サービスも

バカで無能で人間不信を抱えた

人間には知りようがなかった


周りにいた人には

ハカで無能で

社会の最底辺だと言われ

実際

自分でもそうだと思っていた


学校でも勉強せずに

ただ勝手に何事もなく生きていける

と思って何も努力をしていなかったから

その報いを受けている感覚すらあった


良いことなんて

何も無かった二十代

思い出すのは

辛かったり恥ずかしくて

情けない事ばかりだけど

不思議と振り返る度に

可笑しくて楽しくなって

よくあんな環境で死ななかったなぁと

他人事のように感心すらできる始末


幼い頃からしんどくて

若い頃も辛かった

ホントにバカで無能だったから

何か一つ出来るようになると

凄く便利になった


何かを知ったり

苦手を克服する度に

一人の時間が増えていく

どんな部屋でも

自分だけの空間にいる時が

一番落ち着くから

失いたくなくてもがいてあがいて

今も恥ずかしい人生を送っている


理由は定かではないけれど

自己否定なのか

羞恥心なのか

とにかく人との関わりを閉ざし続けた

他愛のない会話が嫌だった

分からない感覚を言葉にされて

影響されるのが怖かった

映画やテレビドラマ

小説や漫画やアニメを見るのが

好きだと勘違いしていたのも

情報が足りなかったからだろう


言葉や感情

表情や仕草

何が喜びで悲しみなのかを

知るために物語を利用していた

だから当然何かのキャラクターを

ずっと演じていた

喜怒哀楽が心の中から

湧き上がるものだと知らなかったから

気持ちと状況判断が一致せず

いつも空回っていた気がする


ひとり鎖国をする必要があったんだ

自分の気持ちがどう感じるのかを

確かめる練習をしないとかみ合わない

どんなに泥沼で全力疾走しても

遅いし続かない


普通の人が

赤ん坊から幼児へと

成長する過程で自己主張をして

自分の気持ちが分かるようになるけれど

私にはその能力が無かった

それを本能的に矯正したかったから

鎖国をして

出島代わりに物語を受け入れたのかなぁと

最近はよく考える


人生で起きることは

偶然なのか必然か

それともその両方なのか

混ざり合って分からないだけなのかもしれない

けれど

いつの頃からか

思い出に浸るようになり

ネガティブな思い出も

バカで無能でどうしようもない

自分の行動や選択が

面白くなって

自分を馬鹿だと思う度に

愛おしく思うようになった


自分を好きになる切っ掛けは

鎖国をして情報から切り離して

ただ深く気持ちをを確かめたからだ


ただのアホが生活費を稼ぐのも

稼いだ収入を振り分けて

赤字にならないようにコントロールする

だけでも大変な事だった

でも上手くコントロールが

出来るようになるたびに嬉しかった

他の誰がが見ていたら

馬鹿だアホだと怒られただろうから

やっぱり一人で良かった

だから両親には一人にしてくれて

本当に感謝している