ウンスは目を閉じていた。
「寝ないでください」
ぱち目を開ける。ひどく冷めた顔をした隊長がいた。
「怒っている?」
隊長にこんなことさせて。
「いいえ」
ヨンは冷静になろうとしていた。早くなる鼓動・呼吸をさとらせないように静かに息を吐く。
「手」
「なぁに?」
手は痛みませんか?なにげなく聞いてみた。いたいたしい包帯が目に入る。
「平気よ」
泡だらけとなった赤い髪の毛を湯であら流していく。ざばーと湯が流れ落ちる音が響く。
「か・からだは?」
「てぬぐいをかして」
片手でやってみる。その間ヨンは背中を向けた。いろいろ耳に届くが耐えていた。
振り向くとヨンは息を止めた。白い背中が目に飛びこんできたからだ。顔をそらす。急ぎ乱れた呼吸を整える。
「背中はやって」
「はい」
強くこすりすぎては傷つけそうだ。そっと泡をこすりつけていく。
「もう少し強く」
はいと注意を何度も受け取る。
そうしてやっと洗い終わり次は着替えを手伝うことになる。濡れた体をふいていきヨンは今宵何度も念仏を唱えることになったのだった。着替えも隊長に手伝ってもらう。あと何回これを繰り返すのだろうとヨンは遠い目をしたとか。
終わり。