キリスト教には、特定の職業や活動、国や地域、家畜動物などを、それらとゆかりのある聖人が守っているという思想があります。その聖人のことを守護聖人と言います。

 

カトリック教会の聖人ロシュ(1295年 ~ 1327年8月16日)は、ペストなどの伝染病避けの守護聖人とされ古くからヨーロッパで崇敬の対象となりましたが、『犬があなたをこう変える スタンレー・コレン著 木村博江訳 2011年文春文庫)』によると、彼を犬の守護聖人とする人も多いそうです。


ロシュはフランスのモンペリエで総督の子息として生まれ、20歳のとき両親を亡くしたのを機に貧しい人のために全財産を投げうちローマ巡礼の旅に出ました。ロシュがイタリアに入ったころ、当地では疫病(ペスト)が流行していました。

彼は疫病に罹った人たちに祈りを捧げ、十字架をその額にかざして癒しをおこない、奇跡的に回復させたそうです。

ところが大勢の患者にふれたため、ロシュ自身が疫病に冒され、恩知らずの人々によって町から追われてしまいました。

 

ロシュを癒してくれる人は誰もいませんでしたので、彼は木の葉と枝で作った粗末な小屋に寝泊まりし、近くに湧き出した泉の水で喉を潤しました。

そのままでは死んでいたはずのロシュを、地元の貴族が飼っていた犬が見つけました。犬はロシュの傷を舐めて走り去り、しばらくしてパンを咥えて戻ってきました。犬は毎日やってきてはロシュの傷口を舐めてきれいにし、パンを運んできました。

 

しばらくたって、自分の犬がキッチンからパンを盗み出して森に入っていくのに気付いた飼い主の貴族が、犬の後をつけ、ロシュを見つけました。貴族と犬は一緒にロシュの看護をし、ロシュは救われました。

 

こうしたことがあって、聖ロシュは犬の守護聖人と呼ばれるようになったそうです。

聖ロシュの祝日である8月16日のころに、犬のミサをあげる協会もかなりあるそうです。そして、聖ロシュの絵画や肖像では、裂傷を負った脚を見せて立ち、傍らにはパンをくわえたイヌが描かれています。


犬が人を助けた話は、太古の昔から世界中でときには神話となって伝わっています。
古代から人と犬はお互いを助け、支え合いながら暮らしてきました。人と犬は日常生活において、身体的にも精神的にも相互依存の関係を継続しています。

 

もし犬が人の近くにいなかったら、人はどうなっていたでしょうか。

それが、ネアンデルタール人が絶滅しクロマニョン人が生き永らえた理由だという説があります。

 

クリスマスツリー出しました。

 

「聖ロッケ(聖ロシュ)、ホセ・デ・リベラ画、プラド美術館蔵
裂傷を負った脚を見せて立ち、傍らにはパンをくわえたイヌ
引用元:ウィキペディア」