この偽者が。確かに顔のパーツは省エネフケ夫そのものじゃが、ワシは騙されんぞ。
ワシと省エネフケ夫の関係は、黒ずみとアフリカ人よりも強く結ばれているぞい。
お前は一体何者じゃい?するとその偽者が、急に大粒の涙を流したのじゃ。まるでどぶから生まれたファッションモデルじゃ。
ワシがどうしたのじゃと、尋ねると偽者は衝撃の事実を口にしだした。
何と自分は省エネフケ夫の双子の弟で、省エネふりかけ夫だと。さらにもうこの世に省エネフケ夫はいないと。
ワシは一瞬頭の中が真っ白になり、百八人のモハメドアリで埋めつくされた。
だがすぐさま正気に戻り、どういう事じゃと省エネふりかけ夫に詰め寄った。
すると省エネふりかけ夫が事の真相を話しはじめた。
事の真相は肉を求めて肉屋さんに向かった省エネフケ夫だったが、運悪く肉屋さんは定休日。
今から他の肉屋さんを探していたらとても間に合わない。
自分の不甲斐なさに腹を立てた省エネフケ夫は地面に向かって拳を叩き続けたのだ。
案の定、拳は血だらけになりおびただしく血が流れている。そしてその血が、道路を駆け巡り、野を越え山を越え双子の弟の省エネふりかけ夫の元に辿り着いたのだ。
その血を見て兄の危機を悟った省エネふりかけ夫はすぐさま、血を辿って省エネフケ夫の元に駆けつけた。
するとそこにはすっかり憔悴しきっている兄、省エネフケ夫の姿があった。
すぐさまフケ夫から事情を聞いて、困惑するふりかけ夫。そして二人とも黙りきったまま時間だけが流れすぎていった。
どのくらいの時間がたっただろうか。ふいに、フケ夫が頭を週休二日制にして驚愕の考えを述べた。
それは何と、自分の身体を切り刻んで肉を剥ぎ取り、それをパリ・もしゃしゃハンバーグ先生に食べさせ助けるという事だった。
フケ夫は自分の命を絶ってまで、先生を助けようとしているのだ。
ふりかけ夫はあんなあばら骨ホモサピエンス作家の為に、自分の命を捨てる必要は無いと説得したのだ。
だが、フケ夫の意志は固く、これで俺も大先生のお役に立てるのだと言い消費税分の笑顔をみせながら、己の身体を塩味ナイフで切り刻みだした。なおも大量の出血を流しながらも、今度は納税額分の笑顔で肉を剥ぎ取っている。
すでに身体の半分以上の肉を剥ぎ取っているのだが、フケ夫はその作業を辞めずに黙々と続けている。まるでライフワークに二人三脚を選んでしまった人の様だ。
思わず、ふりかけ夫がフケ夫のそばに近づき、持っているナイフを奪いとった。
すると、フケ夫は縦社会に屈伏したノミの様にその場に倒れこんだ。
そしてそのまま息を引き取った。実の兄の死を間近でみたふりかけ夫だったが悲しみをこらえ兄の遺言を叶えるためパリ・もしゃしゃハンバーグ先生の元に兄の肉を持って向かったのだ。
これが事の真相だ。
この話を聞いたワシは、ショックの余り呆然と立ち尽くした。だが呆然と立ち尽くすだけだったらお茶っ葉静岡野郎でも出来るわい。
ワシに今出来る事はこの原稿を完成させる事じゃ。
それが省エネフケ夫にとっても一番の供養になるのじゃ。
落ち込んでいるヒマなどないぞい!
ようしみておれ、弔い合戦じゃい!