数年前、ミカンを食べた後の種を、ふと思いついて土に植えた。
すると芽が出て、すくすくと育ち、ミカンの木になった。
日当たりのよい庭に置いていたら、いつの間にか葉っぱに蝶が卵を産み付けていた。
それは、もうすぐ夏は終わろうとしていた時期だった。
朝夕が冷えてきたので、鉢を室内に入れていたら、
卵がかえり、幼虫になって葉っぱを食べて大きくなり、
その後だんだんと動くのをやめて、やがてサナギとなった。
ミカンの木で育つ幼虫だが、サナギは家主の心配をよそに部屋のカーテンに張り付いていた。
このまま春まで眠っているといいな、そう思っていたが、
立冬の日に、とうとうふ化をした。
温暖化が幸いなのか、いまだに暖かい日が続いているので、まあなんとか生きていけるだろう。
部屋の窓を開けたら、元気に外へ飛び立っていった。
もうすぐ寒波がやってくる。
少しの間でも元気に過ごしてくれればよいが。
ぬけがらはしばらく取っておくことにした。
特に意味はないけど。