初めて彼の演奏を聴いたのはザルツブルクの講習会で、アルニムクラスの聴講でした。あの衝撃は忘れられない。自分のアカデミーコンサートの出番の後、すぐレッスン室に走ってチホ君の受けるレッスンを聴講したのを思い出します。
昨日の演奏も本当に良かった、京都まで聴きに行って本当に良かった。ますます洗練されていく音楽に、ところどころちらつくアルニム先生の影を感じ、音楽が自然と身体と心に沁み込んで、深い共感と集中を持って聴けました。特にシューマンのクライスレリアーナの世界に浸れて幸せでした。
あのスーパーテクニックに加え、なぜあの若さでこんなにも自然と深く心に入り込む説得力のある音楽ができるのか不思議でしょうがないけど、世界で勝負できるピアニストってのは、本当に魔法のような力をもっているものです。魔法のような時間でした。
チホ君の素晴らしい演奏を聴いて、次元は違えど、自分も自分なりにちゃんと音楽と向き合っていかないとと思いました。
また今週、東京、愛知でもリサイタルがあるようです。ぜひたくさんの人にチホ君の演奏を聴いてほしい、イチオシのピアニストです!
加藤俊裕