確か中学生くらいの頃


こんな変な話を読んだ事があったっけ


ある男が鬱陶しい夢を見て目覚めると


自分が変身して虫になってしまっていた


そんな異常事態にも関わらず


主人公が頭の中で葛藤してる以外は


周りではありふれた日常の時間が過ぎていく、、、





などと余裕をかましている場合では無い




そんな奇妙な事が自分にも起きるとは


想像だにして無かった、、


いや 想像はしたことあるかも、、、


いやいや、でも、あまりにアホらしい話なので


ちょっと正確に思い出せない、、、





ともかく


今はこの現状を何とかしないと、、


今朝、目が覚めると


私は自宅のリビングの床にぽつんと置かれた


いもむしになっていた



狭いから余計な物は置かないでくれと


いつも妻に言っている部屋も


自分がいもむしの大きさになってしまえば


広大な面積に変化してしまっている




早くどこか壁際か家具の下まで移動しないと


こんな姿で虫嫌いの妻に見つかったら


説明する間もなく新聞で叩き潰されるか


ティッシュで包んで握り潰されて


ゴミ箱にに放り込まれるに違いない



私はソファーの下を目指して全力で這う


しかし、伸びたり縮んだり、、


必死に動いてるつもりだが


ちょっとづつしか進んでいかない


そんなこんなしてるうちに




案の定






「 ぎゃーーーーー!!!  」






見つかってはいけない人に


見つかってしまった





あああああぁぁ



終わった、、、、




何度か大喧嘩して


離婚寸前まで行ったけれど



思えばそんなに仲が悪い夫婦でもなかったよな




だが、終わる時ってのは


こんな風にあっさり終わるんだね、、、





私は無駄な抵抗はやめてジッと身構えた




次の瞬間


私はふわふわのティッシュに


優しく包まれていた


あれっ?、、もしかして


丁重に扱ってくれている?




すまん


もう少し乱暴な人だと思っていたけれど


ただちょっと雑なだけだったんだね





私は心の中で妻に詫びた





妻はベランダの窓を開けて


ティッシュに包んだ私を


エアコンの室外機の上に


そっと解放してくれたので

 

私はようやく安堵する事ができた




朝の日差しと


ちょっと冷たい空気が実に気持ちいい






それに


なんていう種類だろう


実に可愛い小鳥さんが


こっちを見てる