ぼくときみ -11ページ目

月の夜

月の夜、ふたり。

並んで歩いた影は、ふたつ。


決して走ってはいけない。

ゆっくりゆっくり、ゆっくり...
ただ、ゆっくりと歩いてきみと話したい。

昨日の事、あしたの事。





どうか忘れないで。

月の夜、あの向こう側、

ひとり、

きみを待つ。

碧い蒼い...青い。

仰ぎ見る空は、きみと見た、いつかの空。

吸い込まれそうな空のあお。

きみはぼくを掴んで放さない。

いっそ放してくれればぼくはこの空に溶けて、きっと見上げるであろうきみを見下ろして、

いつまでもぼくに微笑みかけてくれるのを待つんだ。

青くて深いこの空で。

こころ求め なみだ溢れる

今日すれ違ったこころ。

明日になったらどれだけ離れてしまうのかな、ぼくときみは。

きみまでの距離。

ぼくまでの距離。


同じならいいのに。


昨日まで歩いて行けた場所へ、ぼくは走って行くよ。

きみを見失うわけにはいかないんだ。

待っていてくれなくていい。
ただぼくを、








忘れずにいてくれたら、


それでいい。