三月に、歌舞伎町からもほど近い新宿の安いホテルへ宿泊した。
昭和の匂いの残る、古いホテルだった。
地方から東京へ行くと、もう異国に来たかのような感覚になる。
実際、そのホテルのフロントマンもベトナムの人だったから、
ベトナムへ旅行に行くと、こんな感覚になるものなのかと妄想してしまった。
トイレは共用で、風呂も共用の大浴場という昔ながらのシステムが
何となく心地良かった。
少し小高い場所にあるから、窓から新宿の街を一望できる。
屋上には上がれなかったけれど、映画などの撮影にも使われたことがあるようだ。
7階の部屋から見える景色も素晴らしいけれど、気に入ったのはトイレの窓。
これぞ新宿という街並みを一望できるビュースポットで、夕日に染まる新宿とネオン輝く新宿、どちらも素晴らしい景色だった。
朝食はバイキングで、食事の内容はともかく、そのレストランの雰囲気が好きだ。
うまく言葉にできないけれど、テーブルやカーテンといった家具や装飾、窓や柱と
どれを取っても昭和そのもので、料理を提供してくれる中年の女性の「おはようございます、お好きな席へどうぞ」という声がなぜか気持ちをほっとさせてくれる。
